大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録 / 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会編. - 発行:[神戸] : 兵庫県南部地震動物救援本部, 1996.12. 請求記号:震災-7-156,318,319. p319-344

総合討論 第三部

(座長・林)
 第三部を開始致しますので、よろしくお願い致します。

 それでは、第三部の総合討論をこれから始めたいと思います。私、人と動物の関係学会の会長をやっております林と申します。この第三部の座長を務めさせていただきます。ここでは先ず最初に6名の方々から、話題提供頂きまして、その後どうか会場の皆様方からいろんな御意見を頂きながら、この、人と動物の大震災の中で今後何を成すべきか、タイトルにございますように動物救援マニュアルの確立に向けてということでまとめさせて頂きたいと思います。
 それでは先ず、第一番目にお話頂く方は、兵庫県の保健環境部生活衛生課の主査をなさってます杉原さんでございますが、今回のこのシンポジウムの2つの団体、私共の学会とそれから兵庫県南部地震動物救援本部、この救援本部はですね、私共から見ますと画期的ともいえる様な行政と民間ボランティアの方々、多くの方々が、非常にスムーズに1つの救援本部を結成されたということで、恐らく行政側からの御苦労があられたと思うんです。そのことにつきまして、先ず杉原さんにお話をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

(杉原さん)
 只今御紹介にあずかりました兵庫県保健環境部生活衛生課の杉原でございます。阪神淡路大震災における兵庫県南部地震動物救援本部の動物救護活動につきまして、行政サイドからの報告をさせて頂きます。
 先ず始めに震災以降、約9カ月間被災動物の救護活動を実施してきましたが、この間本事業に温かい御支援、御協力を頂きました各種ボランティア団体、あるいはボランティア各位、また日本動物愛護協会他10団体からなります兵庫県南部地震動物救援東京本部、総理府、日本獣医師会、全国各自治体の方々に厚く御礼を申し上げます。
 では震災発生からの対応経過について先ず報告をさせて頂きます。先程からも何度も出ております通り平成7年1月17日午前5時46分観測史上例のない震度7の直下型地震が阪神淡路地区を襲いました。地震は10市10町に甚大な被害を及ぼし、死者5480名、負傷者34900名、行方不明者2名、焼失家屋7456棟9322世帯、倒壊家屋192706棟406337世帯、道路鉄道等交通アクセス、通信網がほぼ完全に破壊され、都市機能は完全に麻痺してしまいました。
 この災害で被害を受けたのは人だけに限らず、ペット動物も飼い主とはぐれたり、負傷するなど多くの被害を受けることになりました。被災推定頭数として、犬4000頭、猫4700匹に対する救護をどのように行うかが課題となりました。
 私事ではありますが、私自身もこの地震を経験し、住いの倒壊等は免れましたが、地震直後、家の中の家具はほとんどが倒れ、倒れた家具の合間をぬい、家族共々家の外に出るのがやっとであったことを覚えております。
 この後、私の所属します動物衛生係といたしましては、先ずトラ、ライオン等のいわゆる特定動物が逃げ出すことがなかったか、施設はどうかについて確認作業が始まり幸いにもそのような事例は発生していませんでした。
 翌18日になりますと被害の状況が刻一刻と県庁に入るようになりました。被害は拡大するばかりであり、死亡者数の増加情報に伴いまして、私の所属します生活衛生課としては、新たな課題として約2000名の方々の火葬体制の整備を求められるに至りました。
 その後、季節的に真冬であったこともあり、避難所への約5万食の温かい給食の提供、100万人の方に対しまず入浴計画、1000台の洗濯機配布計画等、被災者の方々の生活に密着しました対策に携わることとなりました。県は震災後特に、全庁的にも、出先機関も含めまして、人の救護活動で能力一杯状態であり、このような状況の中で動物救護活動をどのように進めるか、19日夜、係で協議をしまして、獣医師会等を指導、助言することにより対応するものとしました。21日、兵庫県獣医師会、神戸市獣医師会、及びかねてから県と協力等の関係にありました日本動物福祉協会阪神支部の各代表者を参集し、私どもが作成しました活動基本方針をもって依頼しましたところ、資金面での心配はあるもののとにかくやらなければならないと快諾を得まして、ここに兵庫県南部地震動物救援本部を設置することに至りました。
 なお、20日には総理府より日本動物愛護協会を事務局とした11団体からなります兵庫県南部地震動物救援東京本部が設立されたむね報告があり、資金面救援物資面での大きな心の支えともなりました。動物救護活動につきましては行政で実施することも含め、種々検討しましたが、次のような理由から今回は民間団体による体制整備を図り、県、市は指導助言等することとしました。
 先ず第一に、震災当初、行政担当者は全て人の救済活動に当たらなければならない状況にあり、この段階で動物救護にまわることは被災者の方々の理解が得られない状況にあったこと、しかし被災動物の放置は動物愛護の観点から許されることではなく、被災者の方の心情も考慮し、可能な限り早急に被災動物救護を行う必要はありました。
 第二に、動物の収容、保護を行政が実施する場合ですが、通常では財政面人的面等から収容保護等致しました動物を長期的に飼育管理することは不可能であります。従いまして、法的根拠のもと、止むを得ず安楽死処分を実施しております。しかし不測の事態で生じたこの動物を現行法制を適用して安楽死処分をすることは道義的にも許されず、県民の理解を得られないと判断しましたが、県の財源等を用いて長期間の動物飼育を実施するか否かの審議をするには多くの議論と時間を要し事態への遡行が困難であると判断もしました。
 第三に動物救済を求める声が震災当初から大きなものがありました。この事業を獣医師会等が中心となって動物に関わります者たちが団結して本事業に当たることが県民の期待に応えることになり、全国の義援の力が寄せられることが期待できると判断し、今回は獣医師会等の民間団体による対応を求めることとしました。
 次に、活動方針としましては、先程の本部活動報告にありましたように6点を定め、当面は被災を免れた各開業獣医師で、これら事業を対応することとしましたが、一方では活動拠点となる救護センターの用地調査も開始することとしました。こうして通信網交通網が破壊された中、動物救援活動が始まりましたが、各動物病院は次々と運び込まれます被災動物でただちに満杯状態となり、救護センターの設置が急務となりました。
 1月27日、神戸市の決断により、神戸市動物管理センターの敷地内にビニールハウス製の神戸動物救護センターが設置され、2月16日には三田市の英断によりまして三田動物救護センターを設置することが出来ました。
 また、神戸動物救護センターの開設に当たりまして、兵庫県南部地震動物救援本部設置のマスコミ発表を行いましたが、発表に当たっては、被災地の状況と人命救助と県の内部事情を考慮しますと、余り早い時期の発表はむしろ反感を買う恐れがあり、一方動物救護体制が遅くなれば、対外的な批判を買うことともなることからずいぶん気を遣ったことを覚えております。マスコミ発表に当たりましては、ボランティアの募集と寄付の募集とを合わせて行いましたが、私たちの予想を遥に上回るボランティア参加申込と寄付が寄せられたことに正直大きな驚きと感謝の念を抱きました。
 神戸三田両動物救護センターでは、県、市の各獣医師会会員、動物福祉協会会員、全国から集まっていただいたボランティアの方々が極寒のなか、何もない中から動物救護に当たって頂き、現在もこれが基礎となって両センターを運営されております。
 両センターでの作業は動物の飼育管理や受入作業ばかりでなく、営繕的なものまで含むものであり、また保護された動物には環境変化等からきたのではないかと思われるストレス性の下痢、嘔吐、食欲不振を呈するものも多く、ボランティアの方々の苦労は尽きることがなかった状態でした。
 季節も春になりますと学生を中心としたボランティアの方々の数は減少傾向を見せ、また気温が高くなりますとビニールハウスやプレハブハウス内でのケージ飼いでは動物収容面で対応できなくなり、新たな救護センターが必要となり、5月中旬に神戸動物救護センターが、また6月には三田動物救護センターがそれぞれ現在の姿に建設するに至りました。
 県としましてはこれまでの間、本部に対しまして指導助言等を行うと共に、被災地区については従来の保健所における狂犬病予防法等に基づきます犬の収容作業は人に危害を加える恐れがある等、緊急の事態を除き本部活動を優先させることとし、また飼えなくなった犬等の引き取りについても飼い主から依頼等があった場合には飼い主に対し救援本部と一度相談するよう対応することとしました。また本部より被災動物の収容について協力要請等があった場合には、応援等することともしました。
 現在までの本部の活動実績は、先程の本部活動報告の通りでありますが、現在本部における動物の受け入れは被災地からの要請も激減したことにより基本的には収束しております。所有権放棄された動物について、里親をいかに見付けるかが本部の大きな課題となっています。これまでの間、先程からの報告にもあります通り、神戸動物救護センターにおける里親探し、また9月に各地区で開催された動物愛護週間事業に本部として、里親事業を展開することや、県獣医師会の開業獣医師の方々の協力を得て、里親探しを行う等、種々の方策を展開していますが、特に病弱、老齢、気性が荒い動物が里子として出にくい現状の中で、今後より一層の里親事業の展開が必要であろうとも考えております。今後とも本部に対する皆様の御支援、御協力をお願いいたします。
 未曾有の大震災の中での動物救護には関係者の多大な尽力を頂き、今日に至っていますが、この間、県と市は本部に対しまして全体事業の方針案作成、寄付金出納や義援物資の管理指導、歳入に伴う事業展開案の作成、事業実施要綱案等の作成、マスコミ発表資料案作成や記者発表調整、建設事業の設計案作成等々につきまして、提案、指導、助言等することにより事業の推進を図ってきました。
 しかし、体制自体が本当にこれで良かったのか今もなお常に考えさせられる状況にはあります。その一つは財源についてであり、もう一点は人の確保です。今回本部に対する指導助言等を行うため私共所属します生活衛生課では、2名の職員が担当となりましたが、私どもは震災前に災害を想定した震災時の動物救護活動について、財源面や人的面等を含めた具体的な方針案や活動案を関係機関等と新規調整等を行ったことがありませんでした。
 また、今回の震災においては人の救護活動に行政職員の人的配置に不足が生じる状態であり、施設的にも県の各機関は人の救援物資の基地等とならざるを得なかった状況でもありました。このような中で被災地の状況等も考え合わせますと、特に被災現場等での動物救護活動を行政指導型で対応することは困難でありました。
 しかし、一方では今回のべ17000人あまりのボランティアの方々が現場で活動して頂いたことを基本として、今後の災害時の活動方針としてよいのか、簡単に判断がつく問題ではないと考えます。只言えますことは、各自治体等に置かれましては、災害時を想定して活動方針、活動内容等を検討し、関係団体との協力体制を整備しておくこと、そして更につけ加えるならば、動物救護センターの用地を確保しておくことが動物救護活動の基本となるのではないかと考えます。どうも有り難うございました。

(座長)
 どうも有り難うございました。一般に行政は、予算を伴うことを予算措置も無しにやるっていうのは非常に大変困難な組織になっておりますけども、これをあえて決断されたということ、しかしそれはあくまでも指導という形で主体を民間ベースに置かれたということ、その中で特に気を配られたのは人の救援の中でどうやって動物の救援を入れていくかという、一つ一つにすごく口で言い尽くせないほどの御判断があったんだと思います。私も結果として非常に素晴らしい活動をしてこられた、それについては逆にお礼を申し上げたいと思います。
 この動物救援本部の中には、先ほど杉原さんから御紹介ありましたように、いろんな動物愛護に関する団体が加わっておられるわけですが、そこの救援本部の副本部長をなさっておられます日本動物福祉協会の阪神支部副支部長でございます松田さんに、行政とはまた別に、動物愛護団体としてのどういう活動をこれまでされてこられたかということを簡単に御報告頂きたいと思います。それでは松田さん、お願いいたします。

