I. 震災直後の会議所

 阪神・淡路大震災の発生により、神戸に拠点を持つ企業は、業種・規模にかかわらず、事業所の倒壊、生産設備の損傷など甚大な被害を被った。本所についても、ポートアイランドという場所柄、比較的会館への被害は軽微であったものの、本土側と同様に停電、断水、ガスの停止、電話回線の不通等が生じた。会費収入見込みの見直し、共済事業の支払い、会館の補修、神戸経済の被害状況の把握、震災復旧・復興事業を行うべく、事業計画・予算についてゼロからの見直しが必要となった。さらに、一刻も早く地域商工業者の被害状況を把握し、融資・税制等の緊急相談に応じるため、被災した支部に代わる拠点を本土の市街地に確保した。

 次に、震災当日から出勤した高畑事務局長の日記より、1月17日から31日までの会議所の様子を抜き書きしてみる。

 平成7年1月17日(火)

  午前5時46分、阪神大震災発生する。当初震度6、後7と訂正される。マグニチュード7.2。午前8時ごろに会館防災センターより被災概要について自宅に電話連絡あり。現場での対応をお願いする。

  会議所へ向かう途中母を救出し、商工貿易センター前より歩いて神戸大橋を渡り、液状化で水浸しの島内を歩いて、午後4時ころに会館へたどり着く。直ちに会館の事務所棟、ホテル棟を点検する。幸いにも、ホテル棟宿泊者をはじめ人命には被害がなく安心するものの、建物は、事務所棟は各階ともロッカー等か倒れ、さらに4階職員室給湯機の水道管が外れ、水が溢れて4階、3階、2階へと流れ出し.防災センター職員がバケツ等を置いてくれてはいたか、水びたしの状態。

  ホテル棟も屋上の給水塔のタンクかつぶれ、16階、15階、14階に水があふれている。また階段室、客室を含め亀裂が入り、とても営業できる状態ではなく、会館運営の今後の難しさを痛感する。

  電話は全く不通であり、外部との連絡がとれず、防災センターの電話が何とか通じるので、二木専務理事に状況を報告する。専務の奥様のご両親家族が生き埋めとなり、やっと救出されたものの、なお、実父も自宅の下敷きになったままとのことで、救出に努めてもらうよう伝える。夜は、本所1階の「田村」の座敷で.座布団を敷いて寝る。

  震災当日の防災センター

 

