新聞記事文庫 朝鮮・台湾・満州(16-095)
満州日日新聞 1936.11.11(昭和11)


日満の時差は消え愈よ時間一元化実施

改正当日の十二月三十一日は二十三時間で暮れる



[写真あり 省略]

十二月三十一日の午後十一時を以て改正時刻の零時とす−王道国家が勅令を以て今年は日満時差の一時間が消えて無くなり、時間一元化の実践が成り、中央標準時東経一三五度を採用する事となった時は金なり−と云うが、満洲居住者は今年は一時間ペイチャンである、改正当日十二月三十一日は二十三時間で暮れて行く、恰も大晦日、貸借陣営のスピードアップ大混乱も予想されるが、新玉の朝日は我等の頭上に早く−先ずお目出度き日満時間一体日も余すところ五十日、これこそ刻々時間の問題として迫って来た
全満一斉に準ずる日本中央標準時は福知山を通る子午線東経一三五度に依るもので、現在満洲にて採用のものは東経一二〇度西部標準時に依って居り、一度に四分ずつ遅れるので日満十五度の差六十分の時差があり、安東に入っても埠頭に上っても時計を一時間進める事が入満第一の条件であったが、今春山本一清博士が黒い太陽事件と共に入満提唱したもので、満洲国勅令に依りこの程決定、関東州もこれに準じ愈々新春以降時間やりくりの不便が統一される訳で、十二月三十一日の午後十一時には満洲の全時計は一時間針を進めて一斉十二時を表現しなくてはならないことになった、同時にゴーンと除夜の鐘が鳴る、嘗て日露戦役後、満洲ではこの中央標準時を採用したが後ち土地に即した現在の西部標準時に返り、今又時勢の進運に従いここに再度内地時間と歩調を合せ行政的な統一が成った、太陽出入の関係上国が東西に延ぶ場合は時間の問題が煩雑で隣国中華民国では四種採用、欧洲は三種アメリカは五種、ソウエート聯邦は八種の実情である、この改正の中心地、満洲は一時間を進めるのでこれによって太陽が真上に出た時は午後一時となる訳で、天日生活の農民、苦力群に大影響各方面に改正当分は悲喜交々のナンセンス出現、自然と仮設との食いちがい一時間問題が社会の話題になるであろう

全満ダイヤは一時間繰り下げ

日満標準時の統一に伴う全満ダイヤの改正については、内地及び朝鮮との輸送機関連絡、通学列車の時刻等各方面に重大影響を及ぼすので鉄道総局輸送関係では満鉄、鮮鉄、その他関係船会社等と連繋を保ち慎重審議を重ねているが、この改正案によれば先ず第一に日満標準時統一によって満洲側は一時間繰り上げられるが、満洲における日出、日没の関係で実際上従来通りの時刻を維持するため、ダイヤを一時間繰下げる、即ち全ダイヤに一時間加算するというのである、例えば正午発の列車は標準時統一によって満洲の時間も一時間繰上げられて午前十一時となるが、ダイヤは一時間繰下げ午後一時として始めて従来通りの時間と相一致することとなる、これによると内地及び朝鮮等の連絡には別に影響はない訳であるが、学校、会社等が統一時間の午前九時に始まりダイヤは一時間加算して十時となると始まる時間に間に合わぬこととなり、又授業開始時間に間に合わすため通学列車のみ一時間繰り上げ、ダイヤを改正することになると全ダイヤに大なる影響を及ぼして来るので各学校の授業開始時間を一時間繰り下げて十時に開始されるよう依頼するか、第二には全ダイヤをそのまま時間通り実施すると云うのである、これによると満洲の日出、日没には関係なく統一時間通り一時間繰り上げられるのであるが、そうすると内地及び朝鮮の輸送機関との連絡上理論的に満洲の各連絡列車は、全部一時間のスピードアップを必要とされて来る、しかしこれは実際問題として不可能事で結局第一案による全ダイヤの一時間加算を実施し、学校の授業開始時間の一時間繰り下げを要望することとなるべく、而して明春四月一日までこれを実施し、その後は通学列車の時刻、内地、朝鮮の輸送機関との連絡等を考慮した最も合理的な全ダイヤの改正を行うこととなるようである

[図表あり 省略]


データ作成:2003.9 神戸大学附属図書館