新聞記事文庫 製糖業(13-147)
時事新報 1932.7.7(昭和7)


明糖事件に鑑み協定歩合改訂

当局、当業者を招致


大蔵省では糖業連合会を通じて台湾、明治、大日本、塩水港及び中央の五製糖会社に対し各社の取締役各一名を六日午後二時に出頭さすべき旨の命令を発した、右は製糖会社と大蔵省との間に、精製糖消費税の課税標準であり同時にまた最近明糖事件として糖界に重大の問題を投げた所謂「協定歩合」の改訂に関する内示が行われる為めと信じられている、次いで八月一日から三ケ月間各製糖会社の各精製糖工場に対して右協定歩合の改訂標準となる『実績査定』が開始される趣である

斯かる事情の為め当局再査定を急ぐ

精糖の消費税賦課の標準として大蔵当局が当業者と協定の下に昭和二年下半期中六ケ月に亘って実績査定を行った結果原料糖より最低九十五パーセントの精糖を得るものとして之れを所謂協定歩合と定め課税標準とすることとなったのである然るに其後原料である台湾糖の品質が著しく向上したのと一方再製糖技術の進歩の為め九十七八パーセントの精糖を製出し得ることとなったので自ら協定歩合の引上げを必要とするに至り大蔵省では既に其の為め実績査定を行う意向であった、たまたま過般明治製糖の所謂脱税問題が起ったので今後に於ける問題の種を除くべく極力早急に其の実行に着手することになったものであるという

明糖事件は果して脱税か

明糖事件は大蔵省を刺戟して愈々問題の協定歩合を改訂する為め実査に着手する事になったのであるが、明糖が脱税として検察当局から挙示された点は

一、精糖九十五斤以上のものに就て消費税を脱税した
二、精糖九十五斤以上のものに就て関税を脱税した
三、協定歩合九十五斤に止める為め故意に悪質な原料糖を使用した

以上の三点あった、併し

第一 の協定歩合以上のもの即ち九十五斤以上九十八、九斤に至る三、四斤は協定歩合以上なるを以て当然免税されるものであり、之れを輸出する時即ち
第二 の場合は消費税が免除された結果関税も亦自然免除となったものである、更に
第三 の場合は大蔵当局から指定された原糖を融解したもので会社側が勝手な原糖を使用したものでないから何等問題にならないとの見解が一般に行われて来たのである

唯税務当局としては協定歩合を実績歩合より甚しく低位に置く事は再び紛糾を招く基となるので此の弊害の是正せんとする方針の様である



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