  1月17日の震災当日、1階の防災センターに宿直していたのは、警備の森田隊長、高橋氏、

  会館管理の茅原氏、松原氏、ホテル6階には警備の堀氏. 下釜氏がいた。明け方の5時46分、

  バーンと言う音とともに仮眠中の森田隊長の枕元でテレビか激しく揺れた。上に乗っていた

  碁盤は、幸いなことにテレビの裏側へ落ちた。

   飛び起きて防災センターに駆け込むと、センターは停電していた。ビルを集中管理する機

  械類は壁に固定してあったため、倒れはしなかったものの、どれもこれも異常を示していた。

  1つはホテル棟15階のスプリンクラーの作動を示していたが、本当に水を吹き出しているの

  かどうかは、行ってみなければ分からない。ホテルからは、作田ナイトマネージャーとレス

  トラン「ディアナ」の従業員が駆け込んできた。

   ホテルゴーフルリッツの宿泊客は約30名、ホテルの6階の警備員を呼び出し、宿泊客を避

  難誘導するように指示した。一方で、日頃から決めてある緊急連絡先に電話をかけるが、全

  く通じない。ホテルにはドアの開かない客室もあったが、宿泊客はバルコニーから外に出る

  などして1階ロビーに集合した。幸いなことにけが人はなく、皆、毛布にくるまって暖をとっ

  た。

   30分ほど経ったころ、防災センターの電話が鳴った。神戸商工会議所総務部の森脇調査役

  からであった。「会館は大丈夫か。高畑事務局長がそちらに向かっているらしい。」自宅から

  は電話が繋がらないので、公衆電話からかけているとのことだった。

   外が薄明るくなってきた。会議所会館裏の駐車場に出てみると、駐車券発券機のそばの地

  面が異様に盛り上がっていた。これはただごとではない。懐中電灯を手に、会館の様子を見

  ることにした。やはり最上階の9階は揺れがひどく、机も棚もめちゃくちゃだ。窓の外、山

  手を見ると、まだ暗い中に、火の手が上がっているのが見えた。長田のあたりである。8階、

  7階と順番にフロアを回り、5階の経済情報センターに着くと、図書を保管する開架式書架

  が将棋倒しになっていた。4階は床が水浸しだった。北側の部屋の給茶器が倒れ、その拍子

  に水道管がひきちぎられたのだ。水はどんどん溢れ出て、下のフロアへ漏れており、水道の

  元栓を止めるしかなかった。

   自家発電は、停電後少しの間動いていたが、まもなくダウンした。もちろん、暖房もなく、

  食べ物もなかった。午後4時頃に高畑事務局長と警備の村上主任が防災センターにたどりつ

  いた。村上主任は大阪の自宅を朝7時頃出発し、歩いて来る途中、神戸大橋の上で高畑事務

  局長と会ったのだという。とりあえず、警備の高橋氏には宝塚の自宅に帰るように指示した

  が、高橋氏も交通手段はなく、夜までかかって帰った。通常の勤務は交代制だが、交通手段

  かないということは、交代も来ないということだ。余震が続き、気の抜けないまま、21日ま

  で防災センターに詰めた。22日にポートアイランドから明石まで徒歩で6時間15分、明石か

  らは電車に乗れ、姫路の自宅に帰った。

 1月18日(水)

 事務局2階の電話が通じるようになり、朝から1人で電話応対をする。1人でははかどらないし、空腹をおぼえたため、ポートアイランドに住む木村さん、吉識さんの2人に電話し、食べるものを持って応援に来てもらうように依頼し、3人で対応を始める。2人の女性には、取りあえず職員の安否確認の電話連絡をお願いするが、なかなかどこにも通じない。

 神戸市経済局より、「大企業の寮などを避難所に提供してほしい」旨の要請があり、連絡のつく企業に連絡するが、各社はそれぞれの対応に追われている。

 外部からの電話での問い合わせは、珠算検定の実施について多数の問い合わせがあり、電話応対に明け暮れる。

 午後より高田総務部次長、森脇同調査役の2人が出勤する。森脇調査役は西宮から歩いて来たとう。3人で商工会議所の対応策について話し合う。まず、災害対策本部を設置し、神戸経済の復旧・救援に役立つ方策に取り組むことと、その内容の検討を指示する。

 兵庫県商工部より、被害実態と今後の要望を取りまとめるように連絡があり、下記の文章を書いて個人名で報告する。

     震災直後の事務局(本部)

        兵庫県南部地震の被害と今後の要請(メモ)

 

   六甲山系以南の神戸市の既成市街地は、産業・住民を問わず壊滅的打撃を受け、一日も早

  い救済を待ち望んでいる。

   産業界においても、業種・規模を問わず店舗・工場・事務所は倒壊・破壊・火災を受け、

  生産・営業活動は全く停止している。

   とりわけ中小企業・地場産業においては、JR新長田駅周辺に立地するケミカルシューズ

  業界は、地震とその後の火災により焼きつくされた状況となっている。また、一部量販店を

  除き、三宮センター街等の都心や近隣商店街も倒壊・火災の被害を受け、全くかつての姿を

  とどめていない。

   このような状況の中で、地元経済界としては、復旧へ向けての政府の手厚い救済策の一日

  も早い実施を待ち望んでいる。第1には、米・水をはじめとする生活物資の確保、仮設住宅

  の建設、第2には、生産・営業活動か停止した中での既存債務の返済免除、国税等の免税措

  置の実施、第3には、これからの復旧へ向けての無利子復興融資等の実施が強く望まれると

  ころである。

   平成7年1月18日

                             神戸商工会議所

                              事務局長 高 畑 政 夫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1月19日(木)

