新聞記事文庫 人種問題(2-075)
神戸又新日報 1933.2.24(昭和8)


フリーメーソン神戸支部ゆうべ秘密の家に会合

議会における赤池氏の質問俄然大衝動を与う


さる二十一日貴族院本会議秘密会に於て赤池濃氏のなした国際連盟の背後に暗躍するユダヤ人の秘密結社フリー・メーソンに関する質問は俄然各方面に大衝動を与え事実日本の連盟脱退の日は目睫に迫り一方熱河の風雲いよいよ急を告げて全国民の耳目が一に対外問題に集中されているとき、日本が連盟を脱退し敢えて孤立に陥らなければならなくなったその裏面に事実ユダヤ系の世界征服陰謀の魔手が躍っていたとしたならば、いまや全国民の神経は針の如くその秘密結社フリー・メーソンの実体に迫っているが殊に神戸に於ては日本のフリー・メーソンの源泉である神戸支部が実在しているのでユダヤ禍を叫ぶもの等にとって彼の中山手の一角に建っている灰色のクラブは実に恐るべき陰謀発祥の源とも見られ漸く市民の注視を惹くに至った

疑惑を包む行動 有力者を網羅する神戸支部

この世界征服陰謀を行っているユダヤ人の秘密結社としてユダヤ禍恐怖病者達から極度に恐れられているフリー・メーソンの日本における支部(神戸、横浜、函館、長崎の四ヶ所)の源泉神戸支部はすでに大正二年創立され神戸区中山手通二丁目四八にクラブが設けられて現在支部長ビー・エッチ・マッケイ氏(トーアホテル重役で英人)副会長エ・カービー氏ほか正会員四九名、名□会員三名目下旅行中の欠席会員八十名で夜間会員として夜間のみこのフリー・メーソン・クラブを訪れて互いに歓談する会員が二十一名いるが主として英国人で阪神間に在□する外人の有力者を殆ど網羅しており、ユダヤ系の各銀行、会社の支店に勤め、中には領事館員もいる、会員は月会費正会員七円五十銭その他の会員は三円を出して維持しているが、この神戸支部についても他のフリー・メーソンと同じく会員以外は絶対にクラブに入れず階下は読書玉突、酒場食堂があり二階は会合に用いる秘密室として特に厳重にし会合の際など入口の内外に二名の見張を立て会員以外は何者にでも、たとい警察力をもってしても内幕について知り得ることが出来ない(かって本紙に一度その内幕を報道し世人を驚かしたことがあったが)という全く疑惑をはさまずして見られない存在であるが、あたかも三十三日は支那の第百七十五回例会日に当り午後八時半から秘密室において赤池氏の議会における質問に対する意見の交換その他について深更に至るまで協議を行うところがあった

既に議会の問題となり内田外用も「外交上公然とこれらユダヤ系の運動を阻止することは出来なかった」かれらの陰謀的なるを認めさらに「赤池氏―フリー・メーソン結社は日本が連盟脱退後さらにわが国の経済上、社会上に対し兇悪なる魔手を伸ばし圧迫を加え来るであろうという□念のあるフリー・メーソンに対し当局の取締りは外相の「目下のところ何らこれに対する具体的対策はない」と言った通り全く従来は顧みられていなかったのである、これについては兵庫県当局のフリー・メーソン神戸支部に対してもそうであって、会員以外の何者も未だかって内部を見たものがない建物、勿論その会合が如何なることについて協議が行われたかも知れない、吾々の考え得られないこの奇怪なる存在は実に当時かかるものを許可した政府の手落ちにあったのである、会員自身内部に日本の軍隊のごとく厳然と段階があって己れの属するグループ以外のことは知らず、会員非会員の別は全然未知のものでもドアのノックによって知り得る、また会員は会の内情について如何なることがあっても断じて口外してはならぬ等かかること自体がすでに、フリー・メーソンの如何なるものであるかということは別としても陰謀的な団体と見られるのも当然であって、敢て反駁することも出来ない状態で支部所轄の三宮署でも現在のところ表面上のメンバーの調査の外は手がつけられないのである

日本人も続々入会して欲しい ジ氏マッソンを語る

問題のフリー・メーソン神戸支部会員でかって満洲事変に際しては各国新聞紙上に日本の公正な態度を宣明する労をとりまた三宮方面委員の手を通じ貧民救済に従事するなど各方面に日本の援助を惜しまなかった親日家E・W・ジェームス氏は二十三日夕フリー・メーソン定例会に出席する寸暇を利して問の記者に語る
 「フリー・メーソンが日本を世界的孤立に陥し入れたり日本の攪乱を策しているなどということは全く事実無根のことでこういう風評は我々大いに迷惑もするが又フリー・メーソンの何たるかを知らない人のいうととして笑殺することも出来る、それほど陰謀をたくらむ危険なものなら第一日本政府が許可しないでないか我々の結社は純然たる社交団体で会員相互の救済をはかるのが目的である、といってロータリー・クラブのように全然開放的じゃない会員は外部に向っては会の内容について一切言われぬし、我々にだって知れないことが随分あるというのは会の中はいろんな部署が分れていて例えば私の如き財政の方を関与しているものは他の係のことはさぐろうともしないしまた知ってはならないことだから知らない我々がもっと勉強していろんなことを学んで会の主張を知り、お金をもっとよけいに出して会員の救済をはかれば、それに従って上の地位にすすむとが出来るのだ入会にも審査が要る、現に今夜の会合にも一人入会する人の審査が問題になっている、我々が会の内容に就て秘密を守ったり山手のクラブ会議室に他の人を入れないのは敢て我々が陰謀をするという訳でなく会員でない人々に知らす必要がないからだ我々のことが知りたければ会員になることだ、会員になれば我々が平和を愛好□る社交機関であるかが判る我々は日本人が会員になることを欲しているのだからフリー・メーソンが決して陰謀などをたくらむものでないことを話して貫いたい議会に於る赤池氏の質問の如きは余りにも我々を知らなさ過ぎるこのことについては今朝(二十三日)のクロニクル社説にも書いてある、勿論国際連盟をあやつるものにユダヤ人が背後におるかも知れないがフリー・メーソン会員はユダヤ人なんかいない、英国皇太子が我々のメンバーなんだからね、各国それぞれ知名の士が交っているフリー・メーソンとユダヤ人とは区別して欲い我々は宗教的にも政治的にも自由なんて、決して他国の政治的関係に立ち入らない、現に今度の日本の行動に就てだって会員各自にはそれぞれ意見があるだろう、親日家もあれば反対の立場の人もあろうしかしフリー・メーソンの意見として別にある訳ではない


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