大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録 / 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会編. - 発行:[神戸] : 兵庫県南部地震動物救援本部, 1996.12. 請求記号:震災-7-156,318,319. p3-4

我が国の動物行政

 わが国における主な動物関係行政としては、(1)獣医療や家畜衛生等(獣医師法、獣医療法、家畜伝染病予防法等)を所管する農林水産省、(2)狂犬病予防や食肉衛生等(狂犬病予防法、と畜場法・食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律、食品衛生法等)を所管する厚生省、(3)動物の保護・管理等(動物の保護及び管理に関する法律)を所管する総理府、(4)野生鳥獣の保護等(鳥獣の保護及び狩猟に関する法律)を所管する環境庁、(5)野生希少動物の保護・国際取引(いわゆるワシントン条約)を所管する通産省があります。
  1. わが国において、動物関係の法律等としては、主に次のようなものがあります。
    (1)  家畜伝染病予防法:牛・馬、豚・鶏等の家畜の伝染病の発生及びまん延の防止(動物検疫を含む)に関する事項を定めたもの。
    (2)  狂犬病予防法:犬を中心とした狂犬病の発生及びまん延の防止等に関する事項を定めたもの。
    (3)  と畜場法:と畜場の設置及び牛・馬、豚等の家畜の食肉検査に関する事項を定めたもの。
    (4)  食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(いわゆる「食鳥検査法」):食鳥処理場の設置及び食鳥検査に関する事項を定めたもの。
    (5)  食品衛生法:食肉等の食品の安全確保に関する事項を定めたもの。
    (6)  動物の保護及び管理に関する法律(いわゆる「動管法」):動物の虐待防止、動物の適正な取り扱い等、動物の保護に関する事項を定めたもの。
    (7)  鳥獣の保護及び狩猟に関する法律(いわゆる「鳥獣保護法」):野生鳥獣の保護等に関する事項を定めたもの。
    (8)  絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引に関する条約(いわゆる「ワシントン条約」):希少な野生動植物の保護及びその取り引きに関する事項を定めた国際条約。

  2. また、上記の法津等の所管省庁は、次のとおりとなっております。
    (1) 家畜伝染病予防法−農林水産省
    (2) 狂犬病予防法−厚生省
    (3) と畜場法−厚生省
    (4) 食鳥検査法−厚生省
    (5) 食品衛生法−厚生省 
    (6) 動管法−総理府
    (7) 鳥獣保護法−環境庁
    (8) ワシントン条約−通産省

  3. 上記動物関係法律等に基づく各省庁における業務の実態等は、次のとおりとなっております。
    (1) 家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染病の発生予防等の業務は、農林水産省所管のもとに、生きている家畜を対象として自治体畜産主務課管轄の家畜保健衛生所の獣医師職員が実施しているが、一方、同じ家畜が対象であっても、と畜検査あるいは食鳥検査といった食肉の検査については、厚生省が所管し、自治体の衛生主務課の獣医師職員等が実施している。
    (2) 輸入食肉等の輸入検査は、一つは家畜伝染病予防法に基づき農林水産省動物検疫所が実施している検査であり、もう一つは、食品衛生法に基づき厚生省検疫所が実施している検査であるが、当該検査は、両省の獣医師職員等がそれぞれ個別に実施している。
    (3) 人畜共通感染症である狂人病の予防業務は、厚生省が所管する狂犬病予防法に基づき、各自治体の衛生主務課所管の動物管理センター等の獣医師職員が放浪犬の捕獲・抑留等の業務を実施してしいるが、一方では同じ獣医師職員が総理府所管の動管法に基づき、飼養者不明の犬猫の保護・収容等の狂犬病予防法に基づく実務に類似した業務をも合わせて行っている。
    (4) また、狂犬病予防法のうち、犬の輸出入検疫に関する事項については厚生省から農林水産省に移管されており、農林水産省動物検疫所においては、家畜伝染病予防法に基づく家畜等 の輸出入検疫と犬の輸出入検疫規則に基づく犬の輸出入検疫が合わせで行われている。
    (5) 動物の保護に関係する法律としては、前記の動管法のほかに環境庁が所管する鳥獣保護法、通産省が所管するワシントン条約があるが、動管法は、「人が占有する動物」を対象としているのに対し、鳥獣保護法は「国内の野生の鳥類やほ乳類」を対象としており、また、同じ野生動物であってもワシントン条約は、「国際取引される希少動物」を対象としているように、対象動物によって所管省庁が異なっている。

  4. このように、一口に動物関係行政といってもその内容は、様々な法律のもとに所管省庁も多省庁にわたっており、また、かかる業務には、法律上、獣医師が従事しなければならない業務(家畜伝染病予防法、狂犬病予防法、と畜検査法、食鳥検査法に基づく業務)、また、法に特段の定めはないが、実態上、獣医師の知識・技術が必要とされる業務(動管法に基づく適正な動物の飼養管理に関する指導、鳥獣保護あるいはワシントン条約のもとに保護・収容された傷病動物の診療等)があります。
     なお、獣医師法第1条(獣医師の任務)におきましては、動物の診療、保健衛生指導等、獣医学の知識、技術が必要とされる獣医事に関する事項は、獣医師の社会的使命、職責として規定されております。

  5. 自治体においては、狂犬病予防法に基づく業務と動管法に基づく動物の保護・管理業務を環境衛生担当部局で一元的に実施しているが、これら両業務は、実態上密接に関連しているにもかかわらず、国のレベルでは、前者については厚生省が、後者については総理府がそれぞれ所管しているため、自治体では両業務についてそれぞれの省庁に協議、指示を受けなはればならない。

(c) 1996兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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