 事務局内で一応、高田、森脇と私の3人が揃っており、災害対策本部を設置したこととする(正式には1月20日とする)。まず、職員の安否確認と出勤を各管理職に命ずる。正副会頭との連絡も、電話の通じなかった瀧川副会頭を除く皆様の無事を確認する。役員、議員会社への電話連絡を行うも、ほとんどの企業は通じなし、。ポートアイランドの企業も多くが出勤していない状況である。

 午後より職員が続々と出勤してくる。安田課長にコンピュータの状況を点検してもらう。停電によるトラブルを懸念したが、何とか記憶の方が大丈夫ということで、1月の給与振替等も実行できることを確認する。

 ポートアイランドの本部では本土側の被災状況の把握や復旧相談にも応じるのが困難なので、何としても被災した中央支部に代わる拠点を本土側に設けることが急務である。そこで、ハーバーランドの神戸市産業振興センター内の1室を借りることの折衝を、計谷中小企業振興部長、藤田産業部副部長に指示し、概ね手当てがつきそうになる。

 村山総理大臣が被災地視察に訪れるというので、要望事項を取りまとめ、牧会頭に連絡を取り、了解を得るが、会頭より自衛隊の大量動員を要望するよう指示があり、盛り込む。

1月20日(金)

 若宮の須磨体育館での大西前副会頭の葬儀に参列する。体育館一杯に枢が並ぶ。

 大阪商工会議所深江事務局長等2名、救援の食料、携帯電話6台を持参しお見舞いいただく。近畿商工会議所連合会として緊急要望を行っていただく等ご協力に感謝する。

 次々と職員出勤する。災害対策本部の設置を正式に宣言し、各種の対応策を実行することとする。

 〜災害対策本部の設置〜

 会員事業所の被災状況等に関する情報収集、緊急相談への対応、国・県・市等への緊急要望をはじめ、経済復興に向けての諸課題に取り組んでいくため、牧本所会頭を本部長とする災害対策本部を1月20日に設置した。

 本部では、従来の部課の枠を越えて、会員をはじめ商工業者の被害状況把握に努めるとともに(会員事業部中心)、融資等の緊急対策窓口の対応に万全を期する(中小企業振興部・支部)一方、地元業界・企業の復旧支援(産業部中心)、行政との連絡やマスコミ対応(企画部中心)、各方面からの支援の受入れ、会館の復旧(総務部中心)などに取り組み、困窮する地域商工業者の要請に応えるための体制を固めた。

 また、その出先機関として、神戸市産業振興センター(ハーバーランド内)に使用不能の中央支部に代わる仮事務所を同日に設置、続いて1月23日に東神戸支部、2月10日に兵庫支部、西神戸支部を順次復旧、これで震災前と同様の5支部1支所がすべて再開した。

   震災直後の海外からの反応

   1月20日(金)は、アメリカ、ドイツから国際電話が本所に入り、お見舞いの電話と思

  いきや、震災で倒壊したビルを取り壊す機材の売り込みであった。

   特に、アメリカからは、1年前のノースリッジの地震の際活躍した自社の機材をビル解体

  業者に使ってもらいたいので、直ぐにコンタクトを取りたいとのことであった。

   海外から震災見舞いのファックスが数多く届きつつあるなか、大阪のアメリカ総領事館の

  商務部も、1月26日(木)には領事2名が天保山より船で来所し、建設関係の復興に是非と

  もアメリカの企業を参画させ、貢献したいとの申し出があった。

   一方、多くの外国人ボランティアが、行政にたらい回しされた挙げ句、本所に電話をかけ

  て、様々な問い合わせをしてきた。そのなかで特に印象に残ったものは、震災当日、関西国

  際空港に到着し、観光で京都を訪問する予定のアメリカ人が、テレビで神戸の被災状況を見

  て、予定を全てキャンセルし、ボランティアとして神戸に入り、長期にわたり活動していた

  ケースである。その人は、外国人ボランティアのリーダー的な役割を果たし、中央区役所で

  寝泊まりして、救援活動を助けていた。

   有り難い援助の申し出や、震災を大きなビジネスチャンスととらえ、必死に売り込む外国

  人ビジネスマン等色々であったが、神戸という名は、世界中の人の脳裏に焼き付けられたこ

  とは間違いない。

1月21日(土)

