新聞記事文庫 財政(32-030)
報知新聞 1936.8.10(昭和11)


地方に不便多く暦年制に不賛成

内務当局態度を表明


暦年制採用の可否は議会制度調査会において論議の中心となっているが、これが実施は府県、市町村等地方行政に及ぼす影響実に重大なものがあるので、内務省では暦年制採用の可否並びにこれが地方行政に及ぼす影響につき潮内相、湯沢次官、大村地方局長等の間において慎重に調査を進めている、内務省の見解によれば

一、暦年制採用は議会の会期三ヶ月を完全に審議に充当し得ることと民間会社その他の事業年度と同じになって便利だという以外積極的理由の発見に苦しむ
一、寧ろ暦年制採用は現行年度(四月から翌年三月まで)から移る手数は事務的に大変な仕事でたとえ馴れてもその効果は疑わしい
一、議会の会期が年内三ヶ月ということになれば、地方農村は農繁期に当り中央でどんな重大問題が審議されていても政治に関心を持つ暇がない
一、議会中は地方も相当忙しいから府県会は議会前八、九月頃開くことになるが、暑中の審議や準備は容易なことではない
一、府県会選挙は従来九、十月頃行われて来たが暦年制で議会と一緒になれば国、地方を通ずる事務輻輳は甚だしいものであり、かつ議会解散とでもなれば府県会選挙と重複することになる

これ等の諸点から考察して暦年制の採用は議会としてもあまり期待は出来ないし、地方から見れば不便のみであって利益はない、従って内務首脳部としては暦年制に不賛成であり、調査会委員たる湯沢時間、幹事たる大村地方局長から調査会及び幹事会においてそれぞれ反対の態度を表明することになった


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