大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録 / 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会編. - 発行:[神戸] : 兵庫県南部地震動物救援本部, 1996.12. 請求記号:震災-7-156,318,319. p84-90

ボランティアへのアンケート

実施方法

 神戸および三田動物救護センターに、開設時から平成7年4月末までにボランティアとして参加し、住所が分かっていた全てのボランティア1,100名を対象に、アンケート調査がなされた。7月中旬に郵送された調査書は、8月5日までを期限として回収された。
 回答数は473で、回収率は43%であった。
 宿泊 通い 不明 合計
神戸動物救護センター 133 84 13 230
三田動物救護センター 92 65 14 171
不明 27 32 12 71
合計 252 181 39 472

ボランティア募集をいつ知ったか?

 ボランティアに参加した4分の3以上の人々が、2月にはボランティア募集を知っていたことがわかる。しかしながら、このアンケート調査の対象者は4月末までに、いずれかの動物救護センターでボランティア活動に従事していたことから考えて「ボランティア募集」を4月以降に知った(約3%)というのは、どういうことであろうか?おそらく、「ボランティア募集」の案内を知らずに、友人らに誘われて参加したのであろう。

ボランティア募集をどのような方法で知ったか?

 新聞、動物病院の案内、ラジオ、(社)日本獣医師会の案内、テレビなどがボランティア募集を知るメディアとなっていた。 既に述べたように、(社)日本獣医師会は、獣医学生の所属する全国の大学に「ボランティア学生の募集」を案内している。

どこに参加申込みをしたか?

 新聞などいろいろなメディアから、「ボランティア募集」を知ったあと、ほぼ過半数の人々が、現地の救護センターに直接参加申込を行っている。したがって、初期の動物救護センター、特に神戸動物救護センターはボランティア参加者の応対に追われたという。参加者も、「話し中の電話」に何度も電話をし、なかには連絡が取れずにボランティア活動への参加を断念した人もいたであろう。
 こうしたことから、「その他」の回答のなかに、参加申込などの手続きをとらず、直接現地に赴いたボランティアもいた(12名)。

動物救護ボランティアを選んだ理由は何か?

 「動物が好きだから」、「動物も人と同様に救護されるべきだと思った」、「動物がかわいそうだから」の3つが回答のほとんどを占めた。動物を救うことを目的に、参加したことがはっきりとわかる。「その他」のなかでは、「何か役に立ちたかった」(15名)、「自分自身の勉強あるいは経験のため」(6名)などがあった。

ボランティアの仕事

 動物救護活動のボランティアの仕事は、他のボランティア活動とは大きく異なり、動物の世話をすることが主体になる。「犬の散歩」、「犬の飼育・管理」、「猫の飼育・管理」などのほか、獣医師ボランティアは、「治療」などの仕事がある。「その他」の回答には、「洗濯」が18名いた。このような一般、獣医師を問わず、ボランティアの動物を救う献身的な活動が、地震で受けた動物たちの大きな不安やストレスを癒すことになった。


  (社)大阪市獣医師会に所属する会員が報告した神戸動物救護センターの一日
現地体験報告(2/13)
0:40   現地到着
馬場先生、井上先生(神戸市)、玉井先生(和歌山県)、山本、細井戸、北尾の5名にてディスカッションを行う。
◎現況の説明
◎今後の見直し
◎現地の他の府県の獣医師への要望
◎活動のポリシー
3:30   就寝(管理センター建物内の治療室内に毛布と寝袋にて)
他にコンテナが2棟(宿泊用)あり、また女性は別室の部屋にて宿泊している。
7:00   起床
8:00   朝食
9:00   救護部門(保護動物の散歩、給餌)、センター部門(電話応対、引き取り業務)のボランティア活動参加
12:30   昼食
13:30   洗濯、救援物資の搬入、倉庫の整理などの雑務手伝い
15:00   午後の保護動物の散歩、犬舎の清掃、給餌
18:00   神戸市の先生方と雑談
19:00   夕食及びボランティアの方や運営に携わっておられる先生方とのミーティングをオブザーバーブさせてもらう
20:00   4人でのミーティング(情報整理)
22:30   馬場先生、神戸市の先生とのディスカッション
23:45   センター出発
当日はボランティア獣医師4名(横浜2名、東京1名、福祉協会1名)参加


