大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録 / 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会編. - 発行:[神戸] : 兵庫県南部地震動物救援本部, 1996.12. 請求記号:震災-7-156,318,319. p77

ボランティア精神

 自分から進んで社会のために貢献する。連日報道される被災地の惨状を見て、「自分もこうしてはいられない。幸い緊急の用向きもない。自分は行かなくては」との思いが、多くの人々をボランティア活動に駆り立てたに違いない。人、動物など対象を問わず、これまで「ボランティア活動を通して、社会に貢献したという経験を持たない大衆が行動を起こしたと云う点で、この兵庫県南部地震でのボランティア活動は大きな特徴を持つ。後述する「動物救護活動に参加したボランティアへのアンケート調査」によれば、この救援活動に参加したボランティアの73.2%がボランティア活動の未経験者であった。
 一方で、動物愛護活動のボランティア経験があり、ボランティアとしての心構えだけでなく、動物の扱いに対する多少の経験と知識を有した人々がいた(26.8%)。
 負傷動物の治療、地震の恐怖、あるいは路頭に迷う飼い主への不安からくる下痢、食欲不振などの手当は、獣医師でなくては出来ぬ。被災動物を救うためには、獣医師ボランティアは不可欠であった。一般のボランティアと全く同様に、居たたまれない思いで、動物救護活動に参加した多くのボランティア獣医師がいたであろう。しかし、彼らもまたボランティア活動が未経験であった。
 川崎市の開業獣医師・馬場国敏院長は、豊富なボランティア経験から、今回の自らの役割を「ボランティアを守る」ことであったと述べている。大地震の被災動物を救うためには、多くのボランティアが必要である。しかし、ボランティア活動の有経験者を多く期待するのは難しい。であるとすれば、ボランティア経験の全くない、しかしながら、意欲を持って参加した人々を守る必要があろうとの思いが強くあったのであろう。
 このように、さまざまなボランティアが、被災動物を扱うという一つの目標をもって、空前のボランティア活動を展開した。そして、このボランティアの動物救護活動は、地震によって大きな被害を受けた動物たちを救ったばかりでなく、一般ボランティアはもちろん、特に組織でのボランティア経験がない多くの獣医師に、「貴重な経験」を与えた。


(c) 1996兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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