 正午より、会頭にも出席願い、業務会議(部長以上の会議所事務局幹部による業務連絡会議)をハーバーランドの産業振興センターで開催し、本・支部の被災状況、災害対策本部の設置、ハーバーランドの産業振興センター内に中央支部仮事務所の開設等を報告するとともに、今後の会議所事業についてゼロから見直し、復旧・復興対策を重点とすることを決定する。また、女性を含め来週より職員の出勤を指示する。

1月23日(月)

 三木専務理事が亡くなったご尊父の検死、遺体安置を終え、出勤する。

 午前11時より、出勤した職員40名に対し、被災状況、災害対策本部の設置、当面の仕事等について説明し、これからは復旧・復興をめざし、ゼロからの出発を呼びかける。(次ページの「今後の対応策について」を職員に配布。)

 午後1時から2時半まで正副会頭会議を開催し、緊急要望や本所の取り組みを協議する。特に、ライフライン、交通基盤の整備、無利子融資、既存債務の支払い猶予、特別立法の制定等の考え方をまとめるとともに、支部の復旧を急ぐよう指示あり。

 本所議員会社に対し、被害状況についての緊急調査をFAXで送るも、53社がFAXの送信不能が判明する。

  「兵庫県南部地震への対応に対する緊急要望」を政府へ提出する。

                                 平成7年1月

  職 員 各 位

            今 後 の 対 応 策 に つ い て

 言うまでもなく今回の災害の影響は非常に大きく、都市のあらゆる機能が壊滅的打撃を受

けており、企業においても同様である。この様な状況にあって本所の役割、やるべきことは

従来とは大きく変わっていくと考えられ、職員においても従来の価値観や常識をも転換して

いかねばならないと思われる。今回の被害の大きさから、社会的、経済的な混乱は長時間に

わたり続き、本所の活動にも予想もしなかった状況が発生することも考えられるが、職員各

位はこのような状況にも動揺することなく、神戸商工会議所職員としての誇りと使命感をもっ

てフレキシブルに対処し常に積極的に業務に取り組まれたい。

1. 本所施設の被害状況(現在判明しているもの)

 (1) 本部

 割れや沈下あり。

 どできない状況。

 (2) 中央支部

 止となっている。(当分は使用不可能か)

 (3) 兵庫支部

 の貼り紙あり。少なくとも当分は使用不可能と思われる。

 (4) 西神戸支部

 能な地域内にある。当分は使用不可能と思われる。

 (5) 東神戸支部

 門家の判断を得る必要があるので当面は使用しない。

 (6) 垂水支部・北支所

 者等に安全確認する。

2. 当面の対応策

 (1) 神戸商工会議所緊急対策本部の設置

 (2) 事務所の設置について

  * 本部

   建物の損傷状況をチェックしながら使用可能な箇所は従来通り使用する。(詳細は随

   時連絡する)しかし、事業面においてはポートアイランドへのアクセスがマヒ状況に

   あるので、一部支部において実施する必要がある。(詳細は後述)

  * 支部

   現在使用できる建物は垂水支部・東神戸支部と北支所のみであるので、緊急にハーバー

   ランドの産業振興センター5階の1室を借り受け中部支部(仮事務所)とする。

   それぞれの支部のテリトリーは次の通り。

     ⇒東灘区、灘区、中央区のうち旧葺合区を担当

     ⇒中央区のうち旧生田区、兵庫区、長田区を担当

     ⇒須磨区、垂水区、西区の一部を担当

     ⇒北区、西区の一部を担当

 (3) 従来業務への対応

   状況の激変により、従来業務も大きく見直す必要のあるものが多い。個々の業務につ

   いては各部において詳細に再検討することとするが、大まかな方向は次の通りとする。

  (緊急理事部長会議におけるフリートーキングの結果)

