大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録 / 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会編. - 発行:[神戸] : 兵庫県南部地震動物救援本部, 1996.12. 請求記号:震災-7-156,318,319. p275-294

シンポジウム 第一部

《開会の挨拶》
(司会者)

 大変お待たせ致しました。ただいまより阪神淡路大震災シンポジウム「人と動物の大震災―何が起こり何を為すべきか」を開会致します。

 始めに、この大地震の犠牲となられましたたくさんの人々と、犠牲となった多くの動物達の冥福を祈り黙祷を致します。 ご起立お願いします。

・・・黙祷・・・

 有難うこざいました。

 開会の挨拶を日本動物愛護協会事務局長会田保彦さんよりお願いします。

(会田保彦事務局長)
 只今ご紹介にあずかりました財団法人日本動物愛護協会の会田でございます。なお、人と動物の関係学会の理事も勤めさせていただいております。本日は皆様お忙しいところかくも多数ご来場賜りまして誠に有難うございました。開会に先立ちまして、一言ご挨拶申し上げます。
かの大震災よりはや9カ月経ちました。この間、被災地の皆様におかれましては多大なご心労、並びに復興におきますご努力、本当に心からお見舞い申し上げます。同様に、ご案内の動物救護につきましてでございますが、兵庫県南部地震動物救援本部を構成致します関係各位の皆様の日夜をおかぬ多大なご努力によりまして、どうやら軌道に乗りつつあるところでございます。
 もとよりこの救護事業につきましては、全国各地の動物を愛する皆様から寄せられた多くの物心両面にわたるご支援があった賜物と深く感謝している次第でございます。
 そういう意味で本日のシンポジウムにおきましては、この震災で何が起こったか、そしてどうあるべきかについてですね、以降多数の演者の皆様のですね、貴重なご示唆を頂けたらと思っております。その上でですね、今後日本のどこかで起こりうるかも知れない震災時における動物救済のひとつのマニュアル作りにつながればと念じている次第でございます。簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます。有難うございました。

(司会者)
 このシンポジウムの源ともいうべき動物救済に関しまして、たくさんの方々からのご援助がありました。特に、行政として総理府、兵庫県、神戸市、各団体として日本獣医師会、大阪府獣医師会、大阪市獣医会をはじめとする近畿獣医師会連合会、さらに愛護団体として日本動物愛護協会、日本動物福祉協会、日本愛玩動物協会、ジャパンケンネルクラブ等から非常に多大なご援助を頂いております。また、このシンポジウムの後援と致しまして総理府、農水省、国土省、兵庫県、神戸市、NHK神戸放送局、神戸新聞社、AM神戸、日本獣医師会、近畿獣医師連合会が後援されております。それらの方々を代表いたしまして、2人の方にご挨拶を賜りたいと思います。始めに、兵庫県保健環境部次長横山邦也さんお願いします。

(横山邦也県保健環境部次長)
 皆さん、おはようございます。只今、ご紹介頂きました私、兵庫県の保健現場環境部の次長の横山でございます。このシンポジウムが開催されるにあたりまして、一言お礼なり、お祝いのご挨拶を申し上げたいと思います。本日は全国から多数の動物関係者の皆様にこのようにこの被災地兵庫県に集まって頂きまして、この人と動物の大災害ということでこのようにシンポジウムを開いて頂いておりますことを心よりお喜びを申し上げますと共に歓迎を申し上げる次第でございます。
 1月17日阪神淡路大震災が起こりまして、私たち兵庫県は多くのものをなくしました。五千余名の方、また30万にも及ぶ家屋等、あるいは貴重な財産をなくした訳でございます。
 しかし、その中で私たちは貴重な経験も学ぶことが出来ました。その一つは、全国から何万人、何十万人という方にボランティアとしてご参加を頂きまして、人と人とのつながり、また、家族あるいは近所の付き合いがいかに大切であるかということを学びました。また、この人と人とのつながりの大切さ、そしてこの震度7というこの都市の直下型地震のあのような状況の中におきまして住民の方に冷静に対処していただき本当に有り難かったな、とこのように思っております。
 今もご紹介申し上げましたように、たくさんの方に全国から馳せ参じて頂き、また貴重なご支援もして頂きましたことをこの高い席からではございますけれども、厚くお礼申し上げる次第でございます。
 このような中で、動物、犬、猫といったペット動物につきましてもたくさんの被災を出し、また、人と共に生活が出来ないという状況に至ったわけでございます。このような事から、私ども、只今ご紹介頂きました兵庫県南部地震動物救護本部というものをですね、関係者の皆さんとご相談申し上げてこの神戸市の北区、そして三田市に2ケ所センターを設置をしていただきまして、救援活動をして頂いたわけであります。ここにもたくさんの方に日夜を分かたず来て頂きましてご支援を頂き、また多大なご寄付も頂き本当に有難うございました。
 これまでに約1400匹の動物を救護致しました。そして、只今は約100匹程度になっているというような状況になっておるわけでこざいます。いずれにいたしましても本当に有難うございました。心よりお礼を申し上げる次第でございます。
 私たち、この兵庫県、この9カ月を経過致しまして、鉄道、あるいは水道、あるいは道路といったものをおおむね回復を致しました。避難所の方につきましても5万という仮設住宅に移って頂いて、瓦礫の街と化していたこの神戸等の街につきましても瓦礫の撤去を致しまして、おおむね各街には復興の足音が響くような状況になってきております。私どもはこの兵庫県をもう一度日本に、あるいは世界に誇れる街にしたいたいうことで、阪神淡路大震災復興総合計画というもの、いわゆるフェニックス、500年に一度蘇るというあの不死鳥の名をとりまして、フェニックス計画と命名を致しておりますけれど、そのフェニックス計画を作って今頑張っておるところでございます。また、この動物救護活動につきましても、かつて経験したことのない状況であり、今後のためにも、拠点あるいは救済するセンターというようなものが必要ではないか。またこの動物愛護については、兵庫県では平成5年の4月から条例化をしておるわけでございます。さらに、こういった動物愛護を、県民の方に理解していただく場というものが必要ではないかなと考えております。
 いずれにいたしましても、今日はこの被災地兵庫県に来て頂きまして、この大震災において人と動物というものはどうしなければならないのか、またとういうことが起こるのかということを検討していただく、ご議論していただくということをお聞き致しまして大変意義のある素晴らしい、シンポジウムになるのではないか、このように期待を申し上げまして、最後になりますが、今日このようなシンポジウムを開催されました方々のご苦労に感謝を申し上げまして、お祝いなり、お礼のご挨拶に代えさせていただきます。本当に今日は有難うございました。

(司会者)
 続きまして、社団法人日本獣医師会副会長鈴木一則さん、お願いします。

(鈴木一則日本獣医師会副会長〉
 只今ご紹介頂きました日本獣医師会の副会長の鈴木一則でございます。今日は杉山会長がお邪魔を致すべきところでございますが、たまたま北海道の獣医師大会と重なっておりまして、会長はそちらに出ておりますのであわててお邪魔を致した次第でございます。ご挨拶を申し上げるにまずもって、この度の大震災で被災をされました方々、不幸にもお亡くなりになりました方々に対しまして心からお見舞いを申し上げ深甚な哀悼の意を表する次第でこざいます。
 また本日のこの会を主催をしていただいております動物救援本部を編成される皆様方には、災害発生以来本当に自分たちの家庭がそれぞれ被害を受けておられるにも関らず、本当に献身的なご努力を為されまして、1480余頭に及ぶ動物達の命を救って頂いたことに対しまして、全獣医師を代表して心からお礼を申し上げる次第でございます。
 私事で恐縮ではございますけども、震災直後のまだ焼け跡も生々しい時に前後2回に渡って現地を見せて頂き、それから三田、神戸の収容所で働いておられる皆様方の実態もつぶさに拝見をさせて頂きました。そして、いろんな事を感じたわけでありますが、その中で特に感じました事はこのような大きな災害に対して政府行政はもちろん、私ども獣医師会といたしましても、これに対応するマニュアルを何も持ち合わせておらなかったという深い反省でございます。
 第2点は、これはマスコミも大きく、特に外国のマスコミにも大きく取り上げられでおりましたが、災害を受けられた市民の皆様方の実に沈着冷静な対応だった。これだけの災害が起きれば略奪暴動が起きても不思議はないというのが多い世相でありますが、そういう中で神戸の市民が実に整然と列を作って物資の配給を待つ、という姿は外国の人たちには非常に奇異といいますか、立派に映ったようでございます。その点私も同じような事を痛感をいたした次第でございます。
 それから、もう一つは三田および神戸の動物救護センターで真剣に働いておられますボランティアの若い人たちの姿に私は非常に感銘致しました。私たち戦時中に同じ世代を過ごしたものから見ますと、今の若い人たちの姿というのは、ここにおられる林先生たちが作った犬の権勢症候群という言葉が今ちょっと流行語になっておりますが、私に言わせれば若い人達は身勝手症候群だとなっております。正直そう感じるわけであります。
そうした若い方々が本当に真剣に、また喜々として明るくいわゆるそうしたボランティアという仕事に挺身をしておられる。そういう姿を私は見て、これは身勝手症候群だなんて言っちゃいかん、意識を改めなければいけない、と私はひとつ強く感じたわけであります。
 今回のシンポジウムは、鷲尾会長や旗谷会長に伺いますと、そうした今まで得た9カ月の体験をもとに改めて関係者の方々が一同に介して、この問題を総括をして後世に残し、そして、いかに対応していくかという事を何か残せれば幸いである。そのためにこの企画を開催したんだ、というお話を承りました。誠に日本獣医師会としてはこれは時宜を得た施策でございまして、出来るかぎりのご支援を申し上げ、またその機会正からんことを心から祈っている次第でございます。
 本日まで本当に献身的なご努力をされてまいりました皆様方に心からお礼を申し上げ、敬意を表すると共に、この会が大きな成果をもたらしますことを心から祈念を致しましてご挨拶に代えさせて頂きます。有難うございました。