(松田さん)
 皆さんお忙しい中を今日はようこそお越し下さいまして、有り難うございます。本部を運営する者の立場として深く感謝いたします。私の気付きましたことを少しお話しさせて頂きます。
 1995年9月1日に動物の保護及び管理に関する法律施行20周年、及び世界獣医師大会開催記念動物愛護シンポジウムが開催されました。第1回開催から4年目となります。この第1回の開催日には感慨深いものがありました。ようやく日本においても動物について国としての関心が示され、国民、行政機関、獣医師、動物愛護団体が一同に集い、議論が始められたという記念すべき日でした。横浜での今回の愛護シンポジウムは、動物愛護シンポジウムとしては日程が一日だけとなりましたことは、まことに残念なことではありましたが、日本における人と動物の関係については、議論が本格的になされているとは言えない状況ではないでしょうか。極端な溺愛型、放任型、無関心型と共に何でも非難型とあり、常識的な議論が期待されるところであります。
 長い間国として人と動物の関係について考えたとき、その大部分は効率よく動物達を利用する方法か狂犬病予防法に基づいて人の安全確保に徹していたと言っても過言ではないでしょう。ようやく出来ました、この動物福祉の基本法である「動物の保護及び管理に関する法律」は余りにも不備が多くて、罰則を伴いながらほとんど実行のないものとなっています。
 このような現状を考えますとこの度のシンポジウムは大変意義の深いものであります。動物好きの人にも、嫌いだと思っておられる人にも、譲りあえるような理性的な人と動物の関わり方を議論できれば法律の整備にも適切な提言が出来るのではないでしょうか。
 私はこの度の兵庫県南部地震動物救援本部設立以来執行部として関与し、神戸動物救護センターではボランティアとして動物救援活動に従事してまいりました。25年間のボランティア活動と、そして今回の経験から人と動物の関係について、少々述べさせて頂きたいと思います。
 9月1日には、神戸動物救護センター開設以来の収容頭数が1000匹となりました。犬、猫、猿、モルモット、アヒル、鶏、インコ、鯉と動物種は多様でした。巡りあった人も、飼い主を始めとして、譲渡を希望される訪問者、ボランティア、獣医さん、見学者と様々な方に出会いました。
 人は、動物達の幸せをどれだけ考えているのか。収容動物の中には、震災がなければ病状が悪化するのに任せて治療を受けることなく生涯を終えたかも知れないと思う様な例もあり、被災を受けてようやく適切な獣医療を受けられたのではないかと思われるような動物もいました。それでも、契約の期限には迎えに来られて、連れて帰られたのです。その後の生涯がどのようになるのか、いささか気にはなりますが、所有者の権利を上回る動物福祉はまだこの国では認められていません。
 人は好きだから動物を飼うという言葉を当たり前に使いますが、飼われる動物達の立場になって、どれだけ動物達を幸せにできるのかとの考えを示された方は少なかったように思います。動物を迎えることにより、人も動物も共に幸せになることが望ましいことでしょう。
 適切な代替の言葉が当てはめにくいのですが、私は飼うという言葉は余り好ましいと考えていません。飼うと、お金で買うと、買うと飼うが同意語になりやすく、そのまま命の価値につながる場合が多いように思われるからです。使役動物の養成に際して、人の役に立つことを周知させることから動物達に親しみを深める、と説明される場合が多いようですが、この考えは多少危険が伴うように思います。
 人の役に立つか立たないかで動物の価値が決められることは、一方的な人の都合だけになりやすいからです。動物達を愛することにより、動物に助けられる経過が望ましいと思うのです。人が動物と共生することにより得らる利益を考えて迎えるとすれば、利益が無くなれば捨てることになるかも知れません。私たちが動物達と共生する、共に生きることで不利益になることも多いのですが、経済動物としての価値に固執することが無ければ、そのようなことを考えることも余り無いはずです。
 さて、動物達は人をどれだけ幸せに出来るのでしょうか。この震災に際して、改めて家族としての動物達との絆に気付かれた方も非常に多かったのではないでしょうか。自分自身が救われたいのか、動物達の幸せを願うのか、所有権放棄をされた方々のなかにも多様なケースが伺えます。人は自らの幸せを願うほどに他人と動物達の幸せも祈ることが出来れば自己犠牲は納得の出来るものとなるのではないでしょうか。
 無条件の愛情であればこそ、人にも動物達にも素直に伝わるのではないでしょうか。動物達が人を慕うことは、一部の例外を除いては、ほぼ絶対服従に近いことであり、それだけに人の責任は重大であるように思うのです。適切な言い回しではないかも知れませんが、人は人に対して裏切りの行為があっても、動物には誠実でありたい、そのような思いを抱かせるほどに彼らは無心なのでしょう。
 人はなぜ動物達を求めるのかと問われれば、答えの一つとして共通語がないからと答えることが出来るのではないでしょうか。もしも彼らと共通語を用いて意思の疎通を図れば、多くの飼い主と呼ばれる方々は待遇改善を訴えられて、とても共に生きる共生どころではないのかも知れません。自分自身に好都合の解釈が出来ることにより、動物達に対する行為についての自己採点を良くすることが出来、自己満足を得られることで、心の安らぎがあるからではないでしょうか。震災の打撃から立ち直ろうとする人の足手まといとなったことも事実であれば、人に生きる力を与えるほどの大きな働きをしたこともまた然りなのです。
 自然淘汰と人口淘汰について述べさせていただきます。動物達は大別して、野生動物と家畜動物があります。野生生物と家畜動物との大きな違いは、前者は自然繁殖、自然淘汰の原則に従うことにあり、後者は人工繁殖、人工淘汰の原則に従わされていることでしょう。犬も猫も人によって人社会に組み込まれてしまいました。これ以上の種を犠牲にしないように野生動物のペット化は厳禁するべきでしょう。人工淘汰をしなければならないのであるからには理性をもって対処することが大切です。
 一つ、人工繁殖を必要最小限度の数にとどめること。そしてこれは不妊手術の奨励や推進によること。
 二つ、殺処分を極力減らすこと。
 これは終生飼育、つまりは安易に飼育をさせないことなどによります。
 三つ、殺処分方法を可能な限り安楽死処置に近づけること。
 これは殺処分に至るまでの過程における管理と直接安楽死処置の方法というものを考慮するべきです。
 四つ、野生動物と家畜動物の扱いを混同させないこと。
 これは家畜動物であるものを「野生に帰す」と言うふうに、放すという表現を美化して捨てないことです。
 災害に備えての提言を申しあげたいと思います。動物達との共生が始まる時点において災害時にも対処できる個人の、各々のマニュアルを備えておくことが大切です。動物達との共生は各人の意思で決められたことです。最後は自己責任を果たす決意が必要なのです。飼育環境、経済力、体力、時間的余裕、家族構成、知識等を総合的に判断して飼育すること、飼育するかしないか、動物種、大きさ、年齢、特徴、頭数、御近所等への配慮などを、事前に家族や有識者に相談して決めることです。動物達を守る主たる責任者はあなた達御自身であることを御理解頂きたいのです。
 行政機関や動物愛護団体は手助けをすることが本分であるべきです。今日にでも御家族の皆様で緊急時の対策を話し合って下さい。災害だけが緊急事態ではありません。御家族の病気、そして移転、移動、経済的な問題、動物達の病気等も考えておく必要があります。責任を持てる頭数は特に重要なことであります。
 兵庫県南部地震動物救援本部では、この度の震災について事業報告書をまとめ、マニュアルを作成し今後の災害に備えることになるでしょう。私たちの体験から申しますと、人と動物の救援活動は同時着手であって頂きたいと提言いたします。災害と同時に行政機関は、官民協力体制の元に、ただちに動物収容施設を建設し、一時収容に尽力して頂きたいと存じます。
 これは動物達の保護と同時に、国民の安全にも大切なことであります。所有者の精神的な負担を軽減することと、浮浪させないことは動物嫌いの人々に対しても有意義なことであります。人畜共通伝染病や咬傷事故等を抑制するための対策的にもとても有効なことでしょう。
 基金の対策として、登録料に災害基金として加算することも検討されてもよいのではないでしょうか。動物達のための過剰な支出という、動物と無関係な方からの反対意見に対応することにもなるのではないでしょうか。平常時にも災害対策基金口座を設けて、管理団体を組織されるとよいのではないでしょうか。平常時であるからこそこれらの諸問題に取り組めるのではないかとこの度の経験から思いました。
 それではちょっと、スライドを御参考までに見て頂きたいと思います。スライドをお願いいたします。

 これは救護活動におきまして、倒壊家屋から救出するときの写真です。行政の方も非常な御協力を頂きました。次お願い致します。

同じ場面です。このすき間にちょうど動物、犬が下敷きになっております。次お願い致します。

 鎖で繋がれているために、犬小屋もろとも下敷きになったために救出が困難で鎖を切らないと救出できない状況にありました。今危険を冒して行政の方が鎖を切るために首を突っ込んで下さっています(写真1)。次お願い致します。

写真1

 そして救出されたのがこの犬で、(写真2)この犬はやがて飼い主が判明しまして飼い主の元に戻りましたが、飼い主の御都合によって、その後権利放棄なさいまして、新たな幸せを求めて今は幸せに暮らしております。次お願い致します。

写真2

 これは被災地における動物達で、こういう状況でたくさんの動物達が繋がれておりました。次お願い致します。

 これも同様に非常な老犬ですが、この犬は特殊な例でありまして、どうしてもオリに入ることを非常な恐怖心でもって抵抗致しまして、ケージに入れたわずか10分の間に大怪我をしたほどの犬でした。とても年がいっておりましたし、飼い主にもかわいがられておりましたが、飼い主はこの犬を置いたまま他府県に避難をなされた方です。そして私が救護致しまして、個人的にこの犬は収容いたしましたが、その後突然死によりまして死亡いたしました。でもその間、とっても可愛い犬になったことを覚えております。どうぞ、次お願い致します。

 この犬も被災地においての犬です。次お願い致します。

 この猫(写真3)は火傷をしておりまして、避難所で他人によって救護されておりましたが、飼い主も判明しておりましたが、とても猫の治療にまで至らなかったということで緊急の救援活動を受けて、私が救護に参りました。次お願い致します。

写真3

 もう、ほとんど駄目かと思うような状況ではありましたが、神戸市獣医師会長の旗谷先生のところで入院致しまして、このようにきれいに見事に甦らせて頂いて、今も、皆様の温かい飼い主としての救援をお待ちしております(写真4)。よろしくお願い致します。次お願い致します。

写真4

 これは震災とは全く関係ございません。ですが、一般に動物飼養ということで皆さんに御参考にし頂ければと思って用いた写真でございますが、これは普通にアヒルが泳いでいるってお思いになるかも知れませんが、只泳いでいるようには見えますが、これにも縄張りがございます。そして夜店で買ったヒヨコのアヒルをここに放せば生きていけるだろうという判断で、安易に捨てる状況で放されるわけです。次お願い致します。その結果このアヒルは3日間、4日間なにも飲まず食わずで獣医さんに所見をお願い致しましたが、全く空腹の状況で、餓死の状況で死んでいたということですね。そういう状況もあります。ですから、動物を自然に帰すというような判断は非常に難しいことだといういい例だと思います。次お願い致します。

 この犬は飼い主に飼われていて、お宅は立派なお宅です。しかし、このシェルティーは吠えて困るからということで飼い主が毎日毎日このように新たな縄で括るわけです。次お願い致します。その縄がこうやって毎日切っては括られ切っては括られということを繰り返されているわけですね。何のための動物との暮らし方なのか、こういうことも皆さんに本当に考えて頂きたいと思います。次お願い致します。

 これもやはり救援活動とは関係なく、日常の救護活動で得た資料ではありますが、このマルチーズは本当に浮浪犬として収容したときは見るも哀れなこのような姿でありました。次お願い致します。

 獣医さんとか、お世話になりまして、このように甦った美しさになりまして、今は本当に幸せにこのお嬢さんに飼われております。次お願い致します。

 この犬も出血性腸炎で長い間、半年間の治療を要しましたが、救護当時は噛みついてどうしようもないほど凶暴な犬でした。次お願い致します。
 そして、日を経るに従ってこのように穏やかな表情になっていきます。次お願い致します。

