V. 神戸経済の復興に向けた中・長期的な取り組み

 被災企業への支援等当面の復旧に努める一方、神戸経済の円滑な復旧・復興を進めるためには、長期的なビジョンが必要となった。本所では、神戸経済復興対策特別委員会を設置し、「新・神戸経済創成プラン」を策定したほか、復興を先導するプロジェクト等を着実に推進するために兵庫県・神戸市と共に側阪神・淡路産業復興推進機構を設置するなど並行して長期的な取り組みも実施した。

1. 神戸経済復興対策特別委員会の設置と「新・神戸経済創成プラン」の策定

 本所では、阪神・淡路大震災からの神戸経済の円滑な復旧・復興を実現するため、兵庫県・神戸市が策定する復興計画に反映されるよう経済界として産業復興計画を取りまとめる委員会として、平成7年2月6日、新たに「神戸経済復興対策特別委員会」(委員長:米田副会頭)を設置した。また、経済復興に向けた具体的な方策を検討するため、委員会の下部組織として「神戸経済復興対策専門委員会」(座長:小森星児姫路短期大学学長)を設置した。

 同委員会では、3月2日の第1回委員会以来、計委員会3回、専門委員会6回にわたる審議を経て、同年6月5日に、委員会報告書として「新・神戸経済創成プラン」を取りまとめ、国や兵庫県、神戸市等関係機関に提出・要望した。

 同プランでは、災害に強いインフラ整備や、既存産業の活性化、新産業の創出、さらには産業活動を支える神戸の都市魅力の向上等に関して、種々の提言を行った。主な内容は次ページのとおり。

2. 産業復興会議の発足と「産業復興計画」の策定

 阪神・淡路大震災からの産業復興には、個々の企業等における努力はもとより国及び地元行政との一致協力した取り組みが不可欠である。こうした認識の下、阪神・淡路地域の経済界、自治体、学識者と一体となって、平成7年2月5 日に「産業復興会議」が発足、座長に牧兵庫県商工会議所連合会・神戸商工会議所会頭が就任した。

 同会議では、産業復旧に向けて緊急に必要とされる支援策について、同年2月に「兵庫県南部地震に関する緊急要望」、同4月に「兵庫県南部地震への対応に関する2次要望」を取りまとめ、国等関係機関へ提出した他、同年6月13日には、一日も早い復旧と本格的な復興に向けて、中長期的な視点を踏まえた「産業復興計画」を策定した。

              新・神戸経済創成プランの概要

3. 阪神・淡路大震災復興推進協議会の設立

 阪神・淡路大震災からの本格的な産業復興を遂げていくため、平成7年2月に阪神・淡路地域の産・官と一体となって「産業復興会議」が設置されたが、同会議が策定した「産業復興計画」の具体化を通じた産業の早期復興に向け、政府への陳情要望活動や広報事業を実施する組織として、同年7月27日に、被災地の産業界が中心となって「阪神・淡路大震災復興推進協議会」が設立され、会長に牧兵庫県商工会議所連合会・神戸商工会議所会頭が就任し、東京において推進大会を開催した。

 当日は、小里震災対策担当大臣、野坂建設大臣等関係大臣や、地元選出国会議員、関係省庁の幹部等多数の来賓を迎え、約400の関係者が集い、復興に向けた地元産業界の決意を表明するとともに、国に対し、さらなる支援策の実行を強く求めた。

 また同年12月18日には、再度、東京において同協議会による復興推進決起大会を開催し、明年度の国の予算編成において、震災関係予算が最大限確保されるよう強く要望した。

 

 

 

 

 

 

 

 

     東京で復興推進大会を開催

4. 財団法人阪神・淡路産業復興推進機構の設立

 「阪神・淡路大震災復興推進協議会」が産業復興に必要な情報収集や国等への陳情要望活動を行うのを目的としたのに対し、「産業復興計画」の効果的かつ円滑な実施を図り、復興への動きをより着実なものとするため、各種復興事業の企画・調査や、復興事業の性格や段階に応じた的確な支援を行う中核的支援機関として、同年12月25日、新たに「財団法人阪神・淡路産業復興推進機構」が設立された。