  1 常議員会

    2月以降も従来通り実施するが、最低出席人数の確保、常議員自身の安否など不安

   点多い。

  2 正副会頭会議

    緊急対策本部会議として必要に応じて随時開催の必要あり。

  3 議員総会

    従来通り実施するがこれも議員の安否や、出席も考えられ不安点多い。

  4 部会、委員会関係

    各担当部で時期を見て部会長、委員長と相談の上、今後の方針を決めることとする

   が、当面予定されている(1〜3月)会議は実施不可能ではないかと思われる。

  5 機関誌

    「神戸商工だより」は当分の間休刊、「会議所ニュース」は内容を緊急広報と情報

   交換に絞り込み、出来るだけ早い時期に第一報を出す。

  6 異業種交流、研究会等

    状況から判断して当面実施はむずかしいと思われるが、時期を見てそれぞれの世話

   人、座長等と相談。

  7 講座、講習会

    2月中旬スタートの簿記講座や販売士養成講座は諸事情が許せば予定通り実施する

   方向で努力する。但し、一般の実務講座は本・支部とも当分の間実施しない。

  8 貿易証明

    コンピュータ端末、レジ、金庫、台帳等の諸条件が整い次第、本部から産業振興セ

   ンター(中部支部)へ移し行う。

  9 検定

 隣の会議所に受験者の受入れが可能か日商で調整中。

  10 出版物

    現在作成中の「神戸商工名鑑」は中止、その他これから作成するものはその都度再

   検討。

  11 各種懇談会(会議)等

    行政や他経済団体との懇談会は従来通り行う方向で努力する(当面の京阪神三商懇

   は大商に依頼、また地元経済団体との懇談会も実施したい)。

    但し、会員対象の新会員懇談会や中堅会員懇談会は中止する。

  12 共済関係

    従来通り行うが、生命共済や特退共、個人年金には大量の支払い事務や解約事務へ

   の対応が予想されるので、早急に保険会社ともその対策を十分検討する必要あり。

  13 各種講演会

    不急の講演会は実施しない。但し、緊急に会員に知らせるべき事項についての説明

   会等は迅速にかつ活発に実施する。

  14 定期調査

    BSIなど現況では意味のない調査は実施しない。但し、復旧にかかわる調査等は

   随時迅速に実施する。

  15 就職フェア

    必要性、実施方法など根本的に再検討する。

  16 労働保険事務組合

    従来通り継続。しかし大幅な加入者減が予想される。

  17 トレードブリテン

    引き合いがほとんどないと思われ事実上中止か?

  18 新幹線エコノミー切符販売

    当分の間販売中止。なお、販売済みの切符の払戻請求があった場合は、銀行振込に

   より返金するものとする。

  19 各種会員サービス事業

    会員の船、会員の旅、テレホンカードなどは当分の間実施しない。DMサービス、

   ミニ人間ドック、チェンバーズカード、ホテル割引などは可能であれば実施。

  20 受託事業(パートの待遇改善事業)

    委託先と相談して方針を決める。

  21 経営改善普及事業

    現下の情勢から今後は本所の主要事業として従来にも増してウエイトが高まると考

   えられる。但し、その内容については、従来とはかなり様相が変わっていくものと思

   われる。例えば、従来のマル経融資や集団指導(セミナー)などから今後は復旧に関

   する金融、法律、税務相談、現況調査、各種説明会、情報提供などが中心となるので

   はないか。このため、この分野へのマンパワーの重点投入、情報の収集などが必要と

   なる。

  22 事業計画、予算案の作成

    現在作成中のものを全面的に見直し2月中旬までにまとめる。

  23 貸会場

    現状ではアクセスの問題もありほとんど貸せないと思われる(3月中は不可)。先

   方納得づくなら可能な会議室は貸す。

※事業実施にかかる統一的事項

  1.  一旦納入した参加料、受験料等各種料金の返却については従来これを一切やっていな
  2. いが現下の非常事態に鑑み、先方から返却要請があり正当な理由があると判断される場