 そして1年後にはこのように見事な犬に甦りました。ですから、いかに巡りあった人によって動物の運が変わるのか、そして、動物っていうのはいかに人によって幸にも不幸にもならされるのかということがよくわかる例だと思います。次お願い致します。

 これはもう閉鎖したペットセンターですので差し支えないと思ってお出ししましたが、あるペット店での屋上での繁殖犬の状況です。この隅っこの糞がおびただしいことからもお分かりになるように、このようなブリーダーとしてのモラルのない増やし方、そして飼育方法、こういうことが日本において許されているということが残念なことです。次お願い致します。

 これもやはりペット店での猿です。こういう猿が何の苦情も持ち込まれずに、こうやって販売されるという名目で拷問を受けているという事実を皆さんに知って頂きたいと思います。次お願い致します。

 これは英国における、先程馬場先生のお話にもございましたが、英国では非常にやはり進歩しておりまして、こういう動物のケージがありながら、ペット店の写真ですが、この中にペットを置かないのが普通のやり方だと聞いております。ここにペットを置くのはお見合いのときぐらいで、ブリーダーのところで生まれた犬を斡旋するということを主にして、そのことによって病気の媒介なども防いでいるということを言っておりました。次お願い致します。

 これも同じペット店での写真です。次お願い致します。
 これもやはり英国でのRSPCA、先程馬場先生のお話しにもありました民間の施設でございますが、こういう動物救護車が24時間稼働しております。これにはここのスタッフの獣医さんが乗って、緊急の出動に24時間待機しておられます。万が一スタッフの獣医さんが居られないときには、開業の獣医さんが役割を交代なさって、最寄りの獣医さんがお乗りになって緊急の動物の救護に向かうと聞いております。どうぞ次お願いします。

 これは、その救護施設のシェルターです。そしてこの広いフィールドもみんな民間人の寄付によって賄われているということを伺いました。中央の施設は検疫施設でございます。検疫舎である程度安全を確保された上でこのフィールドに動物達を放していることを伺っております。次お願い致します。

 こういう多くの動物達は、やはり英国でも収容されておりました。只、私たちとの大きな違いは、80%が再び新しい飼い主に巡りあうことが出来る。平均、この当時で、8カ月収容して80%の新しい飼い主に巡りあえる。うらやましいようなお話でした。次お願い致します。

 これもやはり同じ施設でございます。ここには犬が収容されておりました。次お願い致します。これも犬舎内の、一軒床がコンクリートで冷たそうに見えますが、これは床暖房が入っておりまして、乾燥もよく冬はちゃんと暖房が効くようになっております。次お願い致します。

 これもやはり同じようなシステムになっておりまして、タイルですがやはり床暖房が入っております。そして上にはちゃんと扉に温度の調節、コントロールが出来るような施設になっております。次お願い致します。
これは猫を収容している施設ですね。そしてこのシュレッダーで切ったようなこの紙が猫のお布団になっておりますが、これは民間の方がみんな協力して裂いてもって届けて下さる。そういうことによって民間の方とシェルターとの絆が新たにできているということを伺っております。次お願い致します。

 これもやはり猫のシェルターですが、これはみんなスタッフによるボランティア奉仕で造られた猫の小屋で、ここで広く放し飼いにされて居りました。次お願い致します。

 これは救護動物なんですが、こういう子犬もやがて老齢になるという、いい見本になると思います。この子は救護しました当時、4カ月ぐらいで先天性の股関節脱きゅうで非常に臆病な犬でした。次お願い致します。
 そしてやがて老齢になって、あの子犬もこういうおじいさんになる。人も動物もみんなこうして、若い人はみんな年がいく、年がいけばやがて人の介護を受けなければいけない状況になる。これは動物にも全く同じ状況が生まれるということです。次お願い致します。

 そしてやがてはこうやって、本当に眠るだけの動物になる。これは生きているんです。念のため申し上げておきます。みんな3匹仲良く昼寝をしている写真なんですが、本当に老犬であるということがわかるような状況になっているということですね。ということで皆さんの御参考にしていただければと思います。これからも皆さんの身近な動物達を、どうぞ震災と無関係であっても、皆さんの救いの手を待っているということをお忘れなく、今後とも動物福祉に御関心を寄せて頂きますようによろしくお願い致します。有り難うございました。

(座長)
 どうも有り難うございました。このように動物救援本部を御指導された行政の立場から、杉原さんから、それから実際にその中で中心的な活動をしてこられました松田さんからお話し頂きましたが、こうした運動は先程も杉原さんからお話がありましたように、一万数千人のボランティアの方達が支えて下さったわけですが、これからボランティアの立場として、いくつかの経験、これは本当に貴重な経験なんですが、何人かの方々にその経験をお話し頂きたいと思います。その中にはもちろん良かったこと、そして今後こうしたほうがいいという反省点も含めまして、お話し頂ければというふうに考えます。先ず最初に、これは神戸の動物収容センターでボランティアをなされました名古屋市の山田さんに、是非お願い致します。どうぞよろしくお願いします。

(山田さん)
 どうも皆さん、今日は。名古屋から参りました山田と申します。2月の1日から6月にかけまして5カ月間、行ったり来たりはしながらも割と長い期間、神戸のセンターの方でボランティアとして活動させて頂きました。現在は地域振興に関するプランニングとかマーケティングの事務所をやっておりまして、動物関係の仕事以外の、これまで動物に携わったことのない職業ではありながらも、そんな長い期間、神戸の方でお世話になったものでございます。
 それで、一般ボランティアという言い方をこれからちょっとさせて頂きますが、職業的に動物と関わってない、多くのボランティアの中の一人として神戸の活動がどうだったか、というようなことを振り返ってみたいと思いますけども、約5カ月間の活動を通しまして感じましたのが、ボランティアの有効活用がうまく出来ていないケースが多々あった。せっかく、大切な活動のインフラとしてボランティアが集まってきてるのに、うまくそれを生かしきれていない面みたいなものが多々あったというようなことを考えました。今後もちろんあってはいけないことなんでしょうが、こんなような不測の事態に対応する活動のマニュアル化のようなことを考えていくのであれば、ボランティアを上手く活用するためのノウハウは各種団体の中に蓄積していって頂く必要があるんじゃないかというふうに痛切に感じています。
 それで、ボランティアと言いますと、今お話しされました松田先生もそうですし、神戸市獣医師会の先生方もそうですし、皆さんボランティアとして参加されてるわけなんですね。私もそうですが、ただ、そのボランティアの中でも動物の救護活動に関するグループは大きく3つぐらいにカテゴライズ出来るんじゃないかと思います。
 1つが、運営の執行部、もしくは本部という言い方をしますが、運営の執行に当たるグループ、それから動物と日常的に職業的に関わってらっしゃる主には獣医の先生、AHTの方、というような職業的に関わってらっしゃるようなグループ、それから私のように、動物が好きで、動物を飼ってたことがあってというような個人の愛護家といった人々が集まって来るグループぐらいに分かれるんじゃないかと思います。
 それで、今回の神戸を中心とした動物の救護活動の中ではですね、この日常的に余り接することの無い、通常は先生と患者とかいうような立場で接してるような人達が混在しながら、長期間活動してきたことについての特殊性をすごく感じるんですね。普通でしたらうちの猫がとか、うちの犬が、先生どうしましょうというふうに御相談しているような状況ですが、このボランティアの中では同じボランティアという肩書で働く。そのことから来る難しさと言いますか、特殊さ、善し悪しではないんですね、特殊さ、日常的に無いようなものがあると思います。
 それで、その辺を活動の中で上手く、専門家とそうでない人達の役割をすみ分けていかないと、緊急時に対応することを目的としたこんなような活動は、上手く機能していかないんじゃないかという気がしますし、普通の人間の救護のためのボランティアと違って、非常に長いスパンに渡る活動が求められるという動物の救護活動の中では、その辺のすみ分けを上手くすることがやはり必要で、執行部の皆さんも、非常に高度な運営を求められて、大変だなぁということは重々承知しながらも、これからということで考えていくのであればその辺のノウハウの蓄積をすることが必要ですし、また非常に難しい運営が強いられているんだよということをやはり理解して、温かい目で見守りながら参加するというようなことが大切なんじゃないかと思います。
 それで、私の個人の活動の中で気付いたところをもう少し掘り下げていきますと、組織をある方向に向かって動かすのにはマネージメントやリーダーシップというのが必ず必要になってくると思いますね。それがなければ上手く組織は機能しない、動いていかないということなんですが、組織のマネージメント的な側面というところに少し着眼したいと思うんです。
 なぜその辺にスポットを当てるかというふうに言いますと、もちろん動物の救護ですから動物に目が行くのは当然なんですけども、ボランティアとして関わる人をモディベートするっていうことが、組織や活動の活性化に関して非常に大きな役割を果たすのに、逆に今回余り見られなかった部分じゃないかというのが一点。それからその人が今回の活動を通じて、満足感だとか、達成感だとかというようなものを感じられるような、そんな活動にしていって欲しいのがもう一点。
 それで、なぜそんなことを言うかというと、今回神戸、三田合せて千数百人のボランティアが参加しましたが、次の不測の事態に対する活動に向けては、これらの活動に参加した人が大切なインフラになるという信念の下に、どうやったらその参加するボランティアをモチベート出来るかというような観点が必要なんじゃないかと思います。
 それで、私が神戸に参加しましたのは、施設建ち上げから約1週間後のまだまだフレームワーク出来ていない、非常に活動初期の時期から参加させて頂いた訳なんですけども、最初のうちは緊急事態で対応ということで、非常に風通しのいいやる気満々の少数精鋭のような組織で運営されてましたし、問題になるようなことは何もありませんでした。しかし、活動が1カ月を越えて学生の方とか大勢の方が参加されるようになってから、やはり人が集まるといろんな意見の対立が生まれる必然から来るところだと思うんですが、日々の業務に関する不満だとかいうようなことがボランティアの中から聞えるようになりました。
 具体的には仕事の進め方に対する意見の食い違い、それから指揮指導するリーダーがいないから何をやっていいか分らない、長期のボランティアに仕事が集中し過ぎる、活動全般に関わる指揮命令系統が不明なため誰に相談すればいいか分らない、運営本部からの決定事項がトップダウンとして下りてくるだけで全体の流れ、向いてる方向っていうのが見えない、それから獣医師と一般ボランティアのコミュニケーションギャップだろうと思います。意見の食い違いによる不満を、具体的にいうともっと細かなレベルであるのですが、大体まとめますとそんなようなことが聞かれました。その辺は後ほど山口先生の方から御報告になるアンケートの中でも同じ様な意見が寄せられていたということで、私が感じたことと非常に近いというものだと思います。ボランティア全体、特に私のような一般ボランティアは沢山その辺を感じてたんじゃないでしょうか。
 それで、どうしてそんな不満が聞かれ始めるかというふうに考えてみますと、やはりボランティアに対する位置づけ、考え方が日本の社会でまだまだあいまいなんだろうと思うんですね。ボランティアに対して仕事をしなさいといっていいのかどうかすらも分らない。それでボランティアもどの領域まで踏み込んでやっていったらいいかどうか分らないという自分の中での戸惑いみたいなものも実際ありました。運営の主体とボランティアの関わり方のスタンスみたいなものが確立されていない日本の中では、これから解決していかなきゃいけない問題じゃないかとは思いますが、そんなことを感じました。
 また今回特徴的だったのが、ボランティアの方の活動に参加した人達が、非常に忙しい中、3日とか1週間とかいろんな活動のスパンの人達が入れ代わり立ち代わり入ってくる、というようなことです。そんな活動をして、活動に入ってきてじっくり腰を据えて、場を見極めて、雰囲気を掴んで仕事をして下さいっていうようなことでは、その人の参加できる期間がすぐ終わってしまうというような状況も多々ありました。その辺の数多く集まってくるボランティアをどうやって早くから立ち上げていくかというようなことも課題としてあると思いますし、1日2日の参加のボランティアにも、やはり満足感、達成感みたいなものは持って帰って頂きたいし、もうあんな所には行きたくないというふうに思わせないような、そんなシステム作りといいますか組織作りを是非していきたいと思います。
 それで、じゃぁその組織の中でボランティアとして参加をさせる個人をどうやって活性化していくんだ、具体的にはどうすればいいんだということなんですが、一番大切なのはコミュニケーション、情報の共有だと思うんですね。現場で働いている人、ボランティアに只単に犬の散歩をしなさいと言うんではなくて、活動全体の方向がこっち向いててこういう役割があるんだから、だからその中の一つとして犬の散歩があるんだということを日常的に語ってあげる、方向性を示してあげる。作業レベルで下ろすんじゃなくて、活動全体、恐らく執行部本部、行政辺りの持ってらっしゃるこの活動の意義を、マインドとしてボランティアと共有することが大切なんじゃないかと思います。
 皆さんも御存じの例かとは思いますけども、あるとき男の人が、荷車で大きな石を運んでると、あなた何をしてるんだというふうに聞かれたので、石を運んでるんだというふうに答えた。片や同じように石を運んでる人に、あなたは何をしてるんだというふうに聞いた時に、私はピラミッドを造ってるんだというふうに答えた。同じ石を運ぶ作業にしても、石を運んでるというふうに思ってやってる人と、ピラミッドを造ってるっていうふうに思って石を運んでいる人とではやはり踏ん張りの度合いが全然違うし、やってる本人の満足感、達成感も違う。そんなようなところに一つ象徴されるんじゃないだろうかと思います。
 で、もう少し組織のレベルに具体的に、どうしたらというところに落としていって考えますと、分担の明確化かなぁと、日常の先生と患者の関係を持ち込むのではなくて、獣医療場面での獣医の先生の役割、それから一般ボランティアとしての役割というところを、明確にする。でもそれは同じボランティアの枠組みの中であり、主従の関係では決してない、同じボランティアとしての活動の仕方であるというのを、是非組織的に作って頂くことが必要なんじゃないかと思います。今後もあの動物救護の活動を、ボランティアとして組織するには、やはり獣医療専門の方ばかりでは運営していけないんじゃないかと思うんですね。
 というのは、この辺は人間の治療と違って、医療部分とそれから日常のケア部分というのは動物の場面においては表裏一体だと思いますから、今後の活動では同じように獣医師と、もしくは動物を職業的に扱ってらっしゃる方とそうでない人間の混在型の組織作り、組織運営みたいなものは絶対に欠かせないアイテムっていうか、形だと思います。そこをどう上手くすみ分けていくかというノウハウを作っていければと思うのです。
一応、今組織の面について言っていったんですが、本来の目的とした動物救護から外れて組織のことなんてという御意見もあるかとは思うんですが、こういった組織作りに少しパワーシフトしてやっていくことが、間接的には活動全体の活性化になると思いますし、これからの活動の碑になるんじゃないかということで、組織のマネージメント、リーダーシップ、組織作りについての意見を述べさせて頂きました。
 それから少し視点を変えて、私のような一般ボランティアが他の動物愛護団体、救護団体とのネットワークについて感じたことなんです。今回活動初期に1週間か2週間程度でしょうか、愛の蛙さん、というところと若干の交流はありましたが、それ以降の被災動物の救護に関する交流はほとんど無かったと思います。
 ただ、私を含めて、今回の震災にボランティアとして参加したメンバーはロイヤリティーを組織、例えば神戸のセンターというところにロイヤリティーをもって集まってきたわけではないんですね。動物の救護をしたいっていう思いで集まってきたボランティアがほとんどだと思います。その中では各団体に集まったボランティアを一つの支援として考えるならば、余り足るところより足らざるところへというか、お互いにもってる試練の足らない部分、強み弱みを補完する意味での協調みたいなことはやっていっていいんじゃないか、逆に一般ボランティアから見るとどうしてそれができないんだろうというのがわりと不思議な世界のようなこととして、疑問符がつきました。
 日常的な活動の御意見、活動の趣旨とか、各団体によってのカラーの違いなどがあるということは十分承知していますが、被災動物の救護という、いわゆるエマージェンシーの場面において、もう少し共通言語を見付けて、共通のフレームワークのフレームの中で活動したほうが、参加したボランティアが行っても仕事が無いという状況の中でいるよりは、足らないところへ行って仕事をする活動の仕方があってもいいんじゃないかと思いました。
 それから最後に預かった保護動物についてなんですが、私たちは、私はということなんですが、最終的に今回の被災動物は一匹も殺さずにこれから幸せな生活を送ってもらうようにするんだという信念に支えられて活動に参加しましたし、そのことを誇りにも思ってました。現在の活動もその方向に向かっていってらっしゃるんですけども、地震って言う単発の震災が起きて、継続的な震災ではなくて、だんだんにその活動事態が収束していく場面の、その局面の中では、被災動物とそれから通常の保護動物との線引きというか、住み分けが非常にしにくくなってるんじゃないかと思うんですね。
 被災動物だから助ける、そうじゃない動物だから後はもう行政に任せてしまうという言い訳が成り立たなくなっていて、実際そのことに関して非常に矛盾を多くのボランティアは感じてると思います。新たな世界に接したというふうな、今まで見ることのなかった世界に接したことによる驚きが、ああそうか、そんなふうに動物というのは行政で保護されてるんだと知った、そんなプリミティブなレベルの人も、僕も含めてなんですが、初めて気づいたというような人も多くいたと思われます。
 今回の震災の動物救護のボランティア活動をきっかけにし、これから先日本の社会の中で動物をどう扱っていくんだということを、もう一回スタート地点に戻って議論するいい機会なんじゃないかと思います。書生論だというふうに言われ、笑われるかも知れませんが、「今回初めてボランティア活動に参加したよ」っていう7割以上の多くの一般ボランティアはそんなふうに感じてるんじゃないかと思います。以上で発表を終わらせていただきます。

