新聞記事文庫 国際労働問題(10-012)
大阪朝日新聞 1927.6.9(昭和2)


日本出兵反対示威と経済絶交を通電す

南京国民党中央党部が全国の民衆に向って


【上海特電八日発】南京国民党中央党部は全国の各党部及び民衆に向い日本出兵反対の大規模の示威運動と経済絶交を通令した
【上海特電七日発】日本出兵反対運動委員会においては東路前敵総政治部上海市部党上海学生連合会工会統一委員会、農民協会、総商会、中国婦女協会などの代表を常務委員とし、七日その委員会を開き六月十二日南市、閘北、江湾三ヶ所において日本出兵反対示威運動大会を開き、各地に通電与論を喚起し日本工場の職工は同日罷工し、支那人工場の職工は同日半日を休み大会に参加することを決議した、なお同日中国国貨維持会は国貨提唱の宣伝をなすと

朱培徳氏も南京派に味方 共産派狩りに着手す

【漢口特電五日発】江西は最近湖南に次いで共産派の横暴甚だしく極端なる恐怖政治をとるので当初より武漢派にくみしていた朱培徳氏も過日の通電で李宗仁氏と北伐提携について会見して以来態度一変し南京派に加入し共産党排斥に着手したので南昌および江西各地より共産党系政治部員は続々当地に逃れて来た、朱培徳氏の部下は三個師であるがその中王鈞氏の一個師は共産系で朱培徳軍に対抗している、なお李烈鈞氏も一個旅を率る玉山県にあったが朱氏と打合せた結果一致して江西の共産派を討伐することとなった、武漢政府はこの形勢に大いに狼狽しているが取敢ず朱氏を免職して王鈞氏を第三軍長に任命した

漢口の不当関税領事団より抗議 列国商人はボイコット計画

【漢口特電五日発】領事団は四日会議を開いて五月十日から関税の一割を不法課税されている堤防修築費に対する第二回の反対通牒につき協議した、目下七ヶ国商議連合会は外国各商社、船会社、銀行など全部を挙げて総罷業をなしもって支那側を屈服せしめんと協議しているが、領事団はこれとは別に条約違反として抗議するもので首席アメリカ領事より六日通告のはずである

桐油抑留さる 沙市下流で土匪のために

【海軍省発表】沙市下流において三井物産の桐油三百トン土匪のため抑留され危険の状態にあり救助を要する旨の報一日宜昌の安宅に達したるをもって宣州の状態の許す限り赴援すべき旨荒城司令官は安宅に訓令した、安宅は五日午前五時宜昌発午前零時三十分沙市着の上交渉委員を乗せ午後四時沙市下流十七海里斗洽堤にて三井桐油船四隻とも領収し沙市に曳航した桐油、人員とも無事であった(東京電話)

最右傾派復活す 党籍を回復した西山派

【上海特電八日発】七日の中央政務会議は張静江氏の提議により西山派(最右傾派)の張継氏や鄒魯、林森、石青陽、居正氏など数十人の党籍を回復することに決定した

三民主義には同意だが革命軍とは名乗られぬ 南北妥協は難かしい 奉軍諸将の軍事会議

【北京特電八日発】山西側代表李慶芳氏と楊宇霆氏の間において連日商議を重ねているが山西よりは、近く更に有力なる代表を派遣し来ることとなった、目下双方ともに和戦両様の気構えで交渉を進めているが最も困難な問題は山西側が安国軍の名称を取消して国民革命軍と名義をかえることを要求せる点にあって奉天派は三民主義を奉ずることを声明するには異議はなく張宗昌氏も過日三民主義に賛成を表示して来た程であって北方ではこの点では一致し得るも行掛り上革命軍と名乗ることは張作霖氏の下野を意味することで六ケしいらしい、安国軍総司令部は戦線より帰来した韓麟春、張学良氏らを加えて会議を続けているがこの会議で戦線を維持し得る目算立つか否かによって右交渉が強気とも弱気とも決するだろう何れは狐のだまし合いだが兎にも角にも表面的にも成功するか否かさえいまのところ見当がつかない

目的の貫徹にあくまで邁進する 張作霖氏の時局談

【連合北京八日発】張作霖氏は八日日本新聞記者との会見で左の如く語った
奉天軍は策戦上やむなく河南を撤退したが、目的の貫徹にあくまで邁進する、閻錫山氏と余の関係は将来はともかく、現在のところ何等変りなく連絡を保っておる
なお蒋介石氏との妥協問題に言及し、青天白日旗は過激主義の象徴で奉天側は今後とも絶対に同旗を用いないと断言した

張、孫両将会見 共同作戦を議す

【済南北京八日発】共同作戦討議のため張宗昌氏は八日台荘附近の大泛口駅で孫伝芳氏と会見した、新河、台荘間に設けた山東軍の防備がすでに整ったのでその背後を脅かされるを恐れ孫軍の防備を固むるためと観らる

韓荘、漣水を占領 国民革命軍の発表

【上海特電八日発】国民革命軍の発表によれば第十軍は五日韓荘を占領し第十一路は同日漣水を占領した
【連合上海八日発】徐州の北、韓荘附近の激戦は五日夜より七日の朝まで約三十六時間にわたり、南軍側は多数の死傷者を生じ苦戦したが山東軍の一部内応し、その隙に乗じて遂に韓荘を占領し山東軍は臨城附近に退却中だと

共産、反共産の争いで湖南愈よ動揺す 武漢政府の板挟み

【漢口特電六日発】過日の長沙における共産派と軍隊の衝突事件以来湖南の動揺甚だしく、五日の入電によれば長沙は農民協会総工会の武装軍に包囲されている、これに対し李品仙、張国威氏ら湖南系八軍官は唐生智氏の命を受けて農民協会、総工会側の狂暴を鳴らし徹底的に整理すべしとの通電を発して政府に迫っている、農民協会、総工会側は結束してクーデターの首謀者たる第三十三軍団長許克祥氏の罪状をならべ厳重査●すべしと政府に要求している、過日政府から派遣された陳公博氏らの特別調査委員も軍隊に拒絶され、なんらなすところなく、途中から帰ってきた、武漢政府は今や軍隊と農民協会、総工会との板挟みとなりまた政府部内の意見も二派に分れて相争っている、政府部内の反共産派は鄭州の軍事会議の決定を待ち共産党と絶縁するため兵力を背景として雌雄を決せんとするものの如く空気は最近非常に緊張してきた

英公使帰京

【連合北京七日発】イギリス公使ランブソン氏は六日夕刻北京に帰った


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