(司会者)
 二つほどお詫びとお願いがあります。ひとつは、今手元に渡っております本、シンポジウムの抄録集なんですが、おそらく数々の誤り、それは演者の方々の誤りではなく、編集する段階での誤植等であります。それは可能な限りその都度その都度訂正を致したいと思います。一重に私の責任であります。よろしくお願いします。
 それともう一点これはお願いでありますが、この動物救護の報告、まだ中間報告ですが、資料集というものを今回編集いたしました。いろんな議論がありましたが、実費で販売するということで、2000円になっております。これが売れ残ってしまいますと大変な赤字になってしまいますので、できるだけお買い求め願いたいと、思います。
 それでは、第一部シンポジウム、「人と動物の行動、動物は何を見たか」を始めたいと思います。座長の会田先生、よろしくお願いします。

(座長、会田先生)
 それでは、只今よりシンポジウム第一部を開催させて頂きたいと思います。私、座長を勤めさせて頂きます会田です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 一番最初の演者の方をご紹介させて頂きます。大阪市立大学理学部長弘原海清先生でございます。演題は地震予知と動物、大変興味のあるテーマではないかと思います。弘原海先生どうぞよろしくお願いいたします。

(弘原海先生)
 それでは時間も迫っておりますので、早速始めたいと思います。
 まず最初に私がこういう住民の観察に基づく前兆的な異常ということに取り組んだ動機をお話ししたいと思います。それで、そのなかで、今物理あるいは化学約な機器計測によるシステムとの補完の必要性ということも触れたいと思います。
 これは1989年の秋に3カ月間、私がサンアンドレアス断層沿いの活断層、世界最大の活断層ですが、それを調査した際に用いた資料です。1988年にパークフィールドで書かれたものですが、Predictionというのは「予知」、Promiseというのは「約束します」、「予知は約束できますよ」という見出しで書かれたものであります。これを含めてずっと調査をしてまいりまして、最後でサンフランシスコに到着して、そこでサンフランシスコのノーマンプリタ地震に遭遇したわけであります。ところが、そのパークフィールドをはじめいろんな予知研究センターの膨大なデータからは何の地震の前兆的な予知あるいは予報が出ておりません。
 しかし、よく調べますと、牧場の牛だとか、あるいは活断層に穴を開けて住んでいるリスたちは、1週間前から異常を示しており、また、前世紀の末に起こった有名なサンフランシスコの大地震でも動物が激しく異常を示したという結果があります。是非、調べてみなければいけないということであります。
 まず、どんなことがやられているかといいますと、このサンアンドレアス断層沿いの地震というのは30年周期ぐらいで実にきれいに地震が起こるわけです。1988年には、その周期から必ず地震が起こる、という絶対的な自信をもって、発表されていたわけですが未だ起こりません。というわけで、そこではありとあらゆる限りの観測装置が導入されており、これも1桁スケールの小さいものが東海、あるいは関東に設置されておるわけです。そして、一番北側にありますサクラメントというところに、各地のセンターのデータが24時間オンラインで運ばれまして、そこで新幹線の制御卓のごとくモニタリングしておるわけです。しかし、これだけやっても機器計側システムでは地震予知に成功してないということから、アメリカで急激にこの方向の難しさ、hopelessであるというようなことから、予知から防災へと転換していきまして、ちょうど1年前のロサンゼルスノースリッジ地震が起きました。これも予知に失敗したわけですが、そういう状態になっておるわけです。
 そのようなことから、結局、何としてもこの地震予知を成功させるということに関しては物理的な計測に、まだ明かりが見えない。現在も、世界的に行われているにも関わらず、まだ一度も成功していないということから、私はある意味で実績のある、住民の観察に基づくようなことを是非やりたい、それをあわせてやりたいというように思ったわけです。そして、そういうことを考えている時に、この阪神淡路大震災が起こりまして、私は地質屋ですから活断層と被災状況の調査に現地に入ったわけですが、かなりの人がそういう経験をしていることが分かりました。これは是非記録に留めて、そして無駄にしてはならないということでマスコミを通じて呼び掛けてお願しした訳でございます。ちょうど2月10日に一斉にお願いしたんですが、次の日からは、ファックスでどんどん、どんどん入ってくる。その次は葉書も手紙も来るという状態でした。これを見ながら思ったことは、地震というのは地下の現象ですが、その現象はどういう形で地上の自然の現象に異常が伝わっていくのか、ということです。そして、そこで起こった、しかも地震前に起こるような地下での異常が、どのようにして地震前の自然の異常につながり、またどのようにして動物がそれをストレスとしながら、普段我々が経験しない異常あるいはパニック的な行動を起こすのか、この関係はどこにあるのか。
 それからもう一つ大事なことは、そういう動物やものに起こる異常は人間が観察するということですから、この観察がどれだけ正確か、あるいは能率的かということであります。
 それから、今いわゆる心理学の方々が是非この証言を研究させて欲しいという形で来ておられます。その時に経験したことは、記憶という形で人間が持ってるわけですから、その記憶が3週間ほど後に私が求めた証言という形で思い出されて、提供されるまでの心理的なプロセスとは一体どういうものであるか、そしてその時におけるいろんな問題というものもどんどん学問的に深められてくると思います。
 そういうわけで今日は、自然における異常な現象がどのようにして動物のストレスなり異常行動をつくったのか。そのことに関してまず証言の整理と、それから現在私が考え、これから研究しようとしていることを少しお話して今日の役目を終えたいと思います。
 まず最初に証言ですが、ちょうど3月末で切り上げたわけです。すなわち3月20日のサリン事件以降、もう一切証言も途絶えましてマスコミからも全く干渉がなくなったということで、時間が出来たため 一生懸命まとめ始めたわけであります。ここにありますように兵庫、大阪というのが証言者の最も多いところでありますが、その他にはその周辺の県にもあります。
 これをもう少し分かりやすくしようということで、地図の上に落としたのがこれです。ですから、ある意味でやはり震源地に近いところからたくさん異常が出てるんです。今この会場にもおられますが、高校を中心にして、たくさんの中学の生徒さんからですね、何人かそういう異常を経験したかというような調査が行われるようになりました。その結果、被災地を中心としてだいたい30%、ところが楠木のあたりに行きますと10数%、半分以下、姫路に行きますと2%前後ということで、いわゆる震源地からどんどん離れるに従って急激に、その異常の出現というものが減ってくるということが分かってきました。そのことは逆に、そういうものを前もって観察できてそれが集められますと、だいたいとどこで地震が起こりそうかというようなことが分かるのではないかという希望を表わしております。
 それから、どんなものが表われたかということですが、先程言いましたように、自然の現象というものがどっちにしろ動物にストレスを与えて異常な行動をさせたに違いないということで、自然の中で空と大地の異常、大地の変化というようなものが出ております。それから観察する対象である人間自身も動物であるわけですから、いろんな異常な経験をしているわけです。特に人間の場合は、内面的な、いろんな心理的な、あるいは夢というようなものも証言できるという意味で、獣類とは違った経験の証言が出来るということです。獣類、鳥類、魚類、爬虫類、昆虫、植物、その他というのはこれは電子機器です。そういうものに異常が現れたという状況です。
 まず、自然の異常でありますが、この空と大地の中で全体の29%、すなわち490件が空と大地の異常になるわけですが、その中で地震雲というのが44%で一番多かった。それから月が異常であったというのが25%、空の色あるいはくすみとか空に虹がかかったとか、そいうような現象が20%、それから発光した、稲光がした、夕焼けあるいは朝焼けの状感が異常であったとか、虹、その他ということでございます。
 この中で、たくさん証言がありますからそれは本にお願いするとして、この地震雲については、今気象庁が躍起になって、そんなものは無いんだというように言っておりますが、映像としても随分たくさんの地震雲をとらえているわけで、これは2種類あるということが分かります。それは後で写真を見せながら説明致します。
 それから大地の変化というものは、最も多いのが地鳴り、それから群発地震あって、それから井戸の水が非常に増えた、減った、あるいは池の水が無くなった。こういう温度が上がった、海が非常に濁った、泡がたった、湧き水、川などその他、大地の変化が記録されております。
 少し送られた写真を見てみますと、この私の「前兆証言1519」の中の表紙になっている写真でありますが、これは2種類の地震雲が出てるというんで選んだ訳です。この一つは水平に非常に長い、そして長時間滞留する、飛行機雲とは明らかに違う形。もう一つは大地から渦巻き状の雲になって噴出してくる、この2種類でございます。そして、これは明らかに普通の気象雲ではございませんが、これに対してはいろいろと意見がある、という状況であります。
 しかし渦巻き状の地震雲と言ってもいろいろございまして、遠くから撮られたもの、近くから撮られたもの、いろいろあるわけですけれども、これは非常に近くから撮られたものです。振り返ったら前は真青な空で後ろは一部空が見えていますが、こんな形で真黒な雲がわあっと沸き上がっていくというような状況です。これすぐ真下で撮ったものですが、もう少し遠くから撮ったものを見てみますと、これは余震の時に出てきたものですが、こういう形でわあっと出できている。これは前の方は地震の被害を受けておりますが、こういうものが、これは関東大震災の時でもいずれも言われている現象でありましたが、今度も随分見られました。
