新聞記事文庫 取引所(21-173)
報知新聞 1932.7.4(昭和7)


相馬税務署長、前例のない明糖株取調の怪行動

自ら売頭の大野商店に出張

同署長は相馬明糖社長の息


去る二十八日午前東株取引所で本場立会中永代橋税務署の吏員四名が明糖株売頭の日本橋区坂本町一五株式仲買店大□事大野藤次郎方へ出張目下問題視されている明治製糖株の売買玉数に関し詳細な取締べを行った上、更に売方買方双方の氏名住所と客筋人名簿の提出を求めて調査し明糖株最近の市場動静の一切を綿密に聴取して引揚げたが爾来三日を経過した二日に至り右四名の永代橋税務署吏員中の一名が、さきに疑獄問題を起して起訴猶予となり、五月十一日、一ヶ月振りで警視庁から釈放された明治製糖社長相馬半治氏の養嗣子現永代橋税務署長の職にある相馬敏夫氏(三五)と判明、兜町一帯はさすざに唖然たるものがあり爾後引続き十数日に亙って行われる同税務署の、仲買店帳簿検査を前に各仲取引では従来殆ど例を見なかった相馬署長の直接出動による、明糖株の厳密調査に異常の注意を払た相当深刻なショックを感じている

署長自身出張は嘗て無い事 大野商店驚いて語る

右について明糖株売の大手筋大野商店では語る
 二十八日の午前十時三十分頃でした税務署から四人揃って来られましたが今迄にないことで昨年も一昨年も二人だけで見えたのです、四人のうちの二人は毎年調べに来る見覚えのある人でしたが、あとの二人は全く初めての人で、そのうちの一人が相馬さんの息子さんだと云うことは、昨年初めて知ったことでした、帳簿の調べもいつもより綿密で客先の人名簿まで出させられましたが、これも今までにないことです、明糖株を扱っている店としては、私共などはかなり多い方ですから、明糖の株は今後どうなるのでしょうと尋ねましたらそりやア君逹の方が詳しいじゃないかって云っていました、兔に角いま迄□受自身調べに来たことは無かったんですが…


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