(座長)
 どうも有り難うございました。恐らく後から少し討論の時間がとれるとすれば、この問題についてもまたいろんな方からの御意見がお聞き出来るんではないかと思います。それでは続きまして、今度は三田の方の救護センターでボランティア活動の経験を持っておられます、千葉県佐倉市の原さんから是非お話しを頂きたいと思います。それでこれから3人の方にお話しいただくんですが、大分時間が迫って参りましたんで、出来ましたら一人10分くらいでですね、以内でお話し頂ければと思います。

(原)
 三田動物救護センターでボランティアをしております原希です。三田動物救護センターに来たのは2月の中旬でした。それまで仕事もせず毎日無為に過ごしてきた僕は、連日報道される阪神淡路大震災の被災地の状況、そして、そこで活躍するボランティアの活動に刺激を受け、今この瞬間を無駄にしていいわけがないと、2月初旬神戸に向かいました。
 もともと被災地で暮らしていただろう動物達の救護活動に参加したかったのですが、なかなかその情報が得られず、先ずはともかく現地に入ろうと、受け入れ先を探し、神戸市中央区の避難所に行くことにしました。避難所では、市役所区役所等の対策本部からの情報収集と、避難されている方々への連絡係、それに炊き出しなどを行いました。ここでの滞在で、被災地の現状を目の当たりにしたのですが、僕がテレビや新聞等の報道で見て想像していたそれより現実は遥に悲惨なものがありました。
 この後行く神戸三田両動物救護センターは被災地から少し離れたところにあり、そこから今回の地震の被災地に及ぼした影響を推し量るのはむづかしく、もしこれから2個所のみでのボランティア活動だったら、僕の中で阪神淡路大震災はイメージの世界で終わってしまっていただろうと思うと、10日間ほどの短い期間のボランティアでしたが、先に避難所にいったことは多分に有意義だったと思います。実際にこの後の両動物救護センターでの活動に対する姿勢に少なからず反映し作用したと思います。
 千葉の家を出てくる日の朝新聞誌上で見付けた記事を頼りに避難所をあとにしました。神戸動物救護センターを目指し、三ノ宮駅前からバスに乗ったのですが、新神戸トンネルを抜けそこに整然と現れた住宅地のその当たり前の風景に改めて被災地がどれだけ打撃を受けていたかを実感すると共に、同じ神戸市内でもこれだけの違いがあるのかと驚きました。神戸動物救護センターに着くと先ほど第2部で報告を行われた馬場先生に親切に迎えて頂きました。馬場先生からこのセンターでの活動内容の簡単な説明を受け、早速犬の散歩に出ました。
 このセンターの最初の印象は立地条件に恵まれているということでした。散歩のコースは広大で、ハスキー犬等大型犬もゆとりをもって散歩をさせられ、しかも住宅地の側にあるにもかかわらず一般の人は余り通らない。が、日帰りのボランティアさんたちは沢山来てくれる。また、天候の良いときは淡路島まで臨むことが出来るなど立地条件は非常に良いと感じました。只それぞれの作業においては専属的に役割分担がされていて、日常が全般的に淡調に感じられました。
 そのような中、馬場先生から今度三田に出来る救護センターに移るんだが一緒に来ないかと声を掛けられましたが、まだ神戸動物救護センターに来て1週間ぐらいしか経っていなかったのと、そこで話される三田のことといえば山奥のとんでもない所でとても人の住めるような所ではないといったような噂が飛び交っていたので、そのときは神戸に残りました。しかしそれから2、3日もすると神戸動物救護センターのボランティアの数が急激に増え始め、逆に三田はボランティアの数が少なくて困っていると聞き、そっちの方で役に立てるのであれば、と思い三田に向かうことにしました。
 三田の市街から小さな山を一つ越え、窪地に落ち込んだようなその施設を目の当たりにしたとき、建設してまだ日の浅いその施設は一見殺風景で周りを取り囲むフェンスばかりが妙にいかめしく映りました。そして寒空の下そこに響く犬達の声もどこか物悲しく聞こえました。既存の施設を使いある程度確立した体制で活動が出来ていたように思えた神戸の動物救護センターと比べ、元々野原だった所を造成し急造したこの施設は余りに何物にも乏しく、設備はもちろん犬猫の扱い、管理、作業手順、そしてボランティア達自身の滞在に要する生活基盤まで構築しなければならないような状態でした。
 実際僕が三田動物救護センターに来て、最初に手掛けた作業は犬でも猫でもない、風呂場作りでした。他にもアスファルトの破片を集めて土手に階段をこさえたり、近くのゴルフクラブがみんなのために開放してくれた入浴施設にみんなを送迎したり、日に日に歪んでいくフェンスを押したり引いたりとその活動を強いられる分野は多岐に渡りました。
 また、動物達の管理においては経験も知識も無いけれど、毎晩遅くまで何とかして犬猫達を今日以上に快適な生活を送らせてあげたいとみんなで頭を突き合わせ意見し話し合い、そして足りない部分を獣医師会の先生方に補ってもらい、いろいろと試行錯誤を繰り返しながら組み立てていきました。もちろんそれらは素人作業で、単純に設備の面で言ってしまえば、先の風呂場は後に本来の機能を果たすことが出来ず、工具置場になってしまい、他にも後々業者の人に依頼し根底から修繕しなければならなかったものが沢山ありました。
 が、震災直後のあの2月、3月動物達は毎日ひっきりなしに連れて来られ、そしてボランティアも続々と詰め掛けた中、設備の拡充は追い付かないとまさに混乱しきった状態をボランティア達が乗りきっていったという事実は評価できるものと思います。ここまで言うと三田動物救護センターは立地条件も悪ければ設備もなくて環境も悪い、と悪いところばかりになってしまいましたが、実際ある程度安定状態になった5、6月と当時を比べてしまうとやっぱりかなり悪かったです。
 しかしあの頃のボランティア達は一様に滞在日数を増やし、あるいはいったん帰った者もすぐにこのセンターに戻り、またボランティアが地元の同士を呼び、とボランティアの数は思いのほか膨れ上がってしまいました。実際この頃のボランティアとして1日に参加した人数の最高時で93人を数えることもありました。これらの傾向は色々な作業を行っていく中で志を同じくするボランティア達が助け合い、協力することにより自然と連帯感と仲間意識が生まれたためであったと思います。
 これは全く別の話しで今になって思う素朴な疑問なのですが、あの頃本当に雪の降る中をビニールハウスのなかで30人近くが、そして決して衛生的とは言えない毛布にくるまり、更には定期的に風呂にも入れない人間達ばかりでひしめき合うようにして寝ていたのに、風邪等の病気に罹るものがほとんどいなかったのが今思うと不思議でなりません。
 春休みも終わる4月ごろになるとボランティアの数も当然減少していきました。しかし動物達の数はまだまだ多く、この時期犬猫合せて約140頭の動物がこの救護センターで暮らしていました。こうなると、今までの作業手順ではとても回せず、作業の仕方、そして設備面でも、大幅な見直しを図らねばなりませんでした。
 また、この頃からボランティアの傾向もかなり変わり始めました。いわゆる、本当に長期のボランティアがそのほとんどを占め、人数は十人前後を推移するという状態になりました。そしてその期間が長期化すればするほど、たまに来てもらう短期のボランティアの方と、もしくは以前ボランティアとして活動していて数十日ぶりに戻ってくる人達と上手く折り合いが掴めない。また、長期ボランティア同士での倫理感の違いから来るいさかいなど、感情面での問題が表面化しだしました。
 そして季節も夏になると、ここの盆地的気候もあって、昼間の気温は連日35度を超え、かなり過酷な条件下での作業となり、長期のみんなは体力的にはもちろん精神的にも相当滅入ってしまっていました。こういった活動が、そして集団生活が長期に及ぶとき、それら感情面的な問題はやはり付き物だということを、改めて痛感しました。
 最後に今回ボランティア活動を通して一番感じたことは、普段は常に誰かに手綱を握られ、無気力、無感動と言われがちな若い人達をいざ解き放ったとき、そこには何かを創造しようとする生き生きとした意欲が感じられたことを、最後に申し上げます。 「有り難うございました」。