 そして、空気が黄色のフィルターをかけたような状況になった、あるいは空が霞んで、そしてその中で発光現象が見られた、あるいは渦巻き地震雲がどんどん発光を伴って昇っていった、非常に強い臭いがしたというような形で、それからその中に入ったらものすごく暑かったというような証言が集まっております。
 それから月の色も、これはコピーのコピーですから分かりませんが、大変異常な空気の中で、これはそんなに赤くはないですが、赤い月が昇ったと。それから、これが二重の虹ですが、このようなものを見られた方々が、写真を盛んに現在でも「あのカバーの写真を見たけど、私も同じのを撮ってる」と言って送ってきておられます。甲虫というような形で、これは色はサーモンピンクのものすごくいやらしい色をした写真であります。
それから医学的にはレントゲン写真にこのようなスパークが、こういうのは未だかつて一度も撮れなかったのに、この地震の前、2目前のレントゲン写真で出てきた、ということが証言されております。なぜこうなってくるのかという原因は、あの渦巻き地震雲で巻き上がる雲に秘密が隠れているのではないか、非常に強い電荷を帯びた微粒子、岩石の非常な微粒子が雲の要素となって地中から飛び出してくる帯電エアーゾル、これはトリビッツさんという人が言ってたんですが、それを証明したものではないかというふうに考えています。
 それで非常に強い帯電状態というのは今のレントゲンフィルムとか、あるいはこれから説明しますその他の現象、証言にもたくさん出てまいりますが、獣類、ここで問題になっています獣類の中では、一番証言の多かったのは犬の35%、これが全体で19%、324件の中の35%、ネズミが25%、猫が25%、次いでイタチ、モグラ、ウサギ、ハムスター、リス、それからイノシシ、イルカ、その他という形で報告が来ております。どっちにしろ犬とネズミと猫、これが最も主要な獣類であります。
 それから鳥類では、全体の16%、281件ですが、カラスが35%、鳥達って分類は分からないスズメ、カモメ、ハト、インコ、ヒヨ、キジその他という形で、今まで記録にあるような鳥も含めて証言が寄せられております。この中でカラスが一番皆さんに強いインパクトを与えているようでありまして、まず群れが出来る、それからその鳴き声が、普通のカーカーという声からグアーグアーというような低い声に変わる。とにかくぱっと窓を開けたらベランダのところにカラスが止ってものすごい声でこっちを見て鳴いていると、ヒッチコックの鳥だ、えらいことだ、という印象で見られたようであります。この中にも経験された方があるかもしれませんし、ないかもしれません。
 魚では、やはり名前が分からない、それからナマズ、イカ、金魚、ボラ、グッピー、プレコ、ドジョウ、コイ、カレイその他ということになって、やっぱりナマズが一番注目されて、最近ではいろんな水族館のナマズ,海遊館のナマズも非常に詳しく報告が出ておりますし、それから滋賀県の県立の水族館のナマズも含めてですね、その暴れ方、その特徴、それらも出ておりますが、いわゆる住民レベルでは、自宅で飼っている、机の上にプラスチックの水槽でナマズを飼っておられるそのナマズが蓋を吹き飛ばしてものすごく暴れる。それで困ったということで。今までのナマズが暴れたというのは池だとか、川だとか、そ水だというところの話でした。ですから、地雷流がなんか変わって、そしてそのナマズを刺激して暴れていたと、そういうことだったんですが、実はそういう、プラスチック容器で飼っているナマズだとかカレイだとかキンギョだとかそういう全ての魚達は、地電流とは絶縁されているわけです。にもかかわらず、今回ものすごく暴れた、そのことは一体何を物語っているのかという意味で今までとは違ったいろんな解釈が必要ではないかと思っております。
 その他昆虫とかの問題、それから今回初めて出てきたのはオーディオビジュアルの関係、それから自動車のナビゲーションシステム、あるいはコンピューターシステムというようなものに現れた異常でありまして、電波的な電磁波の問題とそれから静電気による異常というものを意味しているんだと思います。
 ここで注目したいのは、この会で、愛玩動物を含めてどのぐらいの動物が前兆異常を示したのかというようなことを調査されておるということを新聞で見ました。すなわち全ての動物が異常を示すわけではありません。個性があるということですね。しかも現れ方にしても、激しいパニック状態を呈して猛烈に鳴き、鎖を引っ張りというような暴れ方の他に、大変な自失状態で毛を逆立てて、そして歩行も困難で餌も食べないというような意味での異常、大きく分けて2種類あるんですが、そういう意味で我々がこの地震予知にこれを活用する時には、そこらの辺りが非常に問題になってくるんであろう、と思います。
 というわけで、何がなぜというような事をやはりきっちり押さえていくことが、今後地震予知に正確に反映する時に必要になってくると、そういうふうに思われます。動物の異常を示した歴史的な地震というのは、もう世界中調べてみますと、場所とか時間とはあんまり関係なくやはり大きな地震の前には必ず動物異常が現れているという事が分かってまいりました。
 これの分類と合わせるためにちょっと視点を変えて今度の阪神淡路大震災の動物の異常を集計してみたわけです。ここのいわゆる大型の獣類、小型の獣類、これがここまで41%ほどあるんですが、大部分は小型の獣類という分類になるんであろうと思いますが。これは都市の動物層を表しております。鳥でも、家禽類と野鳥を見ますと、これが鳥類ですが、ほとんどは野鳥で家禽類は非常に少ないということ。それから魚類ですが、これは海の魚、川の魚、とにかく比較的数が他に比べて小さい。これは爬虫類ですが、これをちょっと頭の中に置いて頂きまして、次にこのデータを見てください。
 すなわち中国での獣類、これが大型、小型、それからこれが鳥ですが、野鳥と家禽類はほぼ同じです。そして魚がこんなにいっぱい。日本の歴史地震のデータを調べてみますと、これが獣類、それからこれが鳥類です、野鳥とか。それから、あと魚がこれだけあるわけです。半分以上は魚。しかも、その中では海の魚が非常に多い。それで、川の魚はこれだけ。すなわち、日本の地震の多くは海洋のプレート境界に起こる巨大地震に伴った記録が随分入っておりますから、魚が少ない。海洋直下型の地震では、このように魚か非常に多いわけです。中国はこれだけです。すなわち中国の地震、この50件ですが、これは全部直下型です。すなわち直下型の地震では魚は非常に少なくて獣類と鳥類が多い。それが日本では獣類も鳥類も割合が少なくて魚が非常に多い。それで阪神淡路の、今さっきのと比較してみますと、まさに中国の鯛、すなわち魚が非常に少ないということで、しかも、この割合が都市の特徴を持っており都市直下型地震の前兆を示している、ということが非常に重要であります。
 そして、そういう動物に異常が現れるような地震を、またそのマグニチュードを調べてみますと、この中国の50件の地震のマグニチュードは8、7、6、5、ここまでは動物異常が現われるんですが、それからぱたっと出ない。すなわち、直下型地震の場合にマグニチュード5よりも大きいひどい地震を動物異常は示しております。
 それで日本の場合を見ましてもですね、8、7、6、で5からはなくなってしまう。すなわち、海洋直下型の地震は震源地が遠いですから、そういう意味ではより大きな地震に対して動物異常が現われる。つまり、どちらにしでも、動物異常が現われるようなものはひどい地震であるということを意味しております。
 それで、このようないろんなことから、場所、それからどんな規模というようなことが色々分かるわけですが、一番の問題はいつ起こるのかということであります。
 いつ起こるのかということですが、これが今の皆さんが提供してくださった428件について、すなわち月、カラス、ネズミ、犬、猫、月というのは空気の状態ですが、そういうものを並べてみます。第一段階、昨年の秋ぐらいから正月、すなわち1カ月前ぐらいから10日前ぐらい、それから10日から1日前がこのライン、そして24時間以内でものすごく異常が高まってきたという状況であります。このようなことから、大きな地震の場合には必ず直前にはこういう住民で観察できるような異常が急に現われる。現在の状況でしたら、これは非常に大きな一種の情報としても伝わり、これが分からないというような事はまずないと思われます。それで時間がございませんから、現在どうなっているか、ピスポというシステムで私が全国からの情報を今集めておりますが、伊豆の地震の場合に現在どういうものが集まってるかといいますと、前兆、動物における前兆の異常は来ております。そして、それを見てみますと、魚、やはり魚が利尻で最初に非常に大量にとれたとこういうようなこと、それから陸上のものでは穴にすんでいる蛇、ミミズ、それから穴に住んでいるような、岩場を這ってるあれ、なんて言うのか知りませんけど、そういうものにとにかく異常が現われる。
 しかしたくさんある温泉でも、温度を計ったり水位を計ったりしておられますが、それには異常は出ていないというように、それぞれの特徴があるわけで、今私のところに来ている情報を含めて、日常的なノイズという様な問題、それからマグニチュードに対してどうかとか、より早い段階から出てくるものを地道に積み上げることによって、将来地震予知にこれが有効に使われると思います。
 後は実験をどうしようかという話は時間が足りませんから致しませんが、そういうものも同時に五感以上というものの視点においての計測という様なことも可能である。帯電エアーゾルを計るということは神戸の機械メーカーが検討しております。このメーカーは、世界的にも有名ですが、今度の地震で被害に遭いましたけども、そういうものを使えばですね、動物異常とこれとの対応関係も分かるということで、どんどんそういう方向で研究を進めていきたい、そういうふうに思っております。
 以上、本当の中間発表、私としては非常に中間発表的な話でありますが、しかしこれをまず知って頂く、みんをで共有するということが今後非常に大事だと思って、本という形で出版いたしました。どうもご静聴有難うございました。

