大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録 / 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会編. - 発行:[神戸] : 兵庫県南部地震動物救援本部, 1996.12. 請求記号:震災-7-156,318,319

巻頭によせて

兵庫県知事
貝原俊民

 平成7年1月17日午前5時46分、兵庫県南部地域を突然襲ったマグニチュード7.2の激震…私たちは、阪神・淡路大震災で一瞬にして多くの大切なものを失いました。
 この未曾有の大災害は、共に生活をしていた動物たちにも大きな影響を与え、混乱のなか、飼い主とはぐれ路頭に迷う犬や猫の姿を街のあちこちで見かけたのです。また、ペットを連れて避難した方々は、肩身の狭い生活を強いられていました。
 こうしたなかにあって、わずか震災発生4日後の1月21日に、(社)兵庫県獣医師会、(社)神戸市獣医師会、(社)日本福祉動物協会阪神支部の皆様が、自らの被災もかえりみず、ペットや飼い主を救援すべく「兵庫県南部地震動物救援本部」を設置されたことは、まことに心強く嬉しいものでした。この本部を中心に、全国からのボランティアが参加して、避難所への餌の配給、負傷した動物の収容・保管・治療・飼育困難な動物の一時預かり、放浪動物の保護、所有者や里親探しなど、ありとあらゆる救援対策が精力的かつ献身的に展開されたところです。このことにより、どれだけ多くの被災者が励まされ、動物たちが救われたことでしょう。ここに改めて、深く敬意と感謝の意を表します。
 今回の動物救援活動の大きな広がりを通じ、動物たちは単なるペットとしての存在だけではなく、家族の一員であり、時には心の支えとなっていたことを再認識するとともに、人や動物はもとより、生きとし生けるものすべてが、相互に支え合い豊かに共存する地域社会の構築の重要性を改めて痛感したところです。
 こうした視点に立って、いま兵庫県では、動物愛護思想の普及啓発や動物保護事業の推進を図り、その拠点施設となる「動物愛護センター(仮称)」の建設に努めています。今後とも、共に生きる心を基本に、21世紀の成熟社会にふさわしい創造的復興を進め、人と自然、人と人、人と社会が調和し共生する“こころ豊かな兵庫”の実現に全力をあげてまいりますので、皆様の一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。
 最後に、本報告書が、大震災が発生した場合の動物救援体制の指標として、国内外で活用されることを祈念してやみません。


(c) 1996兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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