(座長)
 どうも原さん、有難うございました。
今お二人の実際にボランティア活動された方のお話しをお聞きしたんですが、動物救援本部ではボランティアに参加された方々に対してアンケートが行われました。
 それを解析されるチームがございますけれど、その中のお一人であります、日本動物福祉協会の山口さんから、いろんな方々の、ボランティアとして参加された方々のご意見をここで、短い時間ですけれども、少し紹介して頂きたいと思います。それでは山口さんどうぞよろしくお願いします。

(山口さん)
 今回のこの未曾有の大地震では、地震国を自認していながら、その組織だった対応が立ち遅れ、我が国の危機管理システムの不整備が指摘されましたが、一方、日本では育たないといわれておりました、ボランティアの活動が目覚ましく、マスコミでも大きく取り上げられました。
 動物救援活動におきましても、情報も交通も遮断されたなかで震災直後すぐに被災者の方々、それから近隣地区のボランティアの方々の手で開始されておりました。
 その中でも注目すべきことは、立ち上がりはその方々よりも少し送れましたけれども、動物に関わる諸団体が、行政と連絡を取りながら今までにない動物救援組織を作り上げたことだと思います。初めての試みで、すでに今までにお話しをされた先生方のなかでも、やはり手探りでの出発ということがございましたが、その通りで、全国から参加されたボランティアの方々のお力を支えに神戸市、三田市の二箇所に設置された動物救護センターでは、現在も動物の救援活動を続けております。
 で、今回のシンポジウムを機会に、今ご紹介のございましたアンケートを通した、ボランティアに参加してくださった方々の意見、感想によって今までの活動を振り返り、今後の活動の参考および、災害時動物救援マニュアル作成に向けての資料にして頂ければと思います。
このボランティアに参加して頂いた方は、割と年令の若い方が多かったのですが、職業も参加した動機も異なり、参加した時期や期間によってもかなり印象が違うようでございました。今さっき原さんがお話しになられましたように、初期、立ち上がりの時期、ボランティアがたくさん参加された春休み、それからまた減ってきた五月以降と、色々皆さんの意見が分かれた、印象もご意見も違ってたように思います。このアンケートは南小岩ペットクリニックの杉本先生、それから私の二人前にお話しなされましたボランティアの山田さん、それと私と三人が集計をさせて頂きました。で、分析とまではいかないんですけど、その集計結果をここでお話しさせて頂きたいと思います。
 実施方法といたしましては、神戸、三田両動物救護センター開設初期から、4月末までにボランティアとして参加し、住所の分かっている全てのボランティアの方、約千百名に7月中旬アンケートを発送いたしました。そして8月5日までに来た回答について集計をいたしましたが、回収した回答は437でございました。この回答の集計結果は、ホールで売っております資料集に掲載されておりますので、よろしければご覧いただければと思います。
 それでは資料集に載っておりますのと、時間もあんまりございませんので、簡単にスライドで御紹介したいと思います。スライドお願い致します。

これは参加場所を訪ねたもの(グラフ1)でございますが、不明の方がございますので、この不明を三田に加えますと同等ぐらいになりますが、一応こういう割合でございました。次お願いします。

グラフ1

 それからボランティアの情報取得と言いますか、ボランティアの募集を、いつ、どのような方法で知りましたかという問い掛けに対しまして、やはり2月という回答が一番多くありました。それとその方法としましては、マスコミですね、新聞、ラジオ、テレビ、というのが一番多かったです。次お願い致します。

 それから参加の申込み方法でございますけれど、現地救護センターというのがやっぱりもっとも多く見られました。他の団体の方々もそれぞれ現地救護センターと連絡を取りあいながら、派遣をさせて頂きました。
 それから参加方法ですが、圧倒的に、ご自分がなんとか動物を助けたいという自主参加が多く見られました。なかにはAHTの学校等で、学校の授業の一環として参加できたらすると言ってくださったところもあるようですが。次お願いします。

 ボランティアの受付窓口として、今後次のマニュアルを考えるのに情報源はどこがいいですか、といった質問に対しましては、やはり、マスコミが一番良いという答えが圧倒的に多かったです。次お願いします。

 それとボランティアの登録制ということについてですが、これはもしボランティアの登録制があれば、それに応じますか、という問い合わせなんですが、それについてはやはり登録制があれば応じたいというのが、パーセンテージを言いますと、79.8%もありました。やはり、この震災でボランティアに目覚めた方がかなりいらっしゃったということで、大変心強く思います。
 しかし、このボランティアの登録制を望んで登録いたしましても、今度は登録した人に対して現場での人数を調整しながら、申込者への連絡も忘れないで欲しいという意見もございました。次お願いします。

 それから申込後の活動の開始ですが、大体は連絡後すぐ現地に入って出来ましたけれども、人数の多い時はやはり待たされたと。その方はやはり一時でも早く動物を助けたいと心に思っておられますので、ちょっといらいらしてらっしゃるような表現がございました。次お願い致します。

 ボランティアへの参加経験でございますが、ご覧のように(グラフ2)これまでの参加経験、ボランティアに参加したことがない人が、圧倒的に多く、今回の震災の他のボランティア経験っていいますのは、動物以外のことですが、これもほとんど動物に来られた方はやはり動物のことに何度も来られる、よそにいかないでまた次も動物に来てくださることが多かったです。このボランティア経験が無いというのは、73.2%です。次お願いします。

グラフ2

 で、動物救護を選んだ理由ですが、やはり動物が好きだから、あと動物も人と同様に救護されるべきだと思ったから、動物がかわいそうだと思ったからというのがほとんどということで、中には獣医師のように職業上といわれる方もいらっしゃいました。次お願いします。
 動物の飼育経験ですが、これをご覧になってお分かりになられますように、犬猫を飼っていた、あるいは今飼っているっていう方がやはり多いです。その他っていうのは犬猫以外の動物でございます。次お願い致します。

 で、活動内容でございますけれども、一番下にございますのが犬の散歩、数字をご覧いただければ分かりますように、犬の散歩に飼育管理、猫の飼育管理というのが多いんですが、それ以外にもその、たくさんボランティアが集まったときには、その方達の食事の世話もしなければならないなと動物を、直接世話する方々へのバックアップ体制もまた必要で、これも必要なボランティアだと思われます。それ以外にも運搬作業、それからもちろん獣医師の方々は治療看護の方を受け持っていただきました。それから先程ございましたように、施設の立ち上がりの時期には施設を建てるということも、みなさんボランティアの方、専門家じゃなくボランティアの方の手で行われました(グラフ3)次お願いします。

グラフ3

 活動環境ですが、ほとんどの方はスムーズに活動に、参加できたということでございます。次お願い致します。

 他のボランティアとの交流でございますが、これは他のボランティアというのは同じ動物救護センターに来ていらっしゃった方々という意味でございます。不十分だと思われてる方が、やはり不満をこの後の意見のところにも出してこられて、もう少し皆さんのコミュニケーションをはかるようなミーティングがあればいいんじゃないかという意見もありました。で、活動終了後もなかには住所交換をして今も付き合ってらっしゃる方々はおられますが、もうその後ぷっつりと縁が切れてしまったという方々も多いと思います。次お願い致します。
 ボランティア活動に対する評価、これは自己評価でございますが、このように、社会勉強になった、ボランティアの意義を認識した、動物のことを学べた、有意義だったということで、圧倒的に、何かを学ばれて帰られた方が多いようでございます。(グラフ4)。次お願いします。

グラフ4

 ボランティア参加後の動物への接し方でが、変わらないと答えられた方は元々自分は動物を愛し、共に暮らしていて、動物への接し方がそんなにその今までと変わることはないということでしょう。ただ変わったと言われる方は、動物の心の動き等、再認識というか、初めて気づき、そのことが頭にあり、家に帰っても自分の飼い猫、飼い犬との接し方が変わったというふうに説明しておられました。次お願いします。

 これは同様な災害発生時における参加を希望いたしますかということを言いましたなら、これはなんと98.1%の方が参加いたしますと答えられております。次お願いします。

 今後のボランティアについて、これは動物救護ということとは関係無しにボランティア活動ということでございますけれども、これにも参加したいと言われる方が、91.7%もございました(グラフ5)。次お願いします。

グラフ5

 これで終わりですか、どうもスライド有難うございました。
 数字的に出せる部分はこれで終わらせて頂きますけれども、これ以外にたくさん文章で書いて頂くような項目がございました。そして意見があまりたくさんで、色々ございますので、全部をここで読み上げるわけにはいきません。それで、まとめてちょっと説明させて頂きたいと思います。資料集にもそれをいくつかは載せてございますので、お手元にございます方はお読みいただきたいとおもいます。