(座長)
 弘原海先生どうも有難うございました。今、科学万能の時代ですが、それに頼り過ぎると逆に、人や動物が本来持っている叡知が疎かにされてしまうんじゃないかという、そんな面を含めた貴重なご示唆を頂いたかと思います。特に本日ご来場の皆様におかれましては、犬猫を飼っていらっしゃる方も多数いらっしゃるかと思いますが、要は日頃からよく観察を続けるという事が大事なのかなと感じでおります。先生どうも有難うございました。
 なお、フロアの皆様からもご質問を承りたいと思うのですが、それは今お手元のプログラムの、お三方のご講演が終わった上でまとめてご質問承らせて頂きたいと思いますので、ご了承ください。
 それでは,お二人目の演者をご紹介させて頂きます。神戸市立王子動物園長権藤眞禎様、演題は「動物園の動物達」です。権藤先生お願いいたします。

(権藤先生)
 紹介頂きました王子動物園の権藤でございます。今、弘原海先生がおっしゃったことは大いに、我々参考にしたいと思っております。
 動物園は皆さんがご存じのように、被害の大きかった灘区にあります。面積は8ヘクタールで、象から鼠いろんな鳥を入れて200種類の1,300点の動物を飼育しております。当日ですが、向かいの県立美術館が潰れたりしておりまして、被害は無いというわけではありません。新聞報道では無いということで出ておりますが、小さな亀裂とか水鳥のプールが割れて水が無くなったとか、建物にヒビがいったとか、地下埋設のパイプが折れたとか、濾過器が倒れたとか、いろんな被害が出ておりまして、現在修復工事をやっておるとこでございます。
 当日、1月17日は朝なもので動物園は無人状態です。それで、直前のことはどうであったか、ということがなかなか分かりません。まず私が心配したのは、最近の動物園というのは鉄格子の檻で展示するということをやめて、動物が自然に生きている状態を再現したいということで、ガラス張りで中に水があったり木や草が生えておる、というような状態のものを作っておりましたので、瞬間、あっ、アシカ池の450トンのプールの窓ガラスが割れて出でるんじゃないか、白熊舎の200トンの水が、ガラスが割れて出たんじゃないかとか。それからチンパンジーとかキンシコウとかオラウータンとかそういうものは寝室もガラス張りでして、その安全合わせガラスが割れたんじゃないかとか。
 それから爬虫類ですね。ワニとか蛇はやはりガラス展示のプールにおりますから、そこが割れて動物が飛び出しておるんではないかとかそういうふうに不安を感じたんですが、とにかく行くことも出来ず連絡もなかったんです。しかし暗がりでも3人ほどが行きまして、どうだったかと聞きますと何の被害もない、動物も怪我も無く、死んでもいないと言うことを聞いて、やれやれということで出勤していったわけです。しかし、これは不特定多数の集客施設、年間130万人の人が来ておるわけですから、もし昼間そういう事故があったらどうなるかということについては、東海地震の頃にできた大規模震災特別措置法に、猛獣舎は一般の建築基準法より強くしなけれはならないとか、観客の安全を保つためにどう対処すべきかということがありまして、昭和26年にできた動物園なんですが逐次動物園の老朽化施設を、対震基準を20%程増して作っておりますので、今回の震度7の直下型地震でも建物の倒壊がありませんでした。裁々、お客さんと動物を守る立場でやっておりましたのが非常によかったなというように思っております。
 ところが、その当日は動物園で何をするかといいますと、駆け付けてくれたのが全体で、職員やいろんな人をいれまして150人ほどおりましたが、その内18人が夜、夕方までに出てきて動物の安全を確認したということです。
 それから、もう一つは、あまり被害がひどいため、王子動物園の北側にあります王子体育館に避難者の方と亡くなられた方の収容をしておりました。しかし、そこも収容できないということで、王子動物園の科学資料館にある300席の、絨毯敷のホールに遺体を収容できないかということで、灘区の対策本部から要請がありまして引き受けたわけです。それで、私とあと3人ほどで18日の明け方までに41人の亡くなった方を抱きかかえて安置しました。ですから、動物園の動物を見にいく暇がなかったわけです。
 それから、自衛隊が出動してきました。動物園のすぐ東の陸上競技場にヘリコプターがどんどん、どんどん降りてきて物資を搬入する。それから、自衛隊の方が来られたんですが、彼らの泊まるところというのはテントですが、都会ではコンクリートとアスファルトでテントが建てられない。陸上競技場はヘリコプターとかトラックが入りますので、動物園の中を使わせてくれということで17日の夕方からどんどんどんどんトラックと自衛隊の方が来られて、おおよそ当日から800人の方が動物園の土の上でテント生活をされたわけです。
 そういうことで我々17日から1月の末まではほとんど避難者の方の食料調達とか、ご遺族の方の茶毘に伏すお手伝い、そういうことに明けくれておりました。それから、非常に困ったことは、新聞、テレビ、ラジオの方がどんどん、どんどん来て同じことを何遍も聞くわけです。
 誰かが対応しなければいけないということで私が事務所で一人で18日から対応しておりましたが、動物が逃げ出してない、動物が怪我をしてない、動物舎が壊れてないということを、マスコミの人が聞いても、それがちっともニュースにならないわけです。
 そういうことから今度は一般の方のほうで、たぶん動物舎が壊れて動物が逃げているんじゃないかという様に思われたのではと思いますが、出勤途上の代替バスの中で、(神戸の人は自分のことで大変ですからそういう話はでないんですが、)関東方面から来た東京弁の若い二人が灘区の動物園、王子の動物園のトラが逃げて灘区がパニックになったと、そういう話をしてたということを聞いております。他の人もそういう話をしている、というデマがでるんですね。
 ですから、いかにこういう地震の時、火事の時はデマが出てそれに惑わされることがあると思いますが、我々動物園は以前から,地震の時、火事の時の動物の事故を想定しているので動物は絶対逃げ出しません。猛獣等は二重三重構造で扉が壊れても外に出ないという構造にしておりますし、また動物が脱出した時の捕獲訓練もやっておりましたので、そういうデマは絶対に出ても信用しないでくださいよ、というように言ったんですが、それもほとんど報道されなかったんです。
 それで動物のことになりますが、動物園の動物は大体夜は寝室に入れます。外に置いておきますと、夜だれかが来て変なことをするとか、こういう事故の時に飛び出されるんじゃないかということで、全部寝室におりました。したがって、前日の5時半以降は誰も見てないわけで、動物の異常行動があったかどうかというのは後で聞いたんですが、みんな何もなかったということでした。それから、神戸の人間、我々も含めて地震が神戸で起こるということを夢にも思わなかったわけです。
 そういう訳で、後であの時そうじゃなかったかな、いう話を聞いたのは、450トンの水がたまっておりますアシカのプールで、いつも餌をはやるとき寄って来て食べるわけですが、普段は地球の北半球におります水中の動物は大体左回転で遊泳をしているのに、1月16日の昼には飛び上がったり急に回転したり、右周りしたり非常におかしいと状態でした。その当時見ておりました飼育係と獣医師が、「これは地震が来るのと違うか、おかしいで」と言ったんですが、「何を言うとん、地震なんか来るかい」、ということで誰にも言わなかったというようなことを、後で聞いでおります。
 それから、私は事務所にいたり避難所に走ったりしておりましたが、余震がどんどん来ますとね、ほとんど、あッ今度は震度4ぐらいちゃうかなという具合に当たるようになったんです。その度に近くの象舎にいる、日本で一番年寄りの、象のスワコ、53歳の所に飛んでいきよすとやはり部屋の隅で、いつでも座ろうという、我々の言葉で言いますとへっぴり腰、前脚は立っているんですが、後ろ足はこう落としている状態でじっとしてるわけですね。
 私は動物園に、20年おりますが、朝必ず象舎の前に行ってサラームと言う挨拶をしますと鼻をあげてくれるわけです。それでナンキンなんかをあげるんです。それでそのときも大声でサラーム、サラームと言いますと、やっとこちらに気がついて、姿勢を直して鼻をあげて近づいてくる。それが余震の度に走っておりますので、事前にどうしたかは分かりませんが、振動の恐怖とかで、そういうことになるんじゃないかと思っております。それから地震の後、17日から全ての動物を寝室に閉じ込めたまま飼うことにしたのは、大きな余震が来るかも知れない、外におって暴れて怪我をさせてはいけない、また檻が外れるかも分からないからということで、ほぼ2週間ぐらい寝室に閉じ込めて飼っていたんですが、この作業が大変だったんですね。
 この地震で我々生活するほうも一番困ったことは、人間にとっても、生き物にとっても、大事な水の不足だと思います。電気、ガスがなくても生きていけますが、水がなかったら大変だ。動物園では井戸を3本水道と併用しておりますが、90メーターの井戸2本が振動で壊れて、電気が通っても水が上がって来ませんでした。幸い200メーター掘ってある井戸が助かりまして、これは日量400トンぐらい出るんですが、これをアシカとシロクマに使っていました。そういう井戸水を使っていたので何かアシカが地下からの異常を感じて動いたのかな、と科学的に興味のあることなんですが、そんなふうに思っております。
 それから、やはりびっくりして餌を食べなかったのではということを皆さんが言われているんですが、オオアリクイが一日二日食べなかっただけで、他の動物はけろっとして食欲はぼりぼりあった。食べなかった動物はないということを皆言っております。というのは、我々都会の人間は五感が減っているのと同様に、動物園の動物もほとんど動物園生まれで、動物園の小さな所でしか暮らさない、上が騰据え膳で餌をもらっているということで、そういう地震の前兆を感じないのかなあとそのように思ったりしております。
 例えば、アシカは群れで泣いておりますが、他の動物は一匹か数匹で生活しております。カバについては17日に雌が水の中にはいって出てこなかったので、キーパーの方がびっくりして死んだんじゃないかと思って棒で小突き回しても動かず、水を抜いて初めて、ああ生きておったと確認されました。
 これは雌のカバでチャメコというんですが、アフリカから来て日本で子供どんどん増やしております。もう一つの雄の方は動物園生まれ動物園で育ってるわけで、地震が起こっても外で欠伸かいて寝てたというふうなことです。
 それからライオン、トラでも地震の後はうわあっと吠えております。ところが食欲も全然変わらない。
 猿類はやはりびっくりして抱き合うのですが食欲はちっとも変わらなかったというような状態でございました。
 やはり、個体差が非常に多いなというふうに感じております。というのは、須磨のイルカ7頭ショーを1頭だけがショーに参加しないで、異常な行動をしたということも聞いております。こないだの伊豆の群発で、網代に油壷マリンワールドという水族館に、そこの部長が友達なので、電話して予兆があるかどうか調べておいてくれよと言いますと、やはり1頭だけが大変な異常行動を起こしたそうです。割と個体差があるなと感じました。それから、当日からはほとんど動物を見る機会がなかったのですが、やはり、爬虫類のワニは胴体が地べたに長くひっついて水の中におりますので、明くる日の朝はそのガラス張りのガラスに暴れて擦った跡があったそうです。ひょっとしたら事前になにか感じて暴れたんじゃないかと思ったりしております。
 スライドを持ってきておりますので、ちょっと見て欲しいと思います。お願いいたします。

 これは現在の動物園の入り口を示しております。次、お願いします。

 これはこの辺りが動物園でございまして、こちらが摩耶の方、これが陸上競技場のヘリポートです。ここはサブグラウントで自衛隊のトラックとテントがあります。この辺は遊園地ですので全部テントだらけで、これちょうど桜の花が咲いているところで、自衛隊さんと非常に仲良くなりましたので、隊長さんに上空写真を撮りたいと言ったら、どうぞということで乗っけてくれたわけです。次、お願いします。

 これは、ついでに飛んであげるということで阪神高速が倒れてなくなった青木の辺り、深江ですか、あの辺りの写真です。次、お願いします。

 これは長田の駅の焼けたほうでございます。次、お願いします。

 これもその辺りじゃないかと思いますが。はい、次、お願いします。

 これは動物園はその当日から閉鎖しておりましたので、こういうふうな看板を出しております。次、お願いします。

 駐車場が800台ほど停れるんですが、ここの場所は全国の派遣された警察のパトカーとそれから避難してこられた方の方の車でいっぱいでした。次、お願いします。

 これは動物園の建物から隣のヘリポートを見て、今ちょうどヘリコプターが飛び上がる瞬間です。この辺にいっぱいあります。それでヘリコプターが18日からブンブン動物園の30メーター上空を飛び回りましたので、地震で動物がびっくりしたというよりは、騒音でびっくりしております。それから、前の道を消防車、救急車が走りますので、私は戦争中子供でよく知っておりますが、まるで戦争中の飛行機の空襲かなと思うくらいだったんですが、そういう騒音で猿が逃げ回ったり、入り口のフラミンゴ200羽ほどがみんな飛び回って落ち着きませんでした。本来ならその当時にフラミンゴは巣を作って卵を産むんですが、ヘリコプターが飛ばなくなった3月の中頃まではそういう巣作りをしなかったので、ストレスが非常にあったのだと思います。次、お願いします。

