大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録 / 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会編. - 発行:[神戸] : 兵庫県南部地震動物救援本部, 1996.12. 請求記号:震災-7-156,318,319. p5-7

兵庫県における災害時のペット動物の保護と収容対策

基本的考え
 被災した動物の保護を願う声は国内外に大きなものもあることから次の事を基本として救護活動を開始する
(1)  救護活動は行政の現行体制では限界があることから、動物福祉と動物愛護に理解を示す民間団体にボランティア活動としての協力を願う。
(2)  活動資金及び物資は寄付を広く呼びかける。
(3)  緊急避難的に救援物資を被災地に配給し、併せ、負傷動物を収容し治療する。
(4)  被災者といえども自らの動物に対する飼育の意思は本人が責任を持って判断すべきであり、救護活動は飼い主が冷静に判断できる時間を与えるため動物の一時預かりを行う。
(5)  動物のためには可能な限り早期に家庭環境の中に返すこととし、所有権が放棄された動物の積極的な「里親」探しをする。
   
平常時の対策
災害時の動物救護を実施するため、災害を想定し次の調整を事前に図る。
(1) 動物の救護に直接あたる事となる獣医師会、動物愛護団体と協力関係を作る。
(2) 被災動物を保護収容するために、動物救護センターの建設用地を確保する。
(3) 救援物資の受入れ及び初動ボランティアを受け入れるための施設を確保する。
(4) ここでのペット動物の対応は犬、ねこ、小鳥等一般的に飼育されている小動物を対象とする
(5) 爬虫類等をペットにしている場合もあるため、動物園、自然動物公園等とも受入れの協力関係を調整しておく。(危険動物・野性動物の飼育条件を厳しくする。原則、個人飼育は禁止した方が望ましい。)
   
動物救援本部の設置
 県は動物愛護の観点から、被災ペット動物の救済を行うため、獣医師会並びに動物愛護団体等による動物救援本部設置の指導を行う。
   
動物救援本部の活動
(1) 避難所・被災地で飼育されている動物への餌の配付
(2) 負傷動物の収容・治療・保管
(3) 放浪動物の保護
(4) 飼養困難な動物の一時保管
(5) 所有者探し及び情報収集と提供
(6) 所有権が放棄された動物の新たな飼い主探し
(7) その他動物に係わる相談等
   
活動計画
(1) 災害発生後、直ちに動物救援本部を設置し、1.動物収容、2.動物診療、負傷動物救護、3.ボランティア受入、4.寄付金・物資受入、5.電話対応等の体制整備を図る。〔初対応→後の体制整備〕
1.動物収容 
〔初動〕
 獣医師会会員、動物愛護団体員が自らの施設を活用し可能な限り収容する。
 
〔体制整備後〕
 動物愛護団体員が主となり収容し動物救護センターに搬入する。
2.動物診療 
〔初動〕
 獣医師会員が自らの施設を活用し可能な限り治療を行う。
 
〔体制整備後〕
 動物救護センターでの診療活動となるため、診療班を整備する。
3.ボランティア受入
〔初動〕
 獣医師事務局で受付及び名簿作成、ボランティア活動期間調整等を行う。
 
〔体制整備後〕
 本部の監督のもと、ボランティアによる担当者が事務に当たる。
4.寄付金等 
〔初動〕
 獣医師会事務局で出納事務物資受入れ受渡しの事務を行う。
 
〔体制整備後〕
 本部事務局を早急に設置し、事務を引き継ぐ。
5.電話対応 
〔初動〕
 獣医師会事務局で各種相談、照会等(1000件以上/日) を対応する。
 
〔体制整備後〕
 本部事務局を早急に設置し、ボランティアによる担当者が事務に当たる。

 県からは体制整備を指導するため、2名を本部に参画させる。
(2)  動物救援本部は直ちに支部組織に食傷動物の収容を個人の動物病院で行うよう指示する。通信が不能の場合、本部構成員は被災地での自主的活動を開始する。
(3)  動物救援本部は直ちに(社)日本獣医師会並びに全国組織の動物愛護団体と調整を図り、動物の餌の確保、診療獣医師の派遣、ボランティア派遣の要請を行う。また、自らもその確保に努める。
(4) 動物救援本部は要請により集まる餌等の物資保管場所の選定を行い構成員に可能な限りの連絡をする。構成員は会員の相互連絡に努める。
(5) 本部構成員は要請により集まった餌を、二日目から被災地に配付するとともに、放浪動物の保護に努め、併せて、警察と遺失物の対応を図る。
(6)  個人病院での動物収容は直ちに満杯となることから、動物救援本部は動物の保護収容を図るため、あらかじめ、選定した用地に十日以内に保護収容施設(動物救援センター)の建設にかかる。
〔保護収容施設〕
 犬の保護収容施設は動物愛護並びに人の省力化からパドック形態が好ましい。
〔保護収容施設の管理〕
  1. 保護収容する動物の一時預かり、新たな飼い主への譲渡、所有権放棄動物の移動にはトラブルが発生しやすいので、必ず契約等書面で確約を図る。
  2. 施設の監督者は本部構成委員とし、監督員はボランティア活動としての動物の管理及びボランティアの生活全般を監督する。
  3. ボランティアとの協調を図るため、本部はボランティアと協議し、動物救援センターでの動物取扱い、一日の作業計画書等マニュアルを作成する。
(7) 保護収容した動物の管理を行うとともに、動物救援センターも直ちに満杯となることから一ケ月以内に所有権放棄された動物の新たな飼い主探し(里親)の事業を展開する。また、遺失物としての届けの期限が切れた動物についても、適宜新たな飼い主探しに努める。
災害発生2日目10日目1カ月目以降
対策本部設置
(支援要請)
動物救護
餌の配給
動物収容施設建設
(診療・管理体制整備)
里親事業の展開反復
   
県の支援体制
 (社)日本獣医師会並びに全国組織の動物愛護団体、ボランティア等への応援要請は動物救援本部が基本約に行うが、県は次の支援行う。
(支援項目)
(1) 被災動物救援体制の整備案並びに事業展開奏を救援本部と一体となり作成する。
(2) 被害状況を犬の登録頭数、ねこの飼育統計から算定し、情報提供を行う。
(3) 被災動物救護はボランティアの活動をもって実施してきたことから、全国的な動物愛護団体の支援を総理府等に要請する。
(4)  動物の保護収容施設を設けるための用地確保を市町等と調整し、地域住民の理解を得る。
(5) 被災動物救護活動支援のプレス資料案を作成し、併せて、記者クラブ調整をする。
(6) 県の避難所パトロールの情報を提供し、対応方針案を作成する。
(7) 被災動物救護活動は寄附金を持って実施してきたことから、寄附金の適正執行についての監督を行う。
(8)  保健所の犬の捕獲・抑留及び動物の引取り処分の業務を停止し、被災者相談は動物救援本部にへ仲介を行う。(停止期間は5か月、但し、人への危害のおそれのある動物は捕獲する。
(9)  保健所は本庁と連絡し救援本部の方針等を把握し、地元の支部組織指導を図る。
   
市町災害対策本部との関係
  被災を受けた当事者にとって、ペット動物と生活できることは心のケア面で大きな効果があることから、県は災害対策本部並びに市町と次の調整を図る。
(1) 避難所の管理者には動物を連れてきた人も受入れる事を基本とした周知を図り、動物嫌いな人の事を考慮し、居住区域の区分等を行う。
(2) 仮設住宅への入居条件に動物の規制はせず、住人の相互理解に委ねる。


(c) 1996兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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