 やはり一番目立ちましたのは、先程から何度もお話しに出てきましたけれども、組織作りということでございます。素人がほとんどのボランティア集団だから、リーダーが必要だという意見がもっとも多く、特に春休みなど人手が多かった時期には何をしてよいか分からず、意見を聞いてもなんの指示もなくて困った。うろうろするだけであった。自分は本当に役に立ってるんだろうか。それで結局帰ってしまったという意見もございました。動物の救護、世話についてのエキスパートをリーダーにして、その下にサブリーダーを配して、収容動物の状態の把握、毎日の仕事の分配や全体の取りまとめ、新しいボランティアに対する説明、指導が必要であり、かつミーティングも行って皆の意見を挙げることも大切。また作業マニュアルのようなものを作り、ボランティアの質を良くするための研修があればよいという意見もございました。皆様動物が本当に好きで来て頂いているんですが、各個人で飼っていらっしゃる我が家の猫、我が家の犬には対処できても、たくさん収容された所ではどういうふうに動物達に対処していいか分からないという状況があったようにも書かれておりました。
 次が人間関係でございますが、これは人間が集まれば必ず生じることですが、やはりいろんな苦情が書かれてありました。例えばわがまま勝手が周りを不愉快にして仕事の能率を落とすとか、グループを作って排他的になる。同じボランティアなのに対応に差が見られると、これは先程も少し出てましたけれども、宿泊者と通いの方々との間で差が出ていると。それから獣医学生とその他の方々に差が見られる。それから自分の気に入った作業をする人がいるとか、サークル活動と勘違いして騒いでいる人がいるとか、いろんな意見がございました。これもやはりある程度リーダーという存在の必要性を示唆するものだと思います。動物達を助けたいと皆同じ思いでこのボランティア活動に参加したはずですので。
 3番が動物の世話ですけれども、動物が好きで参加された方ばかりですから、動物の管理には皆さん心を配られておりました。けれども、特に初期のビニールハウスのケージの中で飼育したときの動物達の精神面でのケアについてもっと力を注ぐべきだったとの反省が目を引きました。震災の衝撃、ショック、これは午前中の方でも出ておりましたけど、飼い主との離別による不安、毎日世話をする人が変わる不安、ケージの中にいるストレス等が動物を精神不安定に陥らせ、いらいらを募らせて、人間不振に陥らせております。そして下痢の症状につながったり、あるいは咬傷事故につながったという事実がございました。それからパドック付き犬舎にかわって、下痢等はほとんど無くなったという獣医さんのお話しでしたけど、動物と人間の信頼関係はなおかつ築き上げる努力をしなければなりません。
 それから新しい飼い主の募集ですけれども、このボランティア活動された方々は皆さん一人残らず、自分達が世話をした動物達の行く末を心配されて、もっとマスコミを広く使って全国民に訴えることが必要だというご意見が多くありました。中には新しい飼い主として申し込まれた方々みんなに引き取って頂ければよいのにという意見もございしたけれども、皆さんはやっぱり大切な家族として迎え入れられることを願ってるわけでございますので、現実には断らざるを得ない申し出もございました。
 それは例えば多頭飼育の家庭の方は一頭増えても一緒よ、そんなかわいそうならうちが引き受けるわ、とおっしゃいますけども、そこに一頭増えることで、そこで抱えていた問題をさらに広げることにもなりかねませんし、それから問題を悪化させて近所との折り合いがさらに悪くなるいうこともございます。それから転勤等で手放される可能性のある家庭の方や、1年や2年で、寿命は1年や2年じゃございません。若い子は十年以上生きますので十年以上共に暮らすということは、それなりに人手もお金もかかるということを認識されない方々、繋ぎっぱなしで餌だけやっていればいいというわけじゃございませんので、それだったら最初から飼わないほうが良いという、私達から申し上げますと、お任せするわけには行きませんという方になります。
 また数人の方から事前チェックと事後調査が必要という意見もございました。
 情報伝達につきましては、ボランティア活動を離れて、両救護センターから離れていきますと、なかなか状況の情報が入手できないので、定期的にニュースレターを発行するとか、マスコミで様子を流して欲しいという意見が結構ございました。これを読みまして、離れてもなお多くの方がセンターの動物達を気にかけていることが分かりました。
 それから最後に、災害時動物救援マニュアルについて、ご意見がいくつかございました。その中には、いますぐにでも今後に備えて全国規模の組織、災害時動物救援マニュアルが必要ということで、救援基金も物資もノウハウもプールして、エキスパートの人材登録も備えた組織を、全国組織を作り、マニュアルを作成して、各自治体と連絡を取り、万が一の時には土地を確保していただいておいて、そこに施設を建て、日本中で起こりうる災害に対応することが求められているというご意見がありました。今までは三田と神戸に来てくださったボランティアの方々へのアンケートでございますけれども、このアンケートに上がってこなかったボランティアの方々がたくさんおられます。特に初期の頃にはその当日から、最初に少し申し上げましたように、その当日から自分も被災しながらも、動物達を預かってくださる先生方、それからケージを貸し出してくださる先生方、餌を配って下さる方々、そしてこのセンターが立ち上がるときにも、ケージを運ばなきゃ、と言うので、東京からケージをお願いしても、大阪までしか行きません。そこから先は送れません。道路が寸断されておりますので、それで大阪の獣医師会の先生方に夜ボランティアをお願いして運んで頂きました。この運送のボランティアもとても有り難かったです。
 物資が届かないときに、なんとか物資を届けようという、こういうアンケートに出てこなかったボランティアの方々にも、それから自分では手は出せない、身体が弱いから手が出せないですけれども、その分お金でなんとかみなさん動物達を助けて下さいと言われる方々、この方々もボランティアの支えになってくださいました。今まで動物を助けてこられた陰には、その方々がいるということを、私は皆様にお話ししたいと思います。
 私達も寄付を集めましたが、本当に皆さん動物のことを思ってお手紙を添えて下さったり、お電話で長々と色々お話しをくださったりしまして本当に有り難かったです。ここで最後に本当にこの全ての被災動物のことを思って手を差し伸べて下さった方々に、御礼を申し上げたいのと、このアンケートの作成、回答、集計にご協力下さった方々、未熟でございますので最初から最後まで皆さんにご迷惑をおかけしっぱなしでいたんですけども、なにも文句を言わずにご協力を下さった方々に本当に厚く御礼を申し上げたいと思います。有難うございました。

(座長)
 はい、どうも有難うございました。
 それでは最後に三田に人と自然の博物館という博物館がありますけれども、そこにおられます、そこの主任研究員をなさってます戸田さんに、この方里親を引受てくださった貴重な方のお一人ですが、里親の立場から少しコメント頂けたらと思います。どうぞよろしくお願いします。

(戸田さん)
 兵庫県の三田市に住んでおります戸田と申します。
 只今紹介頂きましたけども、私も被災直後に、私は実は三田市に今住んでおりますが、その前は芦屋に住んでおりましたので、震災の翌日すぐ前にいた家の近くに救援物資を持って参りました。その時に、もちろん人を救援ということを念頭において行ったのですが、避難所で非常に多数の犬猫を連れてきておられるのを見まして、人だけではないということに気がつきました。
 それで、その直後ですので組織だった動きってのは、ほとんどありませんでした。当面自分の力でできる範囲ということで、たまたまその避難所へ行った時に、私の知人が、その近くのマンションで被災をして、飼っておられた猫の姿が見えないということで一緒に探したら、家具の隙間に隠れておったんです。それをお預かりするということで、それがこういうボランティア的な活動をしたきっかけです。
 このケースは、私が知人から直接預かり受けたというケースで、この場合は私はこの方とはずっと以前、そこに住んでいた関係から面識も若干のお付き合いもあったりして、個人と個人の付き合いの中でお預かりしたということです。この猫の場合は連れて帰って、非常に落ち着きを失って怯えていたのですが、数日後、四、五日した後に姿が見えなくなりました。それで私もかなり探し回ったり、あるいは近くに以前知人からもらってました顔写真入りの手配書を張り回ったりして探しました。
 その結果、数日後に、自分から戻ってきたわけなんです。
 多分推測するに、自分で連れてこられた後、もとの家に帰ろうと思ったのか、あるいは居心地が悪かったのか、何かの理由で出てって、で数日後帰ってきた。そのとき相当痩せて、ガリガリの状態で帰ってきております。
 この猫についてはその後落ち着いて、実は今は里親の状態で飼っております。これは知人の場合で、その後どうしようかということをお互いの間で話し合って、話し合いの中でこういう状態になっております。
 それからまた別のケースなんですが、震災の後一週間足らずのうちに様々な救護のボランティアのグループが神戸市内で活動始められたのを新聞で知ったので私も、あるグループのところに、お手伝いという感じでお訪ねして、私の場合は仕事上そこで活動するということは出来ませんでした。そこで、これも一時預かりをするという形でボランティア参加をしたということです。この場合、やはり猫なんですが、2匹ほどお預かりをしました。これはちょうど活動が始まったばかりだと思いますが、本当に公園に、仮説のテントを張って、私が行ってみてる間も次々運び込まれてきてるという状態の、かなり混乱した状態で、私はお預かりしたんですが。
こういう初期の時は、お世話してるボランティアの方も、こちらの行った方も、ルールも何も無しなんで、非常に、お互い訳が分からない状態で、とりあえずお預かりしてしまったいうことになってます。で、この猫2匹の場合は、その後は、そのとき一応僕の方で、誓約書といまではいきませんが、一応約束として、私の名前と住所と連絡先を書いて、それからお預かりした猫の名前を教えて頂きました。で、その時、非常に混乱していたのですが、私としてはこの猫を飼うのに、その猫のコンディションが全然わからないので、出来たら元の飼い主の方に直接聞くしかないかなと思っていたら、たまたま聞けたんですね。それで、その方の持ってる携帯電話の電話番号を聞きだしまして、それでその後は、直接その飼い主の方と連絡を取りながらお預かりしたということです。最初のお約束では、三月いっぱいということでお預かりしましたけれども、結果的にはその被災してた方は、家があの方確か焼けてしまって、新長田の市民センターにずっと避難をされてたそうなんですが、仮設になかなか申し込んでも当たらないということで、結果的にはずるずるとお預かりした形で、最終的にこの方にお引き取り頂いたのが7月の末ということで、約6か月間お預かりしました。
 それからもうひとつ、その次のケースなんですが、今申し上げました一時預かりの方が三月過ぎて、そろそろ引き取ってくれるだろうなと思って、私の場合直接救護センター行ってボランティア活動出来ませんので、もう少し何かお手伝い出来ないか、結局里親をやるという形でお手伝い出来るかなと思って、私は三田におりますんで、三田の救護センターにお訪ねして、一応里親の申し出をしたんです。
 それは確か6月頃だったと思うんですが、まだその預かった猫がいたままですから、少し早かったんですが、一応予約をするような形で訪ねました。その場合ですね、まあ最初に行ったときはどれにしましょうかっていうような形で救護センターの中で見せて頂いて、これにしようかなって言う形でお約束して頂いて、その日は時間も遅かったんで、後日引き取りに参りますということで帰った。
 それで、その後引き取りに参ったんですが、引き取りに行ったらですね、そのとき最初に対応して頂いた救護センターのボランティアの方と違う方が対応して頂いた。ちょっと雰囲気が違うんですね。で、すっとすぐに渡してくれなかったんで、なんでかなと思いながらしばらく待ってると、 実はその最初私が予約した猫は、かなり我がままって言うか、一匹飼いの初めて一匹だけ飼うんだったらいいけれども、私の場合既に預かったり、あるいは元々私も別に猫飼っていますので、それで里子になると非常に難しいということでした。
 急遽そこで、方針を変更しました。結果的にはまた別の猫を選んで、二匹ほどお預かりしたんですが、この猫の方は、初めから里親ということでそこの救護センターで用意されてる誓約書に一応名前を書いて、それから引き取ったわけです。
 その後その猫は、最初やはり環境が変わったということで下痢をしたり、それから一匹は耳疥癬症を持ってまして、実はいつも私がいつもかかりつけになってるお医者さんに随分お世話になったんですが、若干トラブルというのか、そういうのがありました。
 現在は最初にお預かりした、私の知人から預かった猫が結果的には里親になった。それから途中で、1週間程してお預かりした猫が、6ヵ月程度お預かりしてお返しした。それから私が最初から里親のつもりでお預かりしたものは、これは今、かなり落ち着きました。
 ということで、この3つのケースを私は経験しておるんですが、この中で里親の立場で、先程からずっとお話しに出てます、今後どのように活かすかという辺りのマニュアル化に向けて、若干の要望なり意見ということでまとめますと、里親の立場としては、その犬猫の情報っていうのは、最初の知人からのケースはこれは直接聞けましたし良かったんですが、間に救護センターのようなものが入ってる場合は、そこを通してしか聞くことは出来ませんので、出来るだけ必要なことは知りたい。知ってた方が後、助かるなあと思います。
 若干具体的に申し上げますと、三田の救護センターでは猫のことですが、種類、性別、年令、それから避妊をしてあるかどうか、それから名前。それからセンターで飼ってた時与えてた餌、これらは教えて頂きました。でその以外のことはほとんど分からなかった。
 後で困ったのは、猫の場合特にそうでしょうが、排泄がどういう躾けをしてあるかが、これ割と大事なことでして、よく砂を使ってたり新聞紙だったり色々あるでしょう。うちの場合砂を使ってますが、やっぱり違うんですね。そうすると猫の場合非常に習慣性が強いですから、違ってると全然それ上手くいかない。ある一時預かりの猫は、いつも堅い床の上でしてたらしいですね。うちに来た場合どこでしてたかと言うと、やっぱり最初連れてきたとき非常に怖いっていうか、怯えてたもんで、押入れの中に入ってしまったんですよ。押入れのなかに、暗いとこに入ってて、これはまあ落ち着くからそのまま置いとこうと思ってたら、押入れの中にある衣装箱の上で排泄をしたということで、非常に後始末が大変で、これには往生したということです。で、後で飼い主の方に、その人とは直接電話で連絡取りましたんで、聞いたら、そういう場所で普段してるんだ。だから猫としたら当たり前だったのかも知れませんが、こちらとしては非常に戸惑った。
 それから当然細かい健康状態とか癖とかそういうのが分かれば、出来ればそれも教えて頂いた方がいいということです。これは里親でお預かりした猫が、一カ月位でしたか、近所の方を噛んで、怪我をさせてしまったんですよ。これもその猫の気質というのが分からないんですね。一月ぐらいでは。結構綺麗な猫だったので、その方は非常に猫好きっていうか犬猫好きで、ついつい抱き上げてしまった。抱き上げてしまって、そこにその方が飼ってる犬が近づいたもので、その猫がびっくりして、その方の手を噛んで、かなりひどい怪我をさせたんですよ。ある程度その性格が分かっていれば、怯えやすいとかちょっと噛むような癖があるというのがわかってれば、当然こちらも気を付けたはずなんです。
 それから、誓約書みたいなものを当時お出ししたりしましたけれども、後で見ますと、その誓約書に救護施設の連絡先が何も書いてないんですね。これは最初に混乱時期にやってたボランティアグループの方の誓約書です。
 ですから結局最初に一時預かりをした猫については、その救護ボランティアの方に元の飼い主に返却しましたということを連絡することが出来ない。当時はその携帯電話で新聞に載ってたんですね。
 今はその携帯電話に電話しても出てこないということで、初めてのケースですから、割と基本的な細かいところがまだ十分出来てなかったなあと思っています。
 そういうようなことで、里親の立場から申し上げれば、里親もこれはまあ非常に長期に渡る、ある意味ではボランティアなんですが、私なんかは割と犬猫好きで以前からも飼ってますんで、いいんですが、もし初めてお預かりするような家の場合はやはり民間の飼育マニュアル的なものが必要じゃないかと思います。
 これは通常市販されてる犬の飼い方猫の飼い方なんてたくさん出てますが、そういうものではちょっと違うんですね。やっぱりもうちょっと成犬、成猫、それから不安定な状態でやって来るわけなんです。そこら辺についてはやっぱりこう特別のマニュアルが要るんだろういう気がします。
 それからもう一つは先程も出てましたが、里親の方がどういうふうに飼っておられるかの追跡調査と同時にその里親の方に対してボランティアとして一緒にやってるという意識を高めるような何か例えばニュースでも結構ですし、そういうやり取りが欲しいなあという気がしております。私なんかすぐ近くでこういう場所で接してます、もらったならもらったきりでそのまんま途絶えてしまうという方もおられるかと思いますので、その辺が気がついたとこです。非常に個別的な事例ですが、一応里親の立場として責任を感じております。どうも有難うございました。