 これは自衛隊さんに動物園が占領されているということで、こういうのどかな風景に厳めしいトラックがあることを撮ってございます。次、お願いします。(写真1と2)

写真1

写真2

 これは南ゲートの前の広場ですね。ここは通信隊がおりましてこういうアンテナが立っております。次、お願いします。

 これ遊園地のロボ君と言って有名なものなんですが、そこが医療隊の場所、これが指令テントでございます。こっちが食堂でございます。次、お願いします。

写真3

 これもテントがいっぱいあるとこですね。(写真3)はい、次、お願いします。

 これは入り口入った所のフラミンゴです。当日はカメラが壊れて飛び回っている写臭が撮れてなかったんですが、こういうのんがおります。次、お願いします。

写真4

 これがアシカ、先ほど言いました450トンの水がたまってる10メーターのガラス窓ですね、ここはずっといつも左回りをする場所なんですが、こういう状態のところが地震にも耐えたということです。(写真4)次、お願いします。
 これもシロクマのプールなんですがぜんぜん事故も無く、もっております。ただここからの濾過器にいくパイプが潰れてついこの間まで水が濁ったままでございました。次、お願いします。

 これはチンパンジーの1、000平米ほどある放養場ですが、ヘリコプターが上を飛び回りますので走り回ってキャーキャー騒いでいるというような状態がありました。次、お願いします

 これはあの金糸猴、ゴールデンモンキーという中国からお借りしてる樹上生活の猿ですが、やはりヘリコプターが飛び回りますと落ち着かなく下の方へ来たりしております。次お願いします。

 やはり動物園というものは、人に来ていただかなければならないところですし、被災を受けた学校が避難所になっておって子供の授業ができない、遊んでばっかりおる、どうにかならないかということで、動物園の本体の方の、自衛隊の車が走り出る所は避けて、動物愛護の気持を育てるという心でつくりました、子供の国というふれあい動物園の8、000平米の方には自衛隊が入ってないので、3月1日から避難所になってる学校の子供達を、避難所のボランティアが連れて来る、ということで早速笑顔を見れたということでございます。次お願いします。

写真5

 これはその当日どんどん入ってきておるところです。(写真5)次お願いします。
 日頃動物園ではこう目の前でレクチャーはしないのですが、職員もほぼ1カ月くらいお客さんが来てくれなかったので、張り切って子供達にコアラの生態学とか、どんな餌を食べているのかとかということを笑顔でやってこれるようになっております。次お願いします。

 こういうところですね。はい次お願いします。

 終わりです。有難うございます。
 まあ動物園の方は出勤してきたみんなの食べるものが無いので、被災者の方にどんどん送ったりする仕事をしていました。やはり地震が起こった時、何か災害のあった時には、動物の餌も大変大事ですが、世話をする人の食事も大変だったなあと思います。調達に苦労したわけでございますが、動物園の餌はだいたい保存食、冷凍肉とか乾燥、まぐさの乾燥したもの、ペレットがたくさんありましたので苦労はしておりません。しかし生鮮野菜が少なくなったので京都動物園からもらったり、水鳥のプールが割れて飼えないので大阪動物園に預けたり、そういうことをやっておりました。
 それから一番困ったのは、爬虫類は、電気やガスを使って暖房しておるのですが、それがちょっとできない。つまり、電熱器とか温風ヒーターをいれますとヒューズが飛んでしまうということで、爬虫類を死なさないような仕事に四苦八苦をしておりました。
 それから動物の異常行動というのを少し言わなければならないのですが、先程もゾウがヘッピリ腰になったとか、カバが水に飛びこんだとかいうことぐらいです。それからアシカのことですが、やはり非常に個体差があるなということを思っております。
 それから私の知り合いも他の避難所で聞いてみますと、6匹猫を飼っていてその内1匹だけが自身の前から逃げ回ったということでして、やはり個体差があるのではないかと思っております。
 それから私のほうも、あの中国の天津の動物園と20年来の付き合いをしておりまして、先程弘原海先生が、中国のデータを示しておられましたように、中国の方はここ20年来、唐山とか、海城とか、渤海の震度7くらいの地震が続いております。唐山地震のときに、討論をした。天津の地震局というのがありまして、大きな州に、7つの地震観測所があってその内2つで動物を飼って震度計と併せて併用してるということでございます。なぜ地震局でこういうことを始めたかといいますと、やはり地震の前にいろんな動物が騒ぐのだそうです。
 天津の動物園にパンダが3時間か4時間前にキーキー鳴いて転び回ったとか、ヤクが餌を食べなくて地べたを跳ねたとか、白鳥と、たくさん飼っております鵞鳥とが池から出てしまったそうです。それから農家、日本と違いましてまだまだ農家がたくさんありますので、そういうところの家畜異常ということも、どんどん出てきたので、そういうことを物理学と両方併せてやるということをしてるようです。
 私は聞きましたが、もう既に 一般住民の方の通報システムが出来ておるようです。1つの村に、委嘱された方を呼びまして、簡単なレクチャーを受けるそうです。そしてその方が地震局にどういう動物がどうなっているか報告するそうです。動物園からも報告をするということになっております。
 それで、地震局でどういう動物を飼っているかと聞きますと、鸚哥、鶏、犬、馬、牛、羊、馬、鼠、鯉、鯰等を飼ってるようです。あとは鯰とか鯉の水の中で暴れる状態を電気的に数値に現しているようです。それから鸚哥は泣き声を多分声紋か何かの変化を捕えてそれを参考にしてるというようなことをされておられます。
 それから余談になりますが、一般の方に地震のことを通知するために、おおよそ十万人ぐらいに動物に事前にどういう変化があったか、地震の時にどうしたらよいかというふうなパンフレットを作ってレクチャーしておりました。その中に今迄中国でも歴史的なデータとか最近の動物の異常の報告から、おおよそ50種類くらいの動物が一般の方の目につくということで、それに対する観察、一般の人の観察ということで歌が出来てるんですね。詠み上げますと、「地震の前、動物に予兆がある。大衆の観測で予報することが大切だ。牛、羊、騾馬、驢馬は囲いに入らず、豚は餌を食べず、犬は狂ったように吠え、家鴨は水に入らず岸辺を騒いでいる。鶏は木の上に飛び上がり、金切り声で鳴く。凍てつく空のもと蛇は穴から雪原に這い出し、親猫は小猫を銜えて逃げ回る。兎は耳を立て跳ね回まわり物にぶつかる。魚はパニックで水面に飛び上がる蜜蜂は巣から離れて騒ぎ回る。鳩は怯えて飛び巣に帰らなくなる。皆で一緒に観察し、異常をまとめて予報しよう」
 こういうことを一般の方に覚えていただいて、通報システムを併用し地震を予知しようということで、海城地震の時は上手くそれらと併せて地震の震度計などいろんな方法で調べられたため、通知で大体40万人ぐらいが助かったそうです。後は唐山地震の時はそういうことが上手く機能しなくて、24万人の方が亡くなったそうです。色々中国の方は経験が多いので、我々もそういう方面から勉強したいなと思っております。
 動物園は全国で160ほどあり、水棲動物もたくさん飼っておりますので、私としたら日本動物園水族館協会でひとつの標準的な観察指標を作ってなにか役に立つことはないかと考えておる次第でございます。以上有難うございました。


(座長)
 権藤先生有難うございました。動物が地震を果たして予知できるのかどうかという大変興味あるテーマでございますが、先程の弘原海先生、今の権藤先生の話を通じまして、必ずしも全ての動物が予知して以上行動をとっているわけではなくて、個体差、個性差があるということですね。ということは若干興味があるテーマではありますが普遍性には欠けているのかなと感じます。
 しかし権藤先生の今のお話にありましたように、異常行動を標準化して、観察手法がもっと考案されて、データが蓄積されていけば、今以上にですね、動物の予知ということに関心と興味を持って頂けるようになるんじゃないかなと思います。
 それでは、3人目の演者をご紹介申し上げます。日本愛玩動物協会の吉田明子さんです。演題は「避難所の動物達」です。お願いいたします。

(吉田さん)
 日本愛玩動物協会、大阪府愛玩動物飼養管理士会の吉田でございます。今回私共は、一番身近な避難所におけるペットと、ペットと一緒に避難された飼い主の方たちの実体調査を致しました。避難所で生活をされているということは大なり小なりの被災に遭われた方ばかりでございます。人間と共に動物も一緒に大震災を越えて避難してきて飼い主と一緒に生活をしているということになります。
 私達が避難所に入りましたのはちょうど大震災から1月目の2月18日からでした。川西市、西宮市、芦屋市、そして神戸市へ入りまして、灘区、東灘区と避難所68箇所を回りました。内1箇所は調査を拒否されましたけれども、67箇所の避難所を回りまして、飼い主210名にお会いし、生活なさっているペットの様子などを伺ってまいりましたので、本日発表させていただきます。
 それではスライド1番からお願いします。
 これはどの避難所でも見られましたが、避難所の入り口に、いろんな生活情報を掲示されている掲示板です。私達も(この辺りなんですが、)ペットに対する情報を見つけますと、全部メモして帰り、そしてまた対策本部、それから動物救援センター等の案内等も提示して帰りました。次お願いたします。

 これは避難されている方の現在飼って入る動物の場所についてお尋いたしましたところ、一番上から、
 避難所でペットが飼い主と同居している 犬が64、猫が22。
 避難所内の廊下等で飼っている 犬が2、猫は0でした。
 避難所の屋外で飼っている 犬が25、猫が2。
 それから避難所に入らなくて自発的にテントの内、又は外で飼っている犬が31、猫は1。
 また自分の車のなかに入れている 犬が2、猫は0でした。
 で、後、動物病院に預けている 猫が4。
 それから自宅などでそのままペットをおいている 犬が34、猫が50
 これは猫の習性で、連れてこようと思っても猫がそのまま逃げてしまったりして、餌を運んで自宅でそのままおいているという回答です。
 それから親戚友人宅、それから行方不明。このような結果になっております。次のスライドお願いします。

