命を支える食生活を守るために 兵庫県栄養士会 平成9年5月 p106-119


5 調査活動

(1)会員及びいずみ会員を対象としたアンケート結果

1. 調査の概要

 被災時の食生活の状況を調査し、今後の非常時における食事についての対策を検討する資料とするため実施した。
 平成7年8月〜10月、被災地の栄養士会員及び兵庫県いずみ会員(食生活改善推進員)を対象に被災の状況、食品の備蓄、救援物資、調理器具等について調査した。
 調査の方法は、郵送による留置法で、回答は後日返送してもらった。
有効回答数は、栄養士会員207人、いずみ会員205人であった。

2.調査結果

問1 被災の状況(人)

問2 避難所で生活したことがあるか。(人)

間3 震災当日に食べたものは

  1. カップラーメンや菓子パン、食パン、おにぎりが主であった。
  2. 他には、果物、クッキー、モチ、レトルト食品であった。

問3-1 震災当日、食事をしたか(人)

問3-2 食物の入手方法(重複回答) 上段:いずみ会員 下段:栄養士会員

問4 市町から配給された食事について(重複回答) 上段:いずみ会員 下段:栄養士会員

問5 ふだんから食塩や水を備蓄していたか 上段:いずみ会員 下段:栄養士会員

問6 備蓄についてどう思いますか(重複回答) 上段:いずみ会員 下段:栄養士会員

問7 備蓄食品として、どんなものがよいか

  1. 最も多いのは缶詰(プルトップ)、次にレトルト食品、インスタントやカップラーメン、かんぱんであった。
  2. レトルトかどうかわからないが、ごはんと答えている人も多く、他に米、α米と答えている。
  3. その他、チョコレート等の菓子類、スキムミルク、カロリーメイト、ジュース、餅、インスタントの味噌汁やスープ、チーズ、乾燥野菜、乾麺、乾物、冷凍食品等であった。

問8 飲み水は、備蓄していましたか(重複回答) 上段:いずみ会員 下段:栄養士会

間9 震災当日、飲み水等は、どうして確保したか

  1. 親戚、友人が持ってきてくれた。
  2. 給水車からもらった。
  3. 井戸水、地下水を利用した。
  4. 店に買いに行った。
  5. 風呂の水を沸かして利用した。
  6. 出ているところにもらいに行った。
  7. 断水しなかった。

問10 家で生活していた人(重複回答) 上段:いずみ会員 下段:栄養士会員

間11-1 調理器具で使えなかった物

  ガスを使用する物全部

間11-2 震災時、どんな調理器具が必要と思うか

  1. 今回の震災では、電気が比較的早く復旧したこともあり、電磁調理器や電気コンロ、電気炊飯器等の電気製品をあげている人が多かった。
    次に多かったのは、カセットコンロであった。

問12 野菜等の入手について

問13 救援物資の状況

問15 地域・グループ・組織についてどう思うか(重複回答) 上段:いずみ会員 下段:栄養士会員

問16 震災から今までの、家族や本人の健康状態はどうか

  1. 精神的ストレスが最も多く、イライラしたり、不安感、不眠、血圧の上昇神経性の下痢や便秘という人が多かった。また、生理が止まったという人もいた。
  2. 肉体的ストレスも多く、疲労感、倦怠感、腰痛を訴える人もいた。疲労から、転倒やけがをしたひともいた。
  3. その他、アレルギーや皮膚炎、すい臓疾患、膀胱炎等の疾患が発現している人もいた。

問17 ライフラインの途絶えた時の工夫は

問18 震災時に気をつけておくと良いこと

(アンケート様式)

 皆さん、お元気ですか。
震災から、10ヵ月たちましたが、今でも悪夢のように思えてなりません。
 二度と起きてほしくないことですが、この私たちの体験を、ご支援いただいた全国の方々に報告したいと思います。
 そこで、また十分復旧していない時に、アンケートをお願いして申し訳ありませんが、この体験を全国の会員の皆さんに、お知らせし、日常の対応の参考にしていただけたらと言う気持ちで、ご記入、いただきたいと思います。