    合は、臨機応変に対応し返却も可能とする(返却方法は経理と相談のこと)。

  3.  その他あらゆる事項について従来のやり方にこだわらず所属長と相談の上、臨機応変

に対応されたい。

      震災当時の三木専務理事

   1月17日、朝8時頃、高橋運転手が自分の車で駆けつけてくれる。「街はもう大変です。

  ポートアイランドもとても渡れません。どうしますか。」

   私はその直前、近くの妻の実家(灘区)が倒壊し、妻の両親、妹が埋まっていることを知っ

  た。会議所に向かう途中、立ち寄る。周辺多くの家が倒壊、あちこちで救出が始まっている。

  私も車を降りて義父母、妹の救出に加わる。数時間後、3人は救出された。(後日、義父、

  震災による病死。)

   その瞬間、私の父、兄夫婦が住む同じ木造2階建ての実家(東灘区)が危ないと直感。電

  話も通じぬまま、車で駆けつける。やはり、2階から崩れ落ちるように倒壊。兄夫婦の無事

  は確認できるものの階下の父が埋まったままである。人手は足りず、残りガスが充満し手の

  施しようもなく、余震の続く中、夜を迎える。

   私はいったん帰宅。高畑局長から電話を受ける。役職員の安否、建物の状況、周辺の状況

  を聞く。「専務はお父さんの救出に努めてください。」との局長の言葉に甘え、翌日からは父

  の救出に人手と機材を求め、区役所、消防署へと走った。やっと19日に自衛隊員によって父

  は救出されたが、圧死であった。検死、遺体の安置と続いたがこの間の行動の記憶は暖昧。

  おびただしい棺の並ぶ安置所に搬入できたのが1月21日であった。

   震災当日から出所、復旧活動に取り組んだ職員の皆さんに感謝と敬意を払いつつ、1月23

  日に出所した。職員の皆さんには身内を含め全員無事だったと聞いてホッとしたものの、大

  西前副会頭のご逝去を知り、地震の非情さ、怖さを改めて感じた。

 1月24日(火)

 私の席の前で、朝夕、各部代表者の情報交換会を開く。会館の復旧、マスコミ対応(西川企画部長に一元化)、会議所事業の中止等のお知らせ、FAX未達企業への対策や情報収集に努めるよう指示する。

 兵庫県竹田商工部次長より、国・県・市・経済団体等一丸となり、中小企業のため総合相談窓口を開設する旨の連絡があり、本所としても協力を約す。

 会館の復旧について、安井建築設計事務所・竹中工務店・ホテル・防災センター関係者が集まり、初の打合せを行う。また、柏井総務企画委員長より、会館の被災状況等について問い合わせの電話連絡が入る。

    液状化したボートアイランド

 1月25日(水)

  10時半より牧会頭と笹山神戸市長の会談が市役所で行われる。具体的な要望をどんどん中央へ出していくことを確認する。

  業務会議を開催し、1月23日の正副会頭会議以降の進捗状況、今後の取り組むべき課題について議論し、追加の要望を取りまとめることとする。特に、月末支払いを前に、民間金融機関の返済猶予等の要望を提出することで、米田副会頭、牧会頭の了解を得る。

  神戸市産業振興センター6階に、国・県・市・商工会議所等の関係団体が一体となり、

 「兵庫県南部地震中小企業総合相談所」が今日よりオープンする。

  京都・福井商工会議所よりお見舞いに来所あり。

 1月26日(木)

  国・県・市への緊急要望を取りまとめ、牧会頭の了解を得る。特に、1月30日には牧会頭に上京願い、中央の政官界へ陳情してもらうことになる。

  自宅が全壊した安田課長が出勤してくる。来年度予算はこれまでの案を捨て、ゼロからの発想をし、特に固定費の削減を検討するように指示する。

  2日ぶりに各部リーダーの情報交換を行う。要望、役員、議員へのファクシミリ通信刊行(下記)、議員連絡先の確認、会員確認の内容を打ち合わせる。

  日本商工会議所波多野事務局長、お見舞いに来所される。

 

             神戸商工会議所ファクシミリ通信

                                (平成7年1月26日)

 本所役員議員各位

  今回の地震により被災されました皆様にお見舞い申し上げます。本所では役員議員の皆様

 との迅速な情報交換を行うため、今後必要に応じ随時ファクシミリ通信をさせて頂きますの

 でよろしくお願い申し上げます。

   本 日 の 送 信

   1.本所施設の被害状況について

   2.今回の災害に対する本所の対応について

   3.兵庫県南部地震中小企業総合相談所の開設について

 