 はいこれは少し見えにくいかと思いますが、地震の後の動物の状態はどう言うふうになっていったかとお尋ねいたしましたところ、こちらの方が犬です。こちらが猫のデータです。
 犬の方では、約60%の犬が、室内の寝場所にちゃんといたと答えておられます。
 そして猫の方は室内の寝場所にいたと答えたの75%もございました。
 次いで、庭に繋いでおいた犬が4.7%、それから庭の小屋にいたと答えた犬が4.7%、それから室内のケージの中にいた犬が2.4%、その他となっております。
 で、猫のその他22.7%ございますが、室内のケージの中にいた猫が2.3%。このその他の内訳で、倒れた家具や瓦礫の下にいたという犬や猫が一番多かったように思います。スライド5番お願いします。
 これは地震に対してどのような対応、反応をしましたかという質問に対してお答えいただきました。黒が犬で、網が猫でございます。一番上から
 どこかに逃げてしまっていた 犬が6.8%、猫が21.7%
 じっと隠れていた犬が10.6%、猫が17.4%
 非常に怯えていたと答えた犬が最も多く、51.6%、猫では51.2% ほぼ同じ数の犬と猫が非常に怯えていたということがわかりました。
 そして、興奮していた 犬が20.5%、猫が10.9%
 盛んに震えていた 犬では46%もございました。猫では19.6%
 そして、盛んに鳴いていた 犬8.7、猫では4.3%
 それから、普段どおり落ち着いていた 犬猫それぞれ8.7%
 その他 となっております。次お願いします。
 これは瓦礫の中で見つけた猫で、調査員が撮影しました。飼い主は避難所生活なさってるんですが、毎日この猫のために餌を届けているそうです。次お願いいたします。

 はい、これは地震に対する後遺症についてお尋ねいたしましたところ、元気が無いと答えた飼い主が
 犬8.5% 猫8.3%
 その次、食欲不振であると答えられた 犬が13.5%、猫では8.3%
 下痢をする犬が12.8%
 嘔吐がある 犬では3.5%
 震えがある 犬9.9%
 未だに怯える 犬22%、猫では22.2%
 躾けが乱れた 犬が10.6%、猫では5.6%
 私共が調査いたしました時には震災からもう1月過ぎでおりましたので、その時点でのデータだと思ってご覧ください。次お願いします。

 これは避難所でペットと同居なさっている方を撮影させていただいたんですが、今度の調査でこのようにペットと一緒に暮らしている動物たちは後遺症が少なく、また回復も早いということがわかりました。次お願いします。

 これは避難所の中で飼えなくて、外で飼っているワンちゃんです。これは飼い主の方が自発的に室内の中で飼っていた犬ではなくて、普段から外で繋いでいたり、犬舎の中で飼っていた犬で、1月過ぎて一番寒い頃だったのにもかかわらず、ワンちゃん達も震えながら飼い主の言うことをよく聞くというようなことでございました。次お願いします。

 これも廊下の片隅で暮らしているワンちゃんです。これも飼い主が、避難所で犬の嫌いな人、それからペットアレルギーの方がおられるということを聞いて、自発的に廊下の外で飼っているというような状態です。次お願いします。

 これは予知行動ということで、本日のテーマになっておりますが、この予知行動という言葉は調査カードに使わせていただいておりますのでそのまま出ております。飼い主の方々に、今思いだして、あなたがたの犬猫は地震の前、何か思い当たるような不思議な行動をしましたかとの質問と思って頂ければよいかと思います。そのようにお尋ねいたしましたところ、異常に鳴いた犬と答えた方が43.6%、猫では46.7%もございました。
 落ち着きが無かったと答えた犬では35.9%、猫では26.7%、怯えた犬が15.4%、猫では6.7%、その他 となっております。
 ある調査員の報告なんですが、この異常に鳴いた犬が、ちょうど大震災の起こった未明、この時間いつも散歩をなさってる飼い主の方が、いつものように犬を引いて散歩に出ようとすると、玄関の鍵を開けるのももどかしく、リードをどんどん引っ張って外へ連れ出してくれた。いつもはこんなことはしないのに今日はおかしいな、と思っていた直後に大震災が起こり、その方の家は潰れていまい、難を免れたとおっしゃっておられました。
 こういう命を助けられた、犬のおかげだ、猫のおかげだという報告は、いろんな調査員のカードに残っております。はい次お願いいたします。

 これは大変恵まれた避難所暮らしをしている飼い主とペットの様子ですが、後ろのシーツががかかっておりますこの中にも犬が犬舎の中に入っています。人を見ると大変怯えるようになったので垂れ幕でちゃんと囲ってありました。私達は覗かせていただいたんですが、落ち着かないでうちうろと歩き回っているような状態でした。次お願いいたします。

 はいこれは避難所の中に入れなくて、温室のような場所がありましたので、そこを借りてペットと一緒に生活なさっている飼い主もおられました。次お願いいたします。

 スライドはこれで終わりです。
 このように私達の一番身近な、会場の皆さんは自分の居住地の避難所はどのへんにあって、その建物の中はどのようになっているか、ご存じでしょうか。地域の学校や福祉会館が避難所になり、またスポーツセンターや各種会館の中、そして近くの公園。そういう場所を一度はペットと訪れて、そして大震災のような災害が起こった場合、一体こういう場所でペットとどのように生活したらいいのかを想定して、一度お考えになる必要があるように私共は思いました。
 そして今回調査して、我が家であろうと避難所であろうと、飼い主、又は人の言い付けはきちんと守れるように躾けておくことが大切ではなかろうか、躾けができておれば避難所ではこうあるべきだということは何も無いということもわかりました。地震のショックで多少は躾けが乱れたことでしょうが、飼い主が愛情をもって接することにより、回復していき、またペットの回復を毎日目の前で眺めることにより、飼い主もまた復興への情熱が沸いてくるということを我々は今回の調査を通して学ばせていただきました。
 最後に世界中の人々の願いでもある、この神戸の一日も早い復興を願いまして、私の報告を終わらせていただきます。どうも有難うございました。

(座長)
 吉田さん、どうも有難うございました。大きな混乱の中で、心情的にも非常に厳しかったと思いますが、被災地での被災動物の事情調査という大変貴重なデータをお作りいただいたということでございます。以上をもちまして御三方のご講演終わられたわけですが、フロアの皆様の中で、特に御質問をとご意向の方いらっしゃれば承らせていただきます。いかがでしょうか。時間の関係もありますので極力短くとは思っておりますが、どなたかいらっしゃいませんか。
 はい、それでは無いようですので、プログラムをすすめさせていただきます。それでは続きまして話題提供でございます。ジャパンケンネルクラブ中央訓練委員会委員長で、宮城県で犬の学校を経営しておられます本田憲先生です。トピックスは「災害救助犬とは」というテーマで御講演いただきます。本来本田先生はビデオを御準備いただいて皆様に御披露する予定だったんですが、会場設備の関係でビデオが放映できませんので御講演をお願いしております。お願いいたします。