  ●震災時の住所(         )   ●今の住所(         )
該当する( )の中に○印、又は感じられたことを記入ください。
1 あなたの家は、震災をうけましたか。
  (  )全壊 (  )半壊   (  )家具類がほとんど破壊
  (  )破損が少なかった  (  )家族に亡くなった人がいる。
  (  )家族に怪我をした人がいる。
2 あなたは、避難所で生活されたことがありますか。
  (  )ある (  )ない
  あると答えた人  震災の日から、約(  )日間ぐらい
             震災後(  )日目ぐらいから(  )日間
3 皆さんお答え下さい
 ・震災当日何か食べましたか  (  )食べた (  )食べない。
 ・食べた人−何を食べましたか(       )
 ・食べ物は、どうして手にはいりましたか
  ( )自分で ( )市町 ( )炊き出し ( )親せき・知人
  ( )その他(      )
 ・食事らしいものが食べられたのは、震災からく )何日目
 ・何が一番食べたいと思いましたか(         )
4 市町から配給された食事について、該当するものにいくつでも○印をつけてください。
  ( )うれしかった   ( )まずかった    ( )量が多かった
  ( )油料理が多かった  ( )暖かい料理が少なかった
  ( )良い味付け    ( )野菜が少なかった  ( )辛かった
  ( )容器に工夫がほしかった  ( )量が少なかった
  ( )料理に工夫がされていた  ( )パンがまずかった
  ( )その他(     )
5 あなたは、ふだんから食料や水を備蓄していましたか。
  ( )備蓄していた ( )していない  ( )時々していた
6 あなたは、備蓄についてどう思いますか
  ( )市町など行政が対応する方がよい  ( )個人が備蓄
  ( )備蓄していたが利用できなかった
  ( )その他(    )
7 備蓄食品は、どんなものが良いと思いますか。食品名を記入してください。
  (   )(   )(   )(   )
  (   )(   )(   )(   )
8 飲み水は、備蓄していましたか
  ( )ボトルで備蓄  ( )ポリ容器で備蓄 ( )していなかった
  どれぐらい備蓄していましたか(    )
9 震災当日、飲み水などは、どうして確保されましたか(全国の人が一番知りたいことです)ご記入ください。
10 家で生活しておられた人、該当することに○印を記入ください。
  ( )食事は家で作っていた  ( )配給のお弁当を食べた
  ( )一部作っていた     ( )作る気がしなかった(  )食べたくなかった
  ( )ガス・水・電気がないので作れなかった
  ( )その他(     )
11 調理器具の中で使えなかったものは、主にどんなものでしたか
 (  )(  )(  )(  )
 (  )(  )(  )(  )
 ・破損しなかったものは、主にどんなものでしたか。
 (  )(  )(  )(  )
 ・震災には、どんな器具が必要だと思いましたか。
 (  )(  )(  )(  )
12 野菜等についてお尋ねします。
  ( )入手できなかった ( )入手できた→どんな方法で、入手できたか(     )
13 救援物資はどんなものがうれしかったですか
  ・食品等(    )(    )(    )(    )
       (    )(    )(    )(    )
・衣類
・その他
・救援物資は十分ありましたか。(  )十分 (  )不足
 ・どんな救援物資が必要とおもわれましたか。
  (   )(   )(   )(   )
14 配給された食事、覚えておられることだけお書きください。
 ・2月始ごろの一日分(献立・食品名・量など、わかるもの)



         朝食         昼食         夕食
  ○不足していると思う食品群は? (          )
 ・4月始ごろの一日分



         朝食         昼食         夕食
  ○不足していると思う食品は?(          )
15 震災を体験して、あなたの地域・グループ・組織などについてどう思われましたか。
  (  )必要だと思った      (  )力強く思った  (  )あまり助けてもらえなかった
  (  )必要だと思わなかった  (  )組織に入っていてよかった
  (  )その他(      )
16 震災から今まで、あなたや家族の健康状態は、いかがですか気のつかれたことがあれば、お書き下さい



17 ライフラインの途絶えた時の工夫があればお書き下さい



18 その他、他府県の方々が、震災時に日常から気をつけておきたいことがあれば、お書き下さい

(2)仮設住民対象のアンケート結果

1. 調査の概要

 仮設住宅での食生活の問題点を明らかにし、今後の栄養士会活動の方向を検討する資料とするため実施した。
 平成8年3月、仮設住民を対象に、食事内容、料理講習会、友人関係等について調査した。
 調査の方法は、訪問による留置法で後日回収した。
 有効回答数は、202人。

2. 調査結果

問1 今、体の調子はいかがですか?

問2 食生活のなかで、困っていることは
  上位
   1位 買い物が不便(8人)
   2  台所が狭い(4)
   3  食器・器具がほしい(3)
   4  食がすすまない(2)
      物価がたかい(2)
      作りたくない(2)
      出来合いのものばかりで、栄養
      がかたよる(2)
      野菜不足(2)

問3 食生活で一番望むことは(複数回答)

問4台所の設備でほしいもの

  上位5つ
   1位 調理台(20)
   2  電子・ガスレンジ(19)
   3  2口コンロ(8)
   4  ロースター(4)
   5  食器・器具(3)

問5 近所に親しい人ができたか

問6 料理講習会、食事と健康の話と試食会などの実施について
 6-A 内容について

 6-B 回数について

 6-C どんな内容を希望するか
  上位5つ
   1位 健康になるための食事と調理方法(11)
   2  簡単料理(6)
   3  栄養とバランスを考えた料理(4)
   4  食事指導のための料理(3)
   5  子供のための料理(2)・安くておいしい料理(2)