 

 

 

  1. 本所施設の被害状況

  本部―――若干の損傷あるが使用可能

  支部―――中央支部、兵庫支部、西神戸支部(当分使用不可)

       東神戸支部、垂水支部、北支所(業務実施中)

 2. 今回の災害に対する本所の対応について

  (1) 災害対策本部の設置

    牧会頭を本部長とする災害対策本部をポートアイランドの商工会議所会館内に設置。

   又その出先として、仮事務所をハーバーランド内の神戸産業振興センター5階(360

   ―3197)及び東神戸支部(843―2121)、垂水支部(706―1234)、北支所(593―

   4800)に設置した。同本部では@会員事務所の被害状況を始めとする情報収集、A緊急

   相談(緊急融資、復旧関連の法律相談、経営相談など)窓口の設置、B「神戸商工会議

   所兵庫県南部地震支援基金」の設置、C他都市商工会議所等への支援要請、D国、県、

   市等各方面への緊急要望、等に当面の課題として取り組む。

   ※すでに提出した要望

    1. 「兵庫県南部地震への対応に関する緊急要望」内閣総理大臣他
    2. 「兵庫県南部地震被災企業への支援に関する要望」日本開発銀行
    3. 「兵庫県南部地震被災企業への支援について要望」政府系金融機関
    4. 「兵庫県南部地震被災企業への支援についてお願い」全国銀行協会他
    5. 「阪神大震災に伴う経済復興に関する要望」政府、兵庫県、神戸市

  (2) 兵庫県南部地震中小企業総合相談所の開設について

    国、県、市、商工会議所等の関係団体が一体となって、被災事業者の事業再開等に関

   する各種相談に総合的かつ機動的に対応するため、下記により「兵庫県南部地震中小企

   業総合相談所」を設置した。

   1.開設場所 神戸市産業振興センター6階(中央区東川崎町1−8−4)

         360−3211

   2.開設時間 10:00〜17:00(土曜・日曜も開設)

   3.相談内容 (1) 当面する事業再開に関する相談

            (金融、保険、従業員対策、受発注等)

         (2) 今後の事業計画、経営計画に関する相談

   4.体  制 通産省(中小企業庁、近畿通産局)、兵庫県、神戸市等市町、政府系3

         金融機関、中小企業事業団、中小企業振興公社、商工会議所・商工会、

         中小企業団体中央会、信用保証協会、火災共済協同組合等の職員を配置

  (3) その他

    本所本支部で開催を予定しておりました各種会合、講演会、検定試験、春季簿記講座

   等は当分の間開催を中止します。なお、貿易証明発給は本部にて再開しております。 

 下さい。

 ご連絡願います。

        神戸商工会議所災害対策本部

       303−5801  FAX303−2312

                                      

 

 

                                      以 上

 1月27日(金)

 業務会議において、会員の安否確認について本部・支部一般職も含め全員で対応することとする。また、イベントプラザを共同事務所として開設することを検討。2月6日の常議員会において、神戸経済復興対策特別委員会を設置する方向でまとめることとする。

 要望書を三木専務理事、西川理事が、国の現地対策本部へ持参する。

 震災後、初の経済記者クラブとの懇談会を開催する。

1月29日(日)

 日曜出勤するが電話応対の件数は減り、マスコミ等からが中心となる。支部の様子を聞くと、金融や雇用関連の問い合わせが多いという。

1月30日(月)

 業務会議において、神戸経済復興対策特別委員会、復旧相談窓口、共同事務所の隘路打開策を検討する。

 牧会頭、西川理事上京し、「阪神大震災に伴う経済復興に関する要望」を陳情する。

1月31日(火)

 日本商工会議所より緊急要望案の提案があり、文案について地元の意見を申し述べる。

 牧会頭に2月6日の常議員会の議案を相談し、神戸経済復興対策特別委員会の委員長等の人選を内定する。また、2月以降の日程や運営を協議する。