(本田さん)
 只今御紹介いただきました本田でございます。私仙台からこの神戸にまいりましたわけでございます。2月にもちょっと参ったんですが、2月とはまた大分変わったなあというような感じで見ておりました。本日のこの人と動物の学会のなかで、「災害救助犬とは」ということをトピックスというかたちでお話ししてくださいと依頼がありまして、本日この会場へ来たわけでございます。
 皆さんにとっても災害救助犬というのは御馴染みの名前になってきたのではないかと思います。特に神戸には1月17日にスイスから、そしてフランスからとみえられたわけですし、それに日本からも数は少のうございましたが、神奈川、それから富山、京都、大阪とそれから地元という形で大体日本からも十数頭の犬がこの被災地に入ってきたわけでございます。なかなか日本は地震国でございます。なぜ今までこの災害救助犬というのがあんまり評価されてなかったか、またあんまり名前を聞かなかったか。1990年に私どもジャパンケンネルクラブの前理事長でございましたカーリアム理事長がヨーロッパに行きました際に、スウェーデンに参りまして災害救助犬の訓練所というか、そういうもの見させていただいた。地震の無いスウェーデンですらこのぐらいの設備をもってやってるのに地震国日本がなぜこんな。遅れてんじゃないかということは地震だけではありません。日本の場合ですね、水害とか土砂崩れなんかが大変多い。そういう中で、土砂崩れで生き埋めになった方、また家が流されたりというような形でいっぱい災害があるじゃないかと。
 そういった中でなぜ日本だけがこの災害救助犬に着手しなかったのかということで1990年にJKC、ジャパンケンネルクラブがこれを考えてみようという形になりまして、91年に正式にスウェーデンの方に派遣がなされました。派遣されて見てきた結果、シュミレーションセンターのようなものについては、日本ではこんな大規模なものはとても出来ないなと思いました。こんなことやるには日本では国全体が頑張っていただかないと出来ないんじゃないかなという感じで帰ってきたんですが、その後全国に4箇所から5箇所ぐらいの訓練所を特定いたしまして、育成という形で始まったのが日本の最初であると思っていただいて結構だろうと思うんです。
 私、今日皆様のもとに、レジュメの中に入っております小冊子の方に色々なこと書いてございます。私は25分という時間以内にお話しをしなければなりませんので、こと細かくみなお話しをするということは出来ません。ですからこの中から特に重要ではないか、日本の救助犬はこれからどうあっていけばいいのかというようなことをちょっとお話しをしながら参りたいと思います。さらに5分間程質問があればお受けするというような形を取らせていただきたいと思います。
 海外における反応というか対応というのはスウェーデンが災害救助犬としての先進国であります。スウェーデンは人口が800万ぐらいの人口ですが、土地は大体日本の13倍から14倍くらいの土地をもっております。そのため、あの広大な土地で国を守るとなりますとやっぱり犬の力なども借りる、という形で救助犬が出来上がってきたようです。
 本来救助犬って言うのはイギリスが発祥です。イギリスは第二次世界対戦の時に爆撃でビルが崩壊する。要するに戦争状態においての救出というのがこの救助犬の生まれたわけと言いますか、そういう形になっています。それがだんだんとビルの崩壊とか、これは地震によってもビルの崩壊があるということで、そういう形から災害救助犬という名前にどんどん変わってきました。
 ヨーロッパは今ドイツにもあります。それからフランスにもあります。スウェーデン、スイス、それからアメリカの方にもあります。
 アメリカはカリフォルニアの方が地震が多いと、サンフランシスコなんかは地震が大変多いということで、まあ西地区のほうですね。要するに西海岸のほうにこの協会があります。アメリカは約十年くらい前からこれが正式に動きだしてる。
 スウェーデンは三百頭ぐらいの救助犬をもっております。スイスとなりますと五、六百頭はいるんじゃないかなという話でございます。フランス、イギリス、ドイツ。ドイツはシェパード犬の原産国でもあります。これだけ頭の良い犬をもっている国が救助犬を作らないのはおかしいということで救助犬づくりを初めまして、今六百頭という犬が登録をされておるという現状だそうでございます。
 まあ日本の方はまだまだで、それこそ日本のことを話しますと十七、八頭がいいとこだろうと思います。ただ日本のほうの現状を見ますと本年6月にジャパンケンネルクラブの方に災害救助犬の委員会ができました。それで、訓練所隊員にアンケートを取りましたところ、いますぐにでも作れますよという訓練所さんが35箇所ほどあります。まあ全国にアンケートを出したわけでございますが、その中ですぐに可能な限り出られますという犬は46頭ぐらいという答えが返ってきております。只今訓練中という犬も大変多いわけでございます。
 まあ最終的には、来年度ぐらいには180頭になるのではないかというのを基本にJKCがやっています。ただ日本にはジャパンケンネルクラブだけではございません。富山の方にも、それから各地方自治体そのものが独自に考えてるところもあります。
 特に私ども宮城県、神戸からは遠いところでございますが、宮城県では昔から、昭和48年から始まっていますが、これは災害救助犬ではございません。山岳遭難救助犬でした。富山県も最初は山岳遭難救助犬から入っております。
 で、山岳遭難救助犬を48年からずうっとやってきまして本日この小冊子に書いてありますが、その様子を本来ならばビデオでお見せしようと思うておったわけですが、どうもビデオのセットが整わないということで急遽口頭でお話しすることになったわけです。
 私ども宮城県の場合は、宮城県のことばかりですが、山岳遭難救助犬連盟の理事もやっております。それは警察犬の変更という形でやっております。だけど今回の災害救助犬はまったく異質なものになるだろうと。
 それは何故かと言うと山岳遭難救助犬の場合は山の中でございますし、あんまり人もおりません。パニックになる場所っていうのもあまりありません。ところがこの災害救助犬っていうのは完全なるパニックの状態の中に入っていかなきゃならない。なぜかというと、騒音があります。人が多い。悲鳴がある。火事がある。煙がある。臭いがある。いろんな悪条件のなかに犬を持ってかなきゃならない。これはかなりの耐久力のある犬じゃないと使えない、という現状があるわけです。
 ですから災害救助犬の育成っていうことになりますと最低でも一年から一年半ぐらいはかかるんじゃないかと思います。ちょっと海外のことに触れましたが、海外の場合はシュミレーションセンター、要するに模擬訓練所がかなり大規模な形で作られております。町ひとつがもうなんか潰れたような形の、団地ひとつがなくなったような形のシュミレーションセンターをつくっておる国もございます。日本にはとてもじゃないけどそういうのは無いわけでございまして、現実に即応した訓練場所というのはございません。
 日本の場合、スウェーデンに本年も派遣されました結果、小さな一戸の家で、土管をちょっと埋めて、そのうえに瓦礫を重ねるという訓練方法もあるんだというのを見て参りまして、それならばまだ日本でも出来るんではないかなあと思いました。日本ならばせいぜい四、五坪のところに瓦礫を置いて、そこに人を埋めといて、上から犬がいって探すようにすればよいと思います。
 ただこの探す場合はちょっと皆さんで誤解なさると困るのでお話しますが、警察犬の場合ですと、足跡を追っていくわけです。犯罪捜査でもそうなんですが。ところがこういう大震災では、歩いてた方が陥没するわけがありません。お住まいのうちの中でそのまま沈んじゃうとわけですから、なかなか足を辿っていくっていうことは出来ない。そうする場合にどうしても教えていく中で、足を辿っていくやり方を教えますと、行方不明者を探す犯罪捜査と同じになってしまう。そうではなくて土管を埋めて、地下を歩かせて、その瓦礫の下にいるような設備を採らないと、なかなか教えにくいと、そういった現状なんです。
 ですからそういったシュミレーションセンターというものを作ることが、まず大変だろうと思います。私どもも今、5坪ぐらいの所に土管を一本だけ埋めまして、横に一本、縦に一本埋めて、縦の方の上に瓦礫を重ねて、下から人間の臭いがしたらそれに反応するというやり方でやっています。ただこれは騒音もありません。それから人もおりません。ただ犬とその瓦礫があって下に人間がいるだけですからあんまり気にしないで訓練に励めるのですが、これが実際このあいだの神戸のようになりますと、大変人が右往左往します。「ウウー」救急車の音がします。といろんな状況のなかで犬をつくっていかなきゃいけない。これはこれからの課題として日本の救助犬が世の中に、それも海外の方に地震があったとき出て行けるようになるまでには多少時間はかかるだろうと思いますけれども現状として今日本ではこういう訓練施設というものの造り方、それが出来上がれば、犬の方ももっともっと数多く出てくるんではないかなというふうな感じをもっておるわけでございます。
 それで、この中に書いてありますように訓練の仕方でもそうですが今日ここにおいでの方で犬をお飼いになってる方、たくさんいらっしゃると思います。その中で、ヤァ、わたしんとこの犬も救助犬にならないかしら、というご質問が出るかもわかりませんが、その前に私の方からお話しいたしますと、救助犬になるには、まず適性というものがございます。
 これはこの小冊子のなかにも書いてございますが、適性を見ていただきますにはどういうことをやれば一番いいのかと言いますと、これはどうしても大変な極限状態にある現場に向かうわけですから、その中でへこたれずにやらなきゃならないものなんです。
 その中でどうしても必要なものということになってきますと、忍耐強くと書いてございますが、忍耐強くやる気があって、そして好奇心に満ちて、常に前向きでいわゆる生活力旺盛な犬、要するに失敗にもへこたれない。何故かっていうと、真暗闇の穴の中へ押し込んでやったり、潰れた、狭い穴のほうへ入れてやったり、それから細い橋みたいなとこ渡ったり、不安定なぶらつくところを歩いたり。それからコンクリートですと、それが瓦礫になってますから、足切れるようなところを歩いたり。それから火が脇で燃えてるようなところを歩いたりするようなときに、今行ったような本当に生活力旺盛な犬じゃないと、とてもじゃないけどびびって尻尾まいて帰っちゃう。そういう犬ではだめなんです。
 それから今お持ちの方々でも、自分の犬、一回テストしてみてください。先ず、一番いいのは細い板を渡します。そこを歩いてみます。そこの板が揺れます。バウンドします。それでも犬はへこたれないで尻尾を振って歩くような犬だったら、少しは役に立つんじゃないかと思います。
 それから後は穴ん中へ入れてみてください。暗がりへおいてみてください。もう暗いとこ行った途端にびびって戻ってくるような犬では無理です。暗いとこでもどんどん入っていく犬、それくらいの意欲ある犬じゃないととてもじゃないけど、救助犬には出来ない。
 やっぱり皆さんの飼ってる犬なら、どの犬がいいとか悪いとかはありません。雑種でもけっこうです。あんまり雑種という言葉は言いたくない。これはミックスブリードとも言いますけども。私達は宮城県で生まれた犬は宮城犬って名前つけてるぐらいですから。神戸で生まれれば神戸犬でもいいだろうと思うんですが。そういうふうに雑種であろうがそれからシェパードであろうがラブラドールであろうがなんでも構いません。
 ただ、ヨーロッパはどちらかというとあまり毛の長い犬は使っておりません。あれは火災っていうか燃えてるところに行きますと毛が燃えちゃうっていうのもありますので、ラブラドールとかそれからフラットコーデットレトリバー、シェパード、こういうのが殆どです。日本の場合はラブラドール、シェパードが主流になってます。
 ただ今回神戸の方にフランスから参りましたが、フランスから参った方々の中に、小型犬、小さいのが何頭か交って、まあスイスからも小さな犬が来てました。あれは自分で持ち上げて、二階から潰れたようなところで、自分が入れないところに小犬を放り込んでやる。大きなセントバーナードだと放り込めませんので、小さな犬だと放り込んで、そこに誰かがいるか教えてくれるということです。小型犬の活用というのも、もうヨーロッパの方では始まっている。日本ではまだちょっと小型犬の活用は先かと思いますが、小型犬でもかなり能力のある犬でしたら出来るんではないかという感じで、犬種は問わず、要するに生活力の旺盛な犬を、つくることが重要ではないかと思います。
 ただこのつくるということをやっていきましても、結果的に、こんなこと言っていいかどうかわかりませんが、いつ起きるかわからない地震でございます。今はこの生々しさが残っております。ですから救助犬救助犬という言葉もそう遠くなく聞こえるかと思いますが、何十年後、何百年後にまたあるかわからないのに救助犬が果たして残っていくことができるのか。
 ヨーロッパはこれを永久に残すために訓練の大会をやっております。その救助犬の大会があります。日本でもこれからは、救助犬ができ上がってきたならば、こういうふうにずうっと努力をして継続的にやっていくために、やはりシュミレーションのセンターと、それから訓練の練磨ということで大会などを催しながら、いざ有事というときに即応できるようなやり方をしていかないといけないだろうと思います。
 それからまだ日本の場合は一番の問題がございます。行政とのタイアップといいますか、協力といいますか。犬は生きてここにいますよと教えてはくれます。ただそれを誰が助けるか。我々が手で持ち上げて持ち上がるようなものであれば構わないのですが、そのコンクリートの下に入ってる、それを助けてくれる時に、どなたかやっぱりいてくれないと困る。そういった場合に行政との連係がしっかりできていないと上手くない。
 今回のこの大震災を教訓に、消防庁などがかなり救助犬に対して協力的になってきて、さる九月一日に東京都で防災の日に訓練が行われました。それで消防庁の方からのお手伝いをいただいて救助犬が行方不明者を発見いたしました。発見した途端に救助隊が来て瓦礫を起こしてくれてそこから救出する。そういった形になってる。それがまだまだ救助犬の場合そういった組織づくりがでいてないのも現状です。
 それでさらにその災害救助犬の問題というか、問題のなかで、どのように出動体制、また受入体制。今回も確かにこの阪神の大地震に遠くからも行きたい、出たい、出動したいというのがジャパンケンネルクラブの方にも届いてたわけです。ところが大阪まではすぐ来れるけれども、そこから先はどなたにいえばいいのか。またどなたを辿っていけばその救助犬が使えるのか、それさえもわからない現状であった。
 それからどこの県がどこで地震があるかわからないわけですから、その場合でもこの教訓を活かして必ずやや出動というためにはスムーズな行動が出来るようなこともこれからの課題として残っているわけでございます。
 災害救助犬というのはとにかく地震国日本で遅ればせながら始まったひとつの訓練でございます。今までは警察犬、盲導犬、成田には麻薬犬と言ったようにいろんな多種に渡って使われてきましたが、本当にこの災害救助犬というのは「今になって」と言うくらい遅まきではございますが、百八十頭くらいが全国に散らばってれば、いざというときすぐにでも役に立つんではないか。
 ただこれはあくまでもプロの訓練士だけでは出来ません。皆さんのひとりひとりのボランタリーが必要になってきます。ですからアマチュアの方々に訓練のご指導、そしてシュミレーションセンターをつくっての練習の機会を与えながら、いざというとき誰もが参画できるような救助犬の、スウェーデンをたとえて言いますと民間防衛という事で全員が、軍隊も何も無く全員その国民ひとりひとりがその防衛に当たるという組織づくりをしております。ですから犬のこの災害救助犬の場合もひとりひとりがみんなでひとつのグループをつくり、そして何かあればすぐに派遣できるようなシステムづくりがこれからの急務だろうと思います。
 それで、出動体勢も大体一人で出掛けるということ出来ません。大体スウェーデンですと一グループ三人でリーダーを必ずつけると。そうやって事故も二重事故等を起こさないようなシステムづくりも必要になってくるということであります。
 私どもの方でもまだまだこういった災害救助犬というのは出来たばかりでございます。これからどのように変わっていくかは、我々がひとつのカリキュラムをつくり、その中に訓練の規定、それから訓練の試験みたいなのもやりながら、より良い救助犬の確立ということで考えていくわけでございます。
 なかなか救助犬と言うものが警察犬みたいに毎日事件があってすぐ出るというものであれば、皆さんはそれぞれに協力するということであるんですが、地震の場合はなかなかただでさえいつ起きるかわからないのに、十年間も二十年間も待たなければいけない。大体犬の寿命なんて最高生きて十五年でしょうが、その中で現役で使えると言うと十歳くらいです。とくに救助犬の場合はああいった苛酷な条件の中に入ると、やっぱり十歳が限度ぐらいです。十年で一サイクルですから百年後に起きたとしたら十頭は最低でも飼わなければいけないと言う。
 まあ機械じゃありません。生き物ですから。私らは機械として扱う気は全くありません。やっぱり今日の「人と動物の関係学会」ではありませんが、我々は犬を機械と思ってません。我々の良きパートナーだと思ってます。
 ですから我々と一緒に人を助けること、それも仕事と言えば仕事ですが、犬にも助けたときのあの喜んだ顔はあります。我々よく山岳遭難で行方不明者がおります。ずばりその遭難者を見つけたとき、あの時はやっぱり私も喜びますけれども、犬も喜びます。
 あの喜び、災害の時に助けること喜び、これを我々にとっては喜びという言い方は大変失礼なんですが、我々が探そうとするのを探したときのあの意気込みというのをやっぱり犬と一緒に味わいたいな、そう思っております。
 ですから今日この中で色々と本来は話さなければいけない部分があったんですが、海外における、それから日本における、それから訓練の方法、訓練するための犬の選定方法その他がございます。あまり長く専門的にお話しを申し上げても、却ってわからなくなると困ると思いますので、簡単に今日お時間をいただいた、ちょうど私の時間はとっくに過ぎてあるんですが、遅れてそのまま入って参りましたんで、このぐらいで私のお話しを終わりたいと思います。あの何か犬について、救助犬だけでなくともけっこうですけども、まあ救助犬について私の犬はどうでしょうかというようなご質問があればお聞きしたいと思います。

