新聞記事文庫 中国(15-128)
大阪毎日新聞 1935.11.5(昭和10)


一切の対支援助この際停止の外なし

暴露した支那の正体 外務当局大いに憤慨

英支借款成立とわ


支那の新通貨政策基金として孔祥熙、リース=ロス両氏間に成立した一千万ポンドの借款設定はわが外務省に異常の衝動を与えているがこれを転機としてわが方では従来の微温的対支方針に根本的変改を加うべき重大決意をなさねばならぬ結果となるであろうと見らるるに至った、その理由は
 日本は支那に対し満州国承認、赤化防止、抗日反満工作の絶滅に関する三原則を提示し、支那がこれに原則的諒解を与うるにおいては日支政治経済提携工作に共同動作をとるべきことを示唆した、もっともこれがためには支那が日本の東亜の安定勢力たるべきことを確認し、東亜に関する限り優先的かつ総括的に政治的建設問題に関して日本と隔意なき意思疎通をはかるべきことを要望した、また支那がもっとも焦眉の急とする財政的援助に関しても自力更生の財政経済政策を調整すべきことを勧奨して来た、この要望に対し、蒋介石氏は従来汪兆銘氏を介してある程度まで日本の要望に副うがごとき態度を示して来たのであるが、今回英支間で無警告的に借款を成立するにいたったことは日本を除外して英支提携により財政再建を企図する意図なることを明かにしたもので、日本としては支那が日支経済工作に誠意と関心を有せざることを実証したものと断定せざるを得ない、また蒋氏の欺瞞的態度も白日のもとに暴露されたものと看做し、将来の日支国交上各種懸案の折衝に当り十分の警戒と監視を加うるはもちろん、北支の治安問題をはじめすべての懸案処理に当って日本官民が払い来った道義的援助をこの際停止するのほかない
これを要するに外務省としてはさきに日支提携に関し最も関心を有しつつあった汪兆銘氏の遭難に直面して日支外交関係の逆転を憂慮しつつあった矢先、孔祥熙氏が音頭取りとなって今回のごとき重大な財政問題をわが方に諮ることなく独断専行せることは明かにわが方の東亜における立場を無視したもので、将来の対支政策を行使する上において勢いこれを強化するもやむを得ずとし、日本の協力なくしてこの種の企図が結局実行不可能に陥るべきことを知らしめんことを期しているようである


データ作成:2003.10 神戸大学附属図書館