新聞記事文庫 交通(01-089)
大阪朝日新聞 1919.2.19(大正8)


軍用自動車検査


欧洲戦乱の初期に於ける作戦は交通機関の戦争とも称すべきものにして軍の集中、戦場に於ける軍隊の集結、其他後方勤務(弾薬、糧食、軍需品輸送)等悉く鉄道自動車其他輸送機関を使用せざるものなく戦闘勝敗の決は輸送機関の整否如何に関する事大なるに依り我国に於ても有事の日に当り軍の運動を軽快ならしむる為め昨年三月法律第十五号を以て軍用自動車補助法を制定し民間製造業より出願せる自動車の型式が軍用に適する能力を有するや否やを検定し右資格検定に合格せし製造業者に対しては将来此自動車と同型のものを製造せば一車輛(一噸半)に付二千円(若し一噸車となれば千五百円)の補助金を又此自動車を購入せるものに対しては一千円の購買補助金を附与し更に年々三千円の維持補助金を下附することとせり

資格検査法

軍用に使用し得るを目的とすれば自動車が堅牢確実、軽快の諸性能を具備し少許の障碍に遭いて忽ち故障を起すが如きは絶対に不可なるを以て検査も至って綿密に行われ其方法を設計図、素材、製造中の検査及び能力試験の四とし調査委員には陸軍省砲兵課長溝口大佐を首座とし陸軍技術審査部、自動車隊、兵器本廠及び砲兵工廠等斯道に明かなる将校を選抜せるが上記製造以前の検査に合格せるものより能力試験を行うこととなり十六日より二十五日に亙り十日間の予定を以て里程約百六十里の突破、特に筑波山の険を越ゆる等の計画あり而して軍用自動車補助法発布以来此資格に応ぜんと志願せし民間製業者は川崎造船、三菱造船、京都奥村電機、日本兵機、岸発動機及び東京瓦斯電気等の諸会社なるが今回の陸軍大臣指示期日迄に竣工せるは東京瓦斯電気のみにて他は悉く延期を出願し或は出願を取消すに至れり依って当局に於ては十六日同社製造の一噸半及び一噸自動車四輛に付第一回の試験を行い東京立川間の往復をなせるが成績極めて良好なりしと云う



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