(座長)
 どうも有難うございました。それではこのシンポジウムの終了が大体6時ということでもうその時間迫っておりますが、少し時間を延長してですね、6時20分頃までこれから話題提供いただいた方々に壇上へお上がりいただいて、会場の皆様からご質問を、それからご意見どちらでも結構です、いただきながら少しディスカッションの時間を取りたいと思います。
それでは、どうぞお手洗行かれる方、5分間ぐらいは時間がかかると思いますので行って頂いて、6時きっかりから始めますのでどうぞよろしくお願いします。それでは話題提供頂いた方々、壇上にお上がり頂けますでしょうか。
 それでは今ちょっとお手洗行っておられる方もおられますけれども、少し雑談的に始めてまいります。
 この動物救援活動といいますのは、おそらく大きく言って3つ今回あったのかなあ。
 もちろんその中の中心的な活動は、現在このシンポジウムの協賛の片側であります兵庫県南部地震動物救援本部がなされた活動、これはことの広がり、全国から多数のボランティアを集められ、尚且つ活動期間が非常に長い。これからもまだ活動を続けられる予定でおられますけれど、これが一つの活動として非常に組織的な活動、先程杉原さんからもお話し頂きましたし、それ以外の方からもお話しいただきましたけれど、行政が始めて本格的に取り組んだこういう動物救援活動だっただろうと思います。
 皆さんがたご存じのように、それ以外に、この救援本部に属しておられない、この組織の中に入ってきておられない動物愛護団体の方々、ないしは個人の方々が、地震直後からあちこちで救援活動をなさいました。これは大変すばらしい活動を進めてこられたんだと思います。
それからこういう組織だった動き、2人であれ3人であれですね、もっと大きい既成の動物愛護団体というようなある程度活動経歴をもっておられる方ではなくて、極端を言うと読売新聞社が提供してくれた今回のシンポジウムのポスターですが、瓦礫の下から救い出した猫に餌をやってる姉妹がいます。良く見てくださると。これも一種の動物救援活動でありました。
 つまり個人レベルで、地震の起こった直後から数千人の人、数万人の人が、ひょっとしたら、私達今から調べようがありませんけれど、なんらかの形で動物救援活動に携わられた可能性があります。ですからそれはもうここではお伺いすることが出来ない活動ではありますけれど、私達が動物救援活動というときにはこの3つのことを頭に入れて、そして将来の動物救援活動のマニュアルってのを作っていくべきだろうと。
 今回は特にお話し、一番お話しして頂きやすい形で、またこのシンポジウムを開催して頂きました兵庫県南部地震救援本部からの報告が中心となっておりますけれど、あらかじめこの総合討論始める前に申し上げておきますけれど、動物救援活動っていうのはそういうものだろうと私は思います。
 それでいろんなお話がおそらくあると思いますが、先ず会場の方からこの6人の話題提供の方々に、ご質問、先ずご意見の前に、ご質問ございましたら受け付けたいと思いますけど、ございますか。はいどうぞ。短くね、質問ですから要点をはっきりさせて言っていただけるでしょうか。

(質問者1)
 質問させて頂きます。亜細亜大学の井上と申しますが、兵庫県の杉原さんにちょっと質問でございます。行政の在り方が、今回やむをえないとしましても、事後処理的なやり方、日本の政治行政が全て事後処理的な方向へ昨今向いておりまして、まるで裁判所か弁護士のような仕事ぶりになっとる。
 その中で、今後多少杉原さんは先取りして他の自治体、国家に対してアプローチしていかなきゃいけない、自分達の経験を前進させなきゃいけないということをおっしゃって、有り難く思ってるんですが、具体的には兵庫県、また杉原さんの部課ではどういうふうな計画でそれを進めたいと思っておられるか。おそらく日本の壁を破るのは大変だと思いますけれども、そのご計画と方法をちょっと教えて頂ければ有り難いと思います。

(座長)
 はい、それじゃあ杉原さんお願い致します。

(杉原さん)
 はい。今のご質問回答が非常に難しい。正直言いまして。先ず兵庫県としましてはこの震災活動についてのご報告結果というのは色々な場をとらまえて今までやってきました。これは行政レベルの全国的な研修においても、同様の発表をさせて頂いております。
 今後県といたしましては、いわゆる動物の保護及び管理に関する法律を提唱しております。総理府等と相談協議をかけながら、なんとかそのこの震災、我々が、私も一つ言わせていただきましたが、財政的な確保と、それから人の確保。これがどうしてもあの生きている動物を扱う以上必要不可欠です。その後行政が直接やるのか、あるいは今回のように民間レベルが中心となってやはりやるべきなのか、これはこれから全国的にも議論を、逆に我々としてはして頂きたいんですが。少なくともどちらがやるにしても、当初、震災が起こった、あるいは天災が起こった時に当初動けるような形でのものはなんとか国の方でもご検討願いたいというようなことを踏まえて、総理府なりと今後いろんな意見交換なりはしてみたいと考えております。

(座長)
 はい有難うございました。よろしいですか。他にご質問ありますか。はいどうぞ。出来ましたらお名前と、どういうことやっていられるか、差しつかえなければお話しいただければと思います。

(質問者2)
 西宮の矢野と申します。被災地で個人レベルの動物救援活動をやっているものです。
 ちょっと第二部のことに関連するかと思うんですが、収容数、収容頭数の問題なんですけれど、ここ最近かなり減少しているとなっておりますが、私共相談を受けます分では、ここ一月ぐらいなんとか一時収容してもらえないかという相談がかなり増加しております。と申しますのが、おそらくは借家の問題、当初はそのまま十分住めると思われていたものが、大家さんのほうの都合で急に出て欲しいというふうに変わってきてる。現実にまだ解体はこれからまだまだ中途段階でして、今まだ追い立てが進んでる段階ですが、ただ救援本部のほうに相談をもちかけても、全く受け入れてもらえなかったという話しが、かなりの数来ております。
 その辺りで現状これだけ数が、収容数が減ってるということは、まだまだ受入可能かと思うんですけれど、受け入れて頂けないのか、受け入れて頂けるのか、それと1カ月2カ月単位というふうに最近はなってるようですけれど、1カ月2カ月でちょっと新しい家を探すなり立て替えるなりというのはかなり無理がありますので、その辺りもう少し置いて頂けないものなのかということ。
 それと入れて頂けない場合の、その被災犬被災猫はどうすればいいのか、現状どうされているのかという辺りをお聞きしたいのですけれど。

(座長)
 これは、松田さんにお答え頂くのが一番でしょうか。

(松田さん)
 難しい質問ではありますが、基本的にはこれは本当に厳しい言い方をすれば飼い主さんが個々に動物と暮らす原点から考えて頂けたら、始めに自分でなんらかの決意をもっておられるということが非常に大切なことであります。しかし、それを今、災害にあった今、これを求めるのは、非常に同時に苛酷であるということは承知して言っております。
 ですが、私達運営をする側から申しますと、運営をする側にも体力的にも経済的にもいろんなキャパシティーっていうものはあります。限度っていうものがあります。ですからこれがエンドレスに行えるって保証は、私自身からしても震災以来ほとんど休みなしに勤めております。それは運営に当たるものの責任っていうことと同時にやはりあの現場を把握するものが常に常駐してないといけないという責任感から基づいてるんですが、そういうことから考えますと運営をする側の人間的なこともお考え頂きたいというのがこの際皆さんにお願いしたいことでもあります。
 これは非常に深刻な問題でありまして、今後の救援活動っていうものについて、どのぐらいの範囲に、どのぐらいの施設を、どのぐらい運営するのかということは、これは国のレベルで考えていくことであって、今ここで答えが出せるってことは非常に困難なことであるってこと申し上げたいと思います。
 それは初めてのことであると同時に、今私達が一、二カ月と定めておりますのは、これはやっぱり全然預からないよりは多少のご援助になるということも事実だろうと思います。そして一、二カ月の間に個人レベルで次のステップを考えて頂けるっていうそういうクッションになるということも事実であろうと思います。
 ですがそれで一年二年預かってくれっていうご要望に対して、仮に一年預かることに、動物に対して本当に意義があるのか、そういうことも考えて頂きたい。一年まるっきり飼い主さんのもとを離れることが動物に対して本当に幸せなことなのか、それであれば放棄して新たな飼い主に巡り合って新たな幸せを求めることも、動物福祉の上では、あるいは必要なことではないか、そういうことも検討して頂きたいことではあると思います。
 このことについては、非常に異論がたくさんあるということは承知して申しております。ですが私は横浜のシンポジウムでも申し上げましたけど、人と人っていうのは基本的に意見が違って当たり前なんですね。ですからその意見の違いをどれだけ譲り合えるかというとこに活路を求めないと、意見が違うから「はい、さようなら」では物事成り立たないんですね。ですから矢野さんも必死の努力をしておられると同時に私たちも必死の努力をしてここまでやってまいりました。ですからこれ以上多くを求められても、私がここで全部を保証しますというお答えを出来ないことも事実でございます。これでよろしいでしょうか。

