兵庫県南部地震記録紙 1995年1月17日午前5時46分 M7.2−この経験を今後に生かすために−
社団法人兵庫県放射線技師会 平成7年1月 P21〜P22


ボランティア対策特別委員会報告

副委員長 川戸 隆夫

 委員会設立の経緯

 地震直後から被災地に全国の医療チームが多数ボランティアとして参加、救急医療活動として外傷を中心に活躍されたのはニュース等で良く知られている。
 被災地の技師は、設備やライフラインの不自由な中で、職業観を遺憾なく発揮し不眠不休で救急対応にあたってきた。その後一か月が経過し、病院等では救急時の対処は一段落を迎えているが、避難生活を余儀なくされている県民は依然19万人を越し、慢性疾患の悪化や、肺炎など内科系の疾患が増加してきている。

 この間にも、ボランティア参加について熱心に考える会員も多く、技師会にも多くの要望や問い合わせが寄せられている。理事会でボランティア参加について検討した結果、現場の混乱を避けるため、現状での参加は行政との整合性を配慮する方法に重点をおくことを決定した。ただし、この方法での参加は、対策本部へ登録する方法を採るため、独自の計画に沿った分野の活動だけ行うことは許されていないため、一般的に指示待ちに成りやすい。
 そこで技師会としては、要請があれば必要に応じて対応していく方針を打ち出し、前もってその規模や方法等を検討しておくための特別委員会を設置した。
 今後、放射線技師会として参加していくためには、会員の積極的な参加協力が頼みの綱であり、社団法人として一致団結した行動力を期待している。(抜粋資料)

 委員会活動

  平成7年2月19日 午後1時〜3時
  技師会事務所
  会長、副会長、被災地3支部支部長

1.具体的な参加について検討

  1. 避難所生活者、特に高齢者に風邪、肺炎等の内科疾患が増加している。
  2. 結核等の疾患は目立たなく、感染していても写真撮影で認められない時期である。
  3. 地震による直接の外傷等は落ちついており、被災地域の病院では仕事が極端に減少している。
  4. 病院は自分の施設を中心に考えている傾向が強く、放射線技師は立場的に弱い部分がある。
  5. ボランティア活動を希望している会員は多い。
  6. ボランティア要請には公文書が必要である。
  7. 病院勤務者としては、希望しても難しい現状もある。
  8. 他団体との協力体制を考えると効率よく運営できる。
  9. その他、事故に対する対応等

2.ボランティア活動記録

  1. 名称 糖尿病等の慢性疾患に対する救援検診活動
  2. 主催 神戸健康文化都市戦略研究会
  3. 後援 兵庫県、神戸市、兵庫県医師会、神戸市医師会、WHO、日本糖尿病学会、兵庫県総合保健協会、兵庫県放射線技師会、等
  4. 目的 関係機関の協力のもとに、療養相談、主治医紹介、検査材料等の補給など、罹糖尿病患者を中心に慢性疾患患者へ支援を行う。
  5. 方法 神戸市長田区を中心にした避難所で、慢性疾患患者の診察を行い、必要に応じて心電図、採血検査、尿検査、胸部X線撮影、等を行う。
  6. 健診活動日及び放射線技師参加者数
    ・平成7年2月20日(月) 9:00〜12:30
    神戸市長田区五位の池小学校図工室
    検診受診者数 41名 放射線技師数 4名
    ・平成7年2月26日(日) 9:00〜15:00
    神戸市立蓮池小学校理科室
    検診受診者数 27名 放射線技師数 6名
    ・平成7年3月3日(金) 8:00〜12:00
    神戸市立大橋中学校教室
    検診受診者数 17名 放射線技師数 2名
    ・平成7年3月6日(月) 9:00〜12:00
    池田小学校救護班診療所
    検診受診者数 21名 放射線技師数 3名
    ・平成7年3月14日(火)17:00〜22:30
    新長田勤労市民センター
    検診受診者数 48名 放射線技師数 2名
    ・平成7年3月21日(火) 8:30〜15:00
    神戸市立神楽小学校図工室
    検診受診者数 44名 放射線技師数 2名

3.胸部X線撮影の概要

  1. 装置 総合保健協会の胸部撮影検診車にて間接撮影
  2. 指示 診察担当の医師の指示
  3. 撮影の記録 主催団体の用意した記録紙
  4. 現像 総合保健協会に持ち帰り現像
  5. 所見診断 判定会にて検討

まとめ

 今回は、技師会として参加したのは上記1回のみであった。
 組織的にボランティア参加することは、個々が自分の責任に於いて参加括動するより、遥かに制約が多い。特に医療という面から見ると、地域の医師会を始め、県や市の行政と調整しなければならず、混乱時には必ずしも積極的参加を要請されることはない。
 また、放射線技師の職業面から活動する場合にも、法律面や装置面、雇用面と制約が大きいことを改めて自覚した。
 本来のボランティア参加は、職業の範囲に固執していたのでは活動する機会が少ないと思われ、マンパワーの提供を主にした参加が有効ではないかと考えられた。


(c)1996社団法人兵庫県放射線技師会(デジタル化:神戸大学附属図書館)