(座長)
 はい本田先生有難うございました。
 本田先生ちょっとそのままご待機いただきまして、よく皆様存じのとおり震災当時は海外の災害救助犬がみえまして、マスコミ等で物議を醸し出したところでございますが、今のお話しにありましたように、日本でもいよいよ本格的にスタートラインについたというところのようでございます。
 非常に珍しいテーマかと思いますが、災害救助犬ならびに犬に関してはという今先生のお話しもございましたので、フロアの方でどなたかご質問おありの方いらっしゃいますでしょうか?
 はい、どうぞどうぞ。恐縮ですがお越しいただいたところとお名前をおっしゃってからご質問してください。

(質問者)
 東京の亜細亜大学の法学部の教員でございまして、東京、京都で関西大地震の法律問題のシンポジウムがございます。それ済ましてこちらへやってきたということでございます。この、人と動物の関係学会の会員にも入れていただいております。
 で、私の教えていただきたいのは、日本で山岳救助の場合、これは人間も赤字を覚悟で、また自分の命をも担保にしてで、やっておられるし、また災害救助山岳災害で救助を受けるご家庭はで、一財産投げ出しても、報いなきゃならないというヒューマニズムと言いますかルールが出来上がってる。
 しかし実際今、こういう地震なんかでの災害救助といいますと、犬はまあ小犬でも十五万以上の犬ばっかし、そして雑犬軽視の風潮で社会的ステータスとして犬を飼うという中で、私の見ます限りでは、犬の飼い主はエゴイストが多い。なかなかこの人間を、ボランティアでもっていくには、おっしゃるとおりシュミレーションセンターと人間の合意をどうしてはかっていくか、山岳救助犬のお人方、犬という生活の心情が、大都会の人間にどうしたらもっていけるんだろうかというところで、まさに人と動物との関係、で日本の犬はちょっと高すぎやしないか。
 それから近親交配が多くて、役に立たない犬が多すぎるんじゃないか、これはやはりブレンダー、動物学者、犬屋さんの段階から基本を取り直して、そしてボランティアに対する人間の再教育が行われないと無理かと思いますが、この辺のとこちょっと突っ込んでご感想をお聞かせいただければ非常に有り難いんでございますが。

(演者)
 はいわかりました。今の耳の痛いようなところも大変ございました。
 確かにひとつひとつを掘り下げていくと、山岳遭難でも一回出動すると莫大な費用がかかる。ただこれについては県とか地方自治体によっては多少山岳隊協会とかそういうところでそれなりの助成をやっているところもあります。特に私ら宮城県の方ですと、山岳救助連盟の方で、二重事故、滑落など捜索員が事故を起こすこともあります。そのため、その出動した隊員には保険がかかるような方法にして、多少その費用の軽減を図っております。
 我々も山岳遭難の場合は、個人依頼という形になることもありますので、そういうときはあまりにも莫大な費用ということになり大変なんですので、そこら辺はかなり、それこそ無料とは言いませんけれども、ボランタリーの部分があるんじゃないかなあと。これはひとつ言えるんじゃないかなあと思います。
 それと犬の飼い主の問題になってきますと、なかなか、可愛がってしまって、今先生がおっしゃるようにエゴイストという言葉、私大変耳が痛い。
 だけどやっぱり自分の飼ってる犬が全てだと思っている方が本当に大変多いことは事実です。でもやっぱりその中で、今回、今までずっといろんな絵(スライド、写真)を見せていただいてもですね、もう私は犬に上も下も無いと。私がこれだけは強く言えるのは、血統書があるからだとか血統書が無いからだとかそんなのは関係ないです。私から言うと人間なんてみんな血統書はありません。はっきり言って五代前って皆さん何に生まれたか。私なんて今は警察犬の訓練士なんて名前やってますけど、もとは大泥棒の子供かなあなんて思うときありますから。それから見れば、あんまり私、血統がどうとかいうんじゃ無くて、ただ、今先生のおっしゃったもうひとつの方では、どうしてもあの、インブリードされてんじゃないかと。
ただ、今は昔ほど、インブリードじゃなくて海外からの輸入も簡素化されたというか、地球が狭くなったというか、やっぱり今ジャパンケンネルクラブでも145犬種ぐらい多く来ております。それに用途にあわせた犬たちがそろそろ来てるという現状もありますので、これからの私らが一番訴えたいことは、確かにオーナーの方々の認識、犬を使って社会に貢献をするというような、警察犬の場合警察犬を使って社会に貢献をするというひとつの大義名分がありましたが、災害救助犬の場合も、我々の犬で人命を救うんだという意識が、これから生まれてくるようにこれからも努力していきたい。このぐらいで勘弁していただきたいと思いますけど、よろしいでしょうか。

(座長)
 はいどうも有難うございました。他ににどなたかいらっしゃいますか?
はい、それでは無いようでしたらこれをもちまして本日のシンポジウム第一部、「震災と動物の行動−動物は何を見たか−」を終わらさしていただきたいと思います。フロアの皆様に厚く御礼申し上げます。有難うございました。

(太田)
 二、三事務連絡を致します。
 遅れておりますけども、一応その一時半からシンポジウム第二部を初めたいと思います。したがって昼食の休憩時間が少し短くなるという、誠に申し訳ありませんがそうさせていただきます。
 いくつかの連絡次項のうち、弁当が一応その千円で販売されております。必要な方は購入して食べてください。それと劇場の中では食べられませんので、ホールか、多目的室というものを用意しております。従いまして、あるいは今日天気がいいですから外でも結構だと思いますけれども、一応劇場の中では食べてはいけない、飲んではいけないということであります。それからその他牛乳が無料で配布されております。是非ともお飲みください。
 それからお帰りの折りには、まだ午後がありますから是非ともそのまま居ていただきたいんですが、お帰りの折りには、お手元の封筒に一枚A4の紙が同封されておりますので、そこに氏名住所等をお書き願って、受付に渡してお帰りいただきたい。そのおりにペットフード等の無料の配布がありますので、是非ともお持ち帰りください。
 それから夕方六時半より懇親会を予定しております。会費が二千円ですので、これにもぜひ参加していただけると助かります。それでは一応昼の休みといたします。
(c) 1996兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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