新聞記事文庫 海運(33-140)
大阪毎日新聞 1939.9.16(昭和14)


世界海運の制覇へ

七洋を馳駆する日の丸商船

明年は七百万トンだ


欧洲戦乱勃発とともに欧洲洋上の商船は二十五年前と同じ危険にさらされ、早くもドイツ、英国の各商船は或は撃沈され、或は拿捕され中立国ギリシャ船さえ触雷沈没するなど商船隊の悲劇は相ついで起りドイツ商船のごときは神戸港へシヤルンホルスト号が逃げ込んだほか第三国へ避難しているもの六十余隻といわれ交戦国の商船は欧洲では身動きも出来ないようになった、したがって世界海運の制覇はいよいよ日本によって遂げられんとしている
郵船諏訪丸は既報の如く十四日戦火の欧洲に堂々と船出したほか商船、郵船はじめ邦船は七洋を縦横に馳駆して第一次大戦当時の黄金時代がくるであろうと早くも各船会社は意気込んでいるが、現在の世界の商船総トン数実に七千万トンに達しておりそのうち日本の海運界を展望すると一昨年の進水新造船四十五万トン、昨年が四十万トン、今年の進水船は三十五万トンで、総計五百五十万トンの船群をもち
さらに注文建造中のものは二万八千トン級の巨船はじめ百万トンがあり来年中には七百万トンに達する勢で一方大阪商船が誇る新造世界一周航路船あるぜんちな丸は花やかな処女航海の旅をつづけ南阿はじめ南米各港で披露会を行ったがいずれも非常な歓迎をうけ来る十九日神戸に帰着する予定で、商船から使節として乗船中の中村船客課長からこのほど同社へ
あるぜんちな丸の各港の招待会は予想以上に盛大で村田社長からの親善人形をウルグアイ、アルゼンチン両国大統領、国務大臣に贈呈し非常に喜ばれた
と報じているなどこれも船舶日本の誇りを示す一つの現れである



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