兵庫県南部地震記録紙 1995年1月17日午前5時46分 M7.2−この経験を今後に生かすために−
社団法人兵庫県放射線技師会 平成7年1月 P134〜P141


8.放射線治療関係

【治療室及び操作室の状況について】

8-1.各部屋の被害について表8-1  図8-1
8-2.治療室及び操作室の被害状況はどの程度ですか?表8-2


【放射線治療室への影響】

 放射線治療装置の大きさから設置している施設は他の検査室に比べ極端に少なく比較にならないが使用不可能になった施設は 5施設(18%)あり、1階・地下に設置しているにもかかわらず多かった。また、地下に治療装置を設置していたために建物の被害は少ないものの液状化現象のために浸水による被害が出たのは地下に設置している特徴であろう。


【診療用高エネルギー放射線発生装置(リニアック)】

8-3.破損状況表8-3  図8-3
8-4.具体的な破損及び故障内容(寝台、制御器、照準器等)

8-4 具体的な破損及び故障内容
◎治療ターンテーブル回転部に泥水侵入
◎泥水の為錆が発生
◎フラットネスが崩れる
◎X線、電子線の出力低下
◎モニタ電源故障
◎制御器転倒、加速管の歪による真空度の劣化
◎断水により冷却不能で使用不可
◎コンピュータ関係が故障
◎コンソール、高圧発生部のカバーが外れていたので内部に歪が生じる
◎電子線用コーン破損


【リニアック装置への影響】

 他の検査装置に比べ非常に重量がありさらに固定しているために激震地区でもリニアック本体の転倒、倒壊はなかった。しかし加速管、機器等の接合部に歪が生じ線量の出力低下は免れなかった。また、軽量の制御器が破損した施設もあった。
 装置本体に損傷がなかったにもかかわらず、稼動復旧に平均30日以上かかったのは断水による冷却機能を失い運転できなかった為である。


【診療用放射線照射装置(コバルト60照射装置)】

8-5.破損状況表8-5  図8-5
8-6.具体的な破損及び故障内容(寝台,制御器,照準器等)

8-6 具体的な破損及び故障内容
◎装置の移動、壁にぶつかりアーム破損


【線源貯蔵タンクからの放射線漏洩について】

8-7.漏洩線量の測定をされていましたか?表8-7
8-8.「測定した」と答えられた方へ表8-8


【コバルト照射装置への影響】

 震度6において1施設(7施設中)が修理不能となったものの、一番恐れていた放射線の漏洩が全く無かったのはリニアック同様本体の固定、重量と壁の厚さが大きい事に関係したようである。


【腔内照射装置(RALS)】

8-9.破損状況(アプリケータ)表8-9
8-10.破損状況(支持器について)表8-10


【線源貯蔵タンクからの放射線漏洩について】

8-11.漏洩線量の測定をされていましたか?表8-11
8-12.「測定した」と答えられた方へ、その結果はどうでしたか?表8-12
8-13.線源位置の確認をされましたか?表8-13
8-14.線源タンクの設置方法について表8-14
8-15.今回の地震で線源タンクが移動しましたか?表8-15  図8-15
8-16.その他の破損及び故障内容(寝台,貯蔵容器,線源等)

8-16 具体的な破損及び故障内容
◎泥水の浸水により使用禁止

8-17.装置が正常に動作するまでの日数


【腔内照射装置(RALS)装置への影響】

 RALS装置本体、線源貯蔵タンクともに損傷は無く、わずかな移動にとどまったが、ここでも線源貯蔵が地下のために浸水による被害があった。また、地震直後に漏洩線量を測定した設は震度6以上の施設において90%行っており、また、その全てが漏洩なしであった。
 危機管理の点か、ら地震の際はどの施設においても漏洩線量測定はおこなってもらいたい。


【シミュレータ】

8-18.破損状況表8-18  図8-18
8-19.具体的な破損及び故障内容(寝台,制御器,支柱等)

8-19 具体的な破損及び故障内容
◎コントロールボックスの転倒により二次的にテーブルの一部が破損


【シミュレータ装置の影響】

 震度6以上で倒壊に伴う2次的災害を含めて損傷を受けた施設が 2台(10%)発生し、震度5以下では被害はなかったようである。また損傷も機器本体の転倒、移動によるものはなかった。


【ハイパーサーミア】

8-20.破損状況表8-20
8-21.具体的な破損及び故障内容(寝台,制御器,電極等)


【測定機器(線量計,コンピュータ等)】

8-22.破損状況表8-22
8-23.具体的な破損及び故障内容

8−23 測定機器の具体的な破損及び故障内容
◎サーベイメータ破損
◎CPUの画面が割れる


【周辺機器、線量計の影響】

 CPU、線量計等の周辺機器は本体が軽量にもかかわらず2台の損傷に留まった。これは他の検査装置の被害状況から見て、設置場所が地下にあったためと思われる。


【復旧が遅れた理由】

8-24.放射線治療関係で被害を受けた装置が復旧(または復旧見込み)までに要した日数及び復旧が遅れた理由


【地震の対策について】

8-25.放射線治療関係について何らかの地震対策をしていましたか?
8-26.放射線治療関係における地震対策を検討する場合、どのような対策をお考えになりますか?


【治療中に地震が発生したら】

 リニアック、コバルト装置ともに治療寝台は機構上1m以上の高さで治療を行っているために今回の様な大地震が起こった場合、患者の転落は免れず、また操作室から治療寝台まで距離があるために救助が迅速に行えないことから固定方法と転落時の衝撃の吸収を考慮した床の必要性等が問われる。
 腔内照射装置のように患者の体内に器具が挿入固定されている場合は外照射以上に人的被害は大きく、支持器の固定も含めた改善策がいる。また、停電時における線源のタンクへの収納も作業従事者は迅速に行動できるよう日頃の訓練を怠らないようにしなければならない。
 次に、放射線管理区域である放射線治療室は災害時には放射線障害防止法等の法令に従った速やかな対応も必要であり、また訓練も必要である。


(c)1996社団法人兵庫県放射線技師会(デジタル化:神戸大学附属図書館)