大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録 / 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会編. - 発行:[神戸] : 兵庫県南部地震動物救援本部, 1996.12. 請求記号:震災-7-156,318,319. p78-83

ボランティア参加者

ボランティア総数

 平成7年1月26日から平成8年5月29日までの約1年4カ月の間に、兵庫県南部地震動物救援活動に参加したボランティア総数は、延べ21,769人に達した。神戸動物救護センターで、延べ15,195人、三田動物救護センターで、延べ6,452人、伊丹動物一時保護収容所で、延べ122人であった。

  神戸動物救護センター 三田動物救護センター 伊丹動物一時保護収容所
一般ボランティア 10,283 5,660 122(獣医師含む)
獣医師ボランティア 4,912 792  
15,195 6,452 122

神戸動物救護センターのボランティア

 一般と獣医師ボランティアを合わせ、15000人を超えるボランティアが神戸動物救護センターを支えた。宿泊して頑張った多くのボランティアがいた。将来、獣医師を夢見る学生ボランティアが、社会勉強も兼ねて被災動物を救った。動物愛護団体として、また兵庫県南部地震動物救援本部の構成員として、(社)日本動物福祉協会はコンスタントにボランティアを派遣した。(社)神戸市獣医師会は、まさに核となり、会の総力をあげて、ボランティア活動に加わった。
 ボランティア参加者が最も多かったのは、4月4日の105名であったが、活動のピークは2月23日からの約10日間で、連日90名以上の参加者で溢れていた。神戸動物救護センター開設期間中の平均ボランティア数は、1日30.5名であった。

神戸動物救護センターのボランティア

三田動物救護センターのボランティア

 三田動物救護センターは神戸動物救護センターと異なり、野原を造成し仮設された、言わば、それしかない所であった。そこで、延べ6,500人近いボランティアが、11月30日のセンター閉鎖まで活動を続けた。神戸動物救護センターより半年も前に閉鎖し、収容した被災動物も神戸動物救護センターの42.3%(460頭)であったが、しかし1日当たりのボランティアは神戸動物救護センターに匹敵する人員が動員された。ボランティア活動のピークは3月21日で、93名の参加者を得た。一方、最も少なかったのは、9月26日の3名で、三田動物救護センター開設期間中の平均ボランティア参加者は、1日22.4名であった。

三田動物救護センターのボランティア

獣医師ボランティア

 物言わぬ動物の健康管理は、経験と専門的な知識が必要であり、それを生業とするのが獣医師である。地震により、負傷した動物の治療にはもちろん、救護センターのような仮設の、なおかつ劣悪な飼育環境で動物を管理するには、獣医師の経験と知識が必要不可欠である。理想的には、収容動物が1頭でも居る限り、獣医師がそこにいなければならない。さらに、理想的には、数名の獣医師が専従することが望ましい。しかし、経験と知識のある獣医師は、ほとんどの場合、動物病院を営み、ボランティアとして長期間にわたって活動することは困難である。それでも、川崎市の馬場院長はじめ、神戸市内の開業獣医師など、多数の獣医師が献身的にボランティア活動に参加した。
 一般のボランティアと同じような思いで駆けつけた獣医師も多く、三田動物救護センターでは、多い日には20名の獣医師ボランティアが参加した。しかし、獣医師ボランティアが全く居ない日(三田動物救護センターの6月26日)もあるなど、救護活動のなかで、獣医師ボランティアの確保が重要な課題となった。
 こうしたなかで、(社)日本獣医師会、(社)大阪府獣医師会、(社)大阪市獣医師会ならびに(社)横浜市獣医師会などの地方獣医師会がスケジュールを組み、計画的に獣医師を派遣した。
 ここに、(社)横浜市獣医師会が会員各位に送った資料がある。そのなかに、「II.獣医師および人員の派遣」の項があり、獣医師ボランティア派遣の特殊性を知る良い資料となっている。