 推進機構の理事長には牧会頭が就任。副理事長に芦尾兵庫県副知事、緒方神戸市助役、大角兵庫県復興本部副本部長、理事に兵庫県、神戸市、経済団体、主要企業の代表、評議員に、被災地九市十町の首長、商工会議所、商工会の代表等が就任、平成8年1月16日には第1回理事会が開催された。

5. みどり銀行の設立支援

 阪神・淡路大震災によって、市内企業は業種や規模の大小を問わず、未曾有の被害を被ったが、とりわけ地元の金融機関である兵庫銀行はバブル崩壊による不良債権の急増に今回の震災による被害も加わり、平成7年8月30日、遂に破綻したことが明らかになった。

 しかし、兵庫銀行は預金が550万ロ座、貸し出し先が11万6千先にものぼる金融機関として兵庫県地域において重要な役割を果たしてきており、かつ今後とも特に被災地域の震災復興に向けての金融円滑化のためには、同行の担ってきた金融機能はぜひとも維持してゆく必要があるとの大局的判断から、新銀行を設立して兵庫銀行の営業を引き継ぐこととなった。

 今回の方式は従来とは異なり、民間主体を基本とすることから、大蔵省の要請により新銀行となるみどり銀行の頭取には米田本所副会頭が、さらに非常任監査役として牧本所会頭並びに柏井前副会頭が、それぞれ就任することとなった。

 このような経緯を受けて、本所としても新銀行設立に向けて最大限の支援をしてゆく方針の下、地元企業をはじめ広く兵庫県商工会議所連合会や大阪商工会議所、関西経済連合会等の協力を得て、約90億円の出資を得ることとなった。

 その結果、みどり銀行は最終的には全国の金融機関や生損保、証券業界からの出資も加え709億5,560万円の資本金でスタートすることとなり、平成8年1月29日から新たに営業を開始する運びとなった。

6. 都心ビル再建懇話会の設置

 阪神・淡路大震災から一年余りが経過した現在、神戸では復旧が予想以上のスピードで進んでいる一方、売り上げ激減が続く観光・小売・サービスなど第三次産業の回復の遅れとともに、震災で損壊したオフィスビルの再建が大きな課題となっている。

 そこで本所では、三宮を中心とする都心ビルの早期立ち上げに向けて、関係者の再建意欲を促進・支援するため、平成8年1月25日「都心ビル再建懇話会」(座長:安田神戸大学工学部教授)を設置した。メンバーは学識経験者・ビルオーナー企業・不動産・金融・小売商業・設計・建設などの22名で構成。

 都心ビルの現状と今後の動向を見極めた上、ビル再建にかかる諸制度の課題を探り、魅力ある都心づくりに向けて都心ビル再建支援策の提言を取りまとめる予定である。

7. KIMEC構想推進懇談会の設置

 情報化社会においては、マルチメディアは社会生活、あるいは企業経営に必要不可欠なツールになると考えられ、同時にマルチメディアをキーとしたニュービジネスが展開していくと見られる。

 神戸市では、次世代の産業、文化を世界から神戸にいち早く誘致するため、ファッション都市、コンベンションとしに次ぐ新たな都市戦略として、マルチメディアと集客、エンターテイメントを核とする(神戸国際マルチメディア文化都市)KIMEC構想を提唱、推進している。

 本所では、新たなる産業創出と起業化を促進し、神戸市の推進するKIMEC構想を経済界として支援するため、平成7年9月4日、「KIMEC構想推進懇談会」(座長:米田本所副会頭)を設置した。

 同懇談会では、KIMEC構想について、意見・提言活動及び啓蒙・普及活動を行っていく。