問7 食事は3食きちんとたべているか

問8 魚・肉・卵・豆腐類を毎日たべるか

問9 野菜類はよくたべるか

問10 厚生省にしてほしいこと
 上位
   1位 医療費免除の延長(8)
   2位 住宅がほしい(4)
   3位 仮設が寒い(2)
      健康増進の運動を教えてほしい(2)
      食事の配給(2)
      近くに病院がほしい(2)

(アンケート様式)

アンケートのお願い

平成8年 月 日

 お元気ですか?今までの住み慣れた家、地域を離れ不自由な生活環境などで、不安も多いと思われますが、力を合わせて頑張りましょう。健康とかかわる食生活におたずねします。ご協力くださいますようお願いします。

1.今、体の調子はいかがですか? ○印をつけてください。
  (1)元気 (2)あまり元気でない (3)病気がち(どんな病気ですか      )
 *(3)と答えられた方
  a.病院・医院で受診している  b.病院・医院で受診できない(理由は      )
2.食生活の中で、一番困っていることをお書きください。
  (              )
  (              )
3.食生活で一番望むことは何ですか? ○印をつけてください。
  (1)弁当を配食してほしい(有料でも) (2)食材の宅配をしてほしい(有料でも)
  (3)近くに食料店がほしい       (4)食費の補助
  (5)その他(           )
4.台所(調理)の設備でほしいものをお書きください。
  (              )
  (              )
5.近所に親しい人ができましたか? ○印をつけてください。
  (1)できた (2)誰もいない (3)つきあいたいと思わない (4)その他(       )
6.料理講習会、食事と健康の話と試食会などをしていますが、それについておたずねします。
 A.内容について
  (1)役に立つ (2)参加すると何かはプラスになる (3)役に立たない
 B.回数について
  (1)もっと多い方がよい (2)どちらでもよい (3)してほしくない
 C.どんな内容を希望されますか? お書きください。
  (              )
7.食事は、朝食・昼食・夕食と3食きちんと食べていますか? ○印をつけてください。
 (1)ほとんど毎日3食食べている (2)朝食はほとんど食べない
 (3)昼食はほとんどたべない   (4)いつも不規則
8.魚、肉、卵、豆腐類などは、毎日食べますか? ○印をつけてください。
 (1)毎日数品を食べている  (2)毎日何か一品は必ず食べている
 (3)どれも食べない日がある (4)ほとんど食べない
  *(3)(4)と答えられた方の理由は? 
   a.高いから買えない  b.仮設住宅では魚等焼けない  C.好きでない
   d.その他(     )
9.野菜類は、よく食べますか? ○印をつけてください。
 (1)3食食べるようにしている (2)1日1回は食べる (3)ほとんど食べない
  *(3)と答えられた方の理由は?
   a.作るのがめんどう  b.台所が狭い  C.買い物が不便
   d.高いから買えない  e.好きでない  f.その他(       )
10.厚生省(健康の関係)にどんなことがしてほしいですか? お書きください。
  (                                                  )
  (                                                  )
☆ご協力ありがとうございました。
  私達の栄養士会は小さな会ですが、全国に仲間がいます。全国の支援を受け、皆様がたの要望を厚生省に伝えるよう支援活動を進めます。

社団法人兵庫県栄養士会

(3)震災が心身に及ぼした影響

 長期化する避難所生活や、仮設住宅での生活は、被災者の心身に様々な影響を及ぼした。特に避難所では、精神的ショックやストレスから何らかの自覚症状を訴える者が多かった。
 また、行政とともに実施した巡回栄養相談では、表(P72)のとおりで、仮設住宅入居者では、高血圧・糖尿病、その他の成人病、老人食、その他の慢性病に対する栄養相談が多く、長期の片寄った食生活が少なからず影響を及ぼしているのではないかと考えられる。
 これについては、ひきつづき行政と協力のうえ、栄養相談や講習会等の活動を実施していく必要があるのではないか。

(4)考察と課題

  1.  普段から食糧や水の備蓄について、30%に満たない人しか備蓄していなかったこの割合が、少なかったと見るべきかどうかは、はっきりと言えないと思うが、少なくとも、非常時の対応について、認識があまかったと言っても過言ではないだろう。
  2.  また、備蓄について、いずみ会員、栄養士会員ともに「個人が備蓄すべき」と答えている人が多かったことについて、今回の震災で行政の対応に対して、何らかの不満等があることの裏返しとも言えるのではないか。
     しかし、行政のみに頼るのではなく、個人での対策も必要不可欠であることは確かであり、栄養士会としても、食糧の備蓄を含め非常時の対策をマニュアル化することが必要である。
  3.  更に、地域・グループ・組織についてその必要性を改めて認識するとともに、今後は、非常時に迅速に活動できるネットワークづくりが重要であることを確信した。
  4.  なお、このような震災を体験することは、初めてのことであり、非常時に様々な調査が実施され、被災者の立場からみると非常な負担ではなかったかと、心苦しいおもいもした。今後は、この体験を生かし、被災者の負担にならない調査のあり方について考えていくべきだと思う。

(c)1997兵庫県栄養士会(デジタル化:神戸大学附属図書館)