一般ボランティアは15〜20名、午後は近隣の小中学生も参加
I.本部は2つの部門に別れて運営されている
1 管理センター部門
a) 受付時間 10:00〜17:00(実際は9:00〜18:00まで受け付けている)
b) 9:00〜11:00の間に約40件の電話あり内容は
マスコミなどの取材申し込み
義援金、救助物資を送りたいという問い合わせ
迷い犬・猫の問い合わせ
里親希望者→名簿作成・登録→後日TEL(なるべく近くの人を優先)
引き取り依頼→トラブル防止のため環境の悪さを説明をし出来るだけ預からないようにしても1日10頭〜20頭増えている現状
c) 受け入れ時の書類作成(台帳と誓約書作成、預かりは1カ月単位で更新
里親決定時の書類作成
2 救護部門
保護動物の健康管理・治療
ワクチン未確認のものはすべて接種する(D−5、FVR−CP、RVは接続していない)
重症動物は(社)神戸市獣医師会々員病院にて入院治療
上記の2つの部門は神戸市の会員が当番制で2名づつのシフトを組んでいる (2月末までは決定、担当、市田)
その他の業務として当番以外の神戸市の先生が
搬入されたフードの整理、保管
市内各地へのフードの分配、搬出
里親のきまった動物の避妊、去勢(無料)などを行っている。
実際の運営は
(社)日本動物福祉協会
(社)神戸市獣医師会
馬場先生      の三者で行われている
(社)日本動物福祉協会の女性2名の協力が大きい。例えば
電話対応−非常に上手にさばいている(未経験者では困難)
車にて犬の引き取りに出向く(例2/13は長田区、中央区)
などバイタリティーにあふれている

II.一般ボランティアの活動内容
 1)犬舎の清掃(女性が主)
 2)毛布、タオルの洗濯(女性が主)
 3)給餌、食器洗い(女性が主)
 4)犬の散歩、排泄物の処理(男女)
 5)食事の用意とあとかたづけ(女性が主)
 6)施設の清掃とかたづけ(女性が主)
 7)ゴミの焼却
 8)救援物資の仕分け、保管(男女)
 9)ムードを明るくする(女性)

III.ポリシーについて(馬場先生との話し合いの中で)
1) 今は被災地において避難生活をしておられる方たちも多く、現状で設備の整ったシェルターを作ると国民の反感をかってしまう。反感をかわないためには当面はみすぼらしい施設で人海戦術で行うのがよい。
2) 家族を含めたたくさんのボランティアの参加を望む。それは将来のボランティアの育成にもつながる。
3) 今はボランティアでもっているが今後は獣医師がなんとかしなければならない。なぜなら今まで動物は家族の一員です、大切にしましょうといってきた獣医師の言葉が、自己の利益のためととられかねない。だから、いまこそ獣医師がイニシアチブをとり、今後活動しなければならない。この問題は神戸市、兵庫県だけの問題ではなく、日本の獣医師全員の問題として捕らえなければならない。


IV.我々が参加して必要性を感じた協力方法
 ボランティアに参加するまでは全く分からなかったが実務的な手伝いの必要性を強く感じた。
 犬の出し入れや、散歩では、きつい犬や心臓病の犬、かなり高齢の犬などがいるため、その動物の健康や一般ボランティアの安全、指導、獣医師の先生が一緒にいてくれるという安心感を提供するなど、神戸の先生と一般ボランティアの間に入って円滑な運営の手助けをする必要性を強く感じた。
 開業獣医師ならだれでも出来る。時間も日帰りの1日参加でもかまわない。義務ではなく、出来ることをするだけでよい。
 とにかく1日でもいいから参加してください。そしてもう一度話し合いをもちましょう。当面のシフトは我々3名で考えます。行政や他の獣医師会にたいする協力依頼などは役員の先生方にお願いします。

V.三田のシェルターについて
 三田の開所式が14日に行われる予定
 三田においても神戸動物救護センターと同じような問題が起こり、さらに保護する動物の頭数も増え、立地条件によるボランティアの集まりにくさ、馬場先生のような人の初動時の協力が得られないなどのことを考えると、今の神戸動物救護センター以上の問題が起こる可能性が高い。
 その負担を減らすためには大阪の動物管理センターなどの協力を得て大阪にもシェルターが必要になると思われた。
 そのメリットとしては
1   ボランティア及び獣医師の出務が容易である
2   里親を探すのが容易。飼い主が納得しやすい(神戸→大阪)
3   被災地の獣医師の負担を軽減することが出来る(被災地の獣医師は自分の生活を立て直す時間がない)
4   立地的にみて第三者及び当事者の神戸の人達からも望まれていることである
5   被災者で大阪府下に避難して来られている方が多い
 デメリットとしては
1   兵庫県獣医師会の実際のシェルターの運営に関する認識が不明なため十分な協議、調整が神戸市獣医師会との間で出来ていないため、反発があるかもしれない

ボランティア活動に参加して得たものは?

 「社会勉強になった」、「ボランティアの意義を認識した」など、「有意義な」ボランティア活動であったと、96%を超えるボランティア参加者が回答している。
 こうした回答から推察するに、今回のボランティア活動は、被災動物を救ったばかりでなく、自らを救ったことにもなる。まさに、ボランティア元年と言ってよいかもしれない。


(c) 1996兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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