「大震災の被災動物を救うために 1月17日から9月15日まで」から

兵庫県南部地震動物救援活動に対する支援について


(社)横浜市獣医師会
(前略)
II.獣医師および人員の派遣
現地からの情報の分析と、当会の支援可能な条件から
A.送られる人材の条件
1小動物の診療に精通し、多数の小動物の収容管理の経験を有する
2診療のアシスタントとしての能力が高い
3一般ボランティアのリーダーとなれるような指導力を供えている
4劣悪な環境下でも体力に問題がない。
5個人としてある程度の団体行動に適応する能力がある。
B.送り出す獣医師会側の条件
1診療所で、一人で診療に当たっている開業の先生は派遣が難しいので、複数人の勤務獣医師を抱える動物病院の勤務医の先生が望ましい。
2人員の派遣を間断なく派遣するために、各獣医師間あるいは動物病院問の調整を行う。
3予側しえない、人材に対する事故等に対しての対応基準
 等が考慮された。そして我々は1グループ3人7日間を基本単位に、先のグループと次のグループの日程が2日ずつ重なるように獣医師を派遣し、動物救護センターの人員計画の最低数の確保に協力した。2日の重複は業務の申し送りを円滑、確実にするためだった。

学生ボランティア

 春休み、夏休みなど長期間の休暇を持っている「学生」はボランティアとして、最も融通の効く一群である。動物救護活動を支えたボランティアとして、学生が果たした役割は極めて大きい。特に、獣医学を学び、将来獣医師を目指している学生は、本人の意気込みさえ問題なければ、大きな力になる。(社)日本獣医師会も、全国の獣医学部あるいは獣医学科を有する大学に協力依頼を行なった。
 「学生ボランティア」の欠点は、学校が始まると居なくなることである。いくつかの大学では、学生ボランティアの重要性を理解し、ボランティア活動を特定科目の単位の一部として認めるなど、全面的な協力を行なった。しかし、3月下旬から4月の初めにかけて、学生ボランティアは一時激減した。この時期は卒業式の時期でもあり、また追試験あるいは再試験のシーズンでもある。その後、4月初めの1週間は、多くの学生ボランティアが友人を連れて戻り、活気ある救護活動が、新学期が始まるまで展開された。

神戸動物救護センターの獣医学生ボランティア


日獣発第 181 号
平成7年2月20日
私立獣医科大学協会 各位
構成大学獣医学科主任教授 各位
大阪府立大学獣医学科主任教授 各位
社団法人 日本獣医師会
会長 杉山 文男
(阪神大震災支援対策本部長)(印)

兵庫県南部地震動物救護活動支援のためのボランティア学生の募集について(協力依頼)

 兵庫県南部地震が発生してから1カ月経過いたしましたが、この間、人に甚大な被害が生じたばかりでなく、犬猫等の動物も負傷したり、飼育者が不明となったり、あるいは飼養できなくなってその引き取りを希望する事例等が相当数にのぼっております。
 このため、(社)兵庫県獣医師会及び(社)神戸市獣医師会並びに(社)日本動物福祉協会阪神支部を構成団体として設置された「兵庫県南部地震動物救援本部」(現地本部)では、目下、それら被災動物の救護活動を積極的に展開しております(別紙参照)。
 一方、この救護活動につきましては、すでに獣医師を含む多数のボランティアが取り組んでおりますが、被災動物が多頭数にのぼることから、この救護活動は、長期化することが予想されております。
 このような中で、このたび、現地本部から(社)日本獣医師会(阪神大震災支援対策本部)に対してボランティア獣医師及び学生の派遣要請があったことから、本会では、今後の動物救護活動が円滑に実施されるようこれを積極的に支援するため、ボランティア獣医師及び学生等の募集及び派遣について、現地本部等との連絡、調整を行うことにいたしました。
 つきましては、この動物救護活動の趣旨を十分にご理解いただきまして、貴大学におけるボランティア学生を至急、募集し、おとりまとめのうえ、別紙様式により本会までお知らせいただきたく、何分のご協力をお願い申し上げます。
 なお、各大学から応募があり次第、本会で調整を行ったうえで、派遣時期、派遣人数等について大学の担当責任者にご連絡することにしております。
 また、ボランティア学生の募集に当たりましては、別記に十分ご留意くださいますよう併せてお願い申し上げます。


(c) 1996兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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