(座長)
 はい・・・

(質問者2)
 すいません、松田さん個人に申し上げたことではなくって、救援本部全体のことだと思うんですが、この頂いております資料の後ろを見ましても、有給の職員の方が数十名おられるようですけども、その方ももちろん事務の方もおられるかと思うんですけれども、その松田さん個人ではなくって、もし他にボランティアの方がまだまだ参加できるような状態であるとか、他の団体を受け入れられるとか、そういうふうな形でいけば、この収容数が6頭とか9頭とか一桁状態はもう少し増やして頂けるんではないかと思うんですけれど。
 それと私が申しましたのは、1カ月2カ月単位ということであって、その1年2年という飛躍した話しではなくって、実際に相談受けます立場からしますと3カ月から4・5カ月受け入れて頂ければなんとかなるんだと、それも頭から相談窓口ではねられて、保健所へ持って行きなさいと言われたこともあれば、有料の訓練所を紹介されたこともある。それも出来なければもう好きなようにしなさいというふうに言われたという話しも結構聞いているんですが、その辺りもう少しきちんとした相手の立場も考えたお答えも頂けるとか、そういうふうなことをなんとかして頂くというふうなことは出来ないんでしょうか。

(松田さん)
 相手の立場を考えるとそういう意味では、同時に運営するものの立場もお考え頂けたら有り難いと思います。それは個々にその立場にならないとお互いの苦労っていうものは分からないと思うんですね。ですから私達も今回この運営をして初めていろんな苦労にぶつかったわけです。ですからこれを今後のマニュアルとして残すために皆さんと議論をするのであって、今は不備が多いとことは充分に承知しております。
 そして1カ月2カ月の対応しか出来ないというところには、ある意味では公平っていうことが非常に大切になるんですね。それは多頭飼育の問題にもなるんですが、多頭飼育で例えば10匹飼ってる方に10匹全部をお預かりするということを承諾した場合には他の9匹の飼い主さんをお断りして10匹が受け入れられるということになるんですね。それと同時に、その一人の方に一年お預かりするとしたら、その一年というものは拘束、部屋が詰まるわけですね。だとしたら、こういう義援金の運営という公平ということを大切に思うと、ある程度一人一人全部の方に公平に行き渡るということも非常に必要な要件になってくると思います。
 そういう意味からしますと、お困りなことは分かっていても2カ月、1カ月2カ月でお譲り頂いて、次の方にまたご利用頂く、ということも非常に、私達のサイドから見ると大切であります。それは飼い主さんの立場から見ると非常にお困りだということは重々良く目に見えております。事実私どもの救護センターからお引き取りになられて他に移ってらっしゃるという例もフォローで確認しております。ですがそのことについて始めにも申し上げましたように、これは飼い主さんの責任であるべきことであって、基本的には私達も行政もサポートをするというのが基本であるべきだと、私はそう思っております。
 あくまでも動物と関わるものは、動物と最後まで責任をまっとうしないといけないというのが私の厳しい意見かもしれませんけど25年のボランティア生活でそういうことを身に付けて参りました。ですから私は、自分の動物については責任をも持っております。

(座長)
 大変少ない予算の中で、しかも大変努力されてる中で、しかも多くの方々に公平にということをお考えになってるわけですから、その時その時のケースバイケースで、いろんな判断っていうのはあると思いますけど、ぜひ今後とも、恐らく窓口で冷たく断られることがないような、つまり断らなきゃいけないときでも、相手に冷たいような雰囲気を与えないことが大切だと思います。
 もしそういうことが起こってるとすれば、慣れがでてきて、これは同じ断るにしても相手に対する配慮を欠いてるかなと思います。そこがほんとお疲れになってる方に、こういうことを、無理をお願いするのは酷ですけど、僕は今あの松田さんそこまで言って下さったのを大変嬉しく思いますし、どうか今後とも頑張ってやって頂きたいなあということを思います。
 他にご意見があるかと思いますけど、特にどうでしょうか、ボランティアのなかで、先ほどお二人の方から、山田さん、原さんからお話し頂きまして、特に山田さんも原さんもおっしゃってるんですけど、非常に良かった、だけどやっぱりいくつか問題点があったということがございましたけど、もしこの中でですね、他にボランティアとしてご参加くださった方がおられましたら、ご自分の経験でも、また質問でも結構ですから、ご意見いただきたいと思います。どなたかおられますでしょうか。他に・・・。どうぞ。

(質問者3)
 大阪から参りました神山と申します。
  私は神戸市北区のセンターに震災直後、一月の末から三月の終わりまでずっと泊まりで、ときどき家に帰ったりしながらですが、ボランティアに参加しておりました。
 先ほどパネラーの方からボランティア間でのコミュニケーションの不足により対立とかいうお話しがありましたけれども、山田さんがおっしゃいました、組織のマネージメントという面でひとつ指摘させて頂きますと、組織の上下での意志の伝達の欠如というのが大変問題だったと思います。
 例えば、一々申し上げますと、北区で新しい犬舎を建てようというお話しがございましたけれども、一体いつ建てるのか、どこに建てるのかということが、ぎりぎりまで現場のボランティアの責任者にも伝わっていませんでした。
 それから現場の方で生じている問題を、上の方の執行部へ伝えるという方法が全くありませんでした。こういうことがありますと、ボランティアの方も自分たちが軽んじられてるんような気がして、なかなか熱意というものが出てこないということにもなりますので、その辺のところを今後マニュアルとか作成する時は活かして頂きたいと思います。

(座長)
 はい、大変貴重なご意見ですが・・・

(松田さん)
 そのことについて一言申し上げておきますが、こういう土地の利用とかいうことについては非常に難しい問題を含んでおります。
 ぎりぎりまで発表できないという要因もございます。
 それは発表したが為に、せっかく制約が出来たものが、動物が来るんだったらやめようとかというような、そういうこともありまして、ぎりぎりまで内部で詰めるだけ詰めて、そして公表するっていう段階を踏まなきゃというようなこともあります。そういう要件もあるということをご理解頂きたいと思います。

(座長)
 はい、私が聞いてます限りでも、三田の最初の予定地がどんどん山の奥の方へさがったという話を聞いていますが、大変難しい問題があると思います。恐らく、私達が何かをするときに、同じことでも、意味が分からずやってると本当にこう腹立たしいといいますか、その説明が無いということは、ボランティアはまさに、自分の有益のためにやる非常に自主的な活動であるにも関わらず、これが自主的な活動にならない、強制された活動になってしまうという危険があるわけです。
 これは動物救援活動だけではなくて、今回無数のボランティアがこの阪神大震災では存在しましたが、ボランティア活動そのもの、これは全体に通づるところですが、おそらくどんな役割分担をしても、みんなが全体は何をやってるのかというのを常にチェックしながらいけるようなシステムを作らなければならない。これは指導者の責任ってのは大変だと思うんですね。他の指導者以上に大変だろうと思うんですが、是非それを心掛けて頂きたいなあと思います。
 それで、実際その指導者の大切さをお話し頂きました山口さんから、何か追加でお話しございますか。

(山口さん)
 追加でといいますか、私アンケートを取りまとめたというだけですが、ほんとに大変だと思います。
 いろんな年令の方、いろんな職業の方、バックグラウンドの違う方、経験豊富な方、全然動物との経験のない方、好きだけれども飼ったことも無いっておっしゃる方々、その方々を指導しながら取りまとめて役割分担をし、かつそのボランティアの方々の意見を挙げてそれを上に反映させ、上からの決めたことを下に徹底させるというこれは本当に大変なことだと思います。
 ですから上に立つ方を選ぶことも、これも大変な仕事で、これによって組織が効率的に上手く、そして人間同士の争いもできるだけ少なく運営できるかどうか、みんなが働きやすい職場と言いますか場になるかどうかというのはここにかかってるんじゃないかと思います。

(座長)
 監督が悪いとチーム全体が死んじゃうと言うことだと思うんですね。そのことを山田さんもおっしゃってましたので、もしご指摘がありましたら。

(山田さん)
 ボランティアの組織のなかで、例えば会社に勤めてお金を貰いながら働くっていう上意下達の社会は多分ボランティアにはなじまないんじゃないかと思うんですね。指導者っていう言い方をしますけれど、運営本部とボランティアのグループというのはフラットな関係で、ボランティアグループのなかでも自治が求められるし、その中では情報のコミュニケーション、さっきも申しましたけれども、そのことが大切なことで、上下ではないという概念がこれから大切になって来るんだろうし、そのことはマニュアル作りのなかで、マニュアルとしてではなくヒストリーとして、人の中に語り継ぎながら残していってできるもんじゃないかなという気がします。

(座長)
 はい、それとこの、一般的にボランティア活動全体についてお話し頂いているんですが、特に動物救援ということになりますと、動物のことについてある程度知ってる方と知らない方というような、これは動物救援に対するボランティア活動のひとつの特長ですけれど、この中でもし、獣医師の人が偉そうにしてて、他の人に不愉快な目をあわせたとしたら、これは大変問題でありましてですね、そういうことは私は無かった、あったとしても大したことではなかっただろうと信じたいんですが、これについては、今後とも動物救援活動を進めていくうえで大切な気持かなあという気がいたします。どうでしょう何か会場から何か質問、つまりある程度の知識のある方と無い方っていうのも、これはやっぱり先程何人かの演者、話題提供の先生方おっしゃってますように、完全にボランティア活動っていうのは組織のなかでは対等平等な関係であるんだという基本原則でおられることは異論はないと思うんですが、何かご意見ありましたら・・・どうぞ。

(質問者4)
 私も、障害児問題では、長年ボランティア活動してたり、学生時代からその全学連の関西委員長やったり、ばかげた市民運動の親玉やったり、ずっとやってきてますので、その中でやはり専門知識のある時には、リーダーといえども専門家を対等に扱って教えを乞うということやらなかったらリーダー勤まらないんですね。
 それで、リーダーの役目っていうのは、ボロかすにいわれるのを平気で受け流すというのと、専門家の知識を上手によりあわあせて行政上政治家以上の知識を集結してしまうというやり方でありまして、私今日の話聞いてまして、もう六十四になって、膵臓癌の手術してテレビでずーっとこの関西問題見てまして、さてどこまでものを喋ったらいいのかなというようなことを考え考え来ておりますけれど、見事なもんだなと。ご立派なもんだなと。
 私ら戦時中、昭和六年生まれの人間から見ましたら、

(座長、話を遮って)
 ちょっと短くお願いできますか。

(質問者4)
 はい。

(座長続けて)
 このことについていえば、特に動物救援活動の点で、私の尊敬してます、今後の活動のなかでリーダーでもあり、専門家の知識を持っておられる旗谷先生から、ちょっとお話し頂きたいと思うんですが。

(質問者4)
 はい。どうぞ。失礼致しました。

(旗谷さん)
 私は専門家でもなんでもなく、偶然この地震の時に神戸の代表してたということでこういう体験をしたわけでございますが、先程のリーダーあるいは通達の云々と、今回我々非常にあの、今回組織が良かったか悪かったかは分かりません。
 ただし兵庫県南部地震動物救援本部というものがありましてここで全てを決定する、重要な次項は全てを決定して、その決定次項を、神戸、三田で実行していくと、こういう組織であったわけですけど、今回非常に困ったのは動物行政の一本化ということがなされてない。それがために我々、その救援本部にはいってくる情報自体が、その日の午前中、昼、夜で変わってくる。
 例えば総理府でこういう話があったんだとか、農林水産省でこういう話があったんだとか、そのときそのときでどんどん変わってしまう。それをなんとかまとめて神戸のセンターに持ってくるわけですが、それに非常に時間がかかる。そこにまた確かに下の、下と言ったらおかしいですが、ボランティアの方々の意見を吸い取ることが出来なかった。これは確かにミーティングをする時間が非常に少なかった、これは出来なかったって言うほうが正確かも分かりません。
 当初、本当に混乱のなかで、もうみんなくたくたになって寝る時間を惜しんで救護に割いたということがございます。その点から言ってもう少し、人的あるいは資金的余裕ある救護活動が出来ておれば、もっといい動きができたかなあと思います。

(座長)
 はい、有難うございました。他にどなたか、もう予定の時間は迫ってきておりますが、ございますでしょうか。どうぞ。

(質問者5)
 福岡の稲垣と申します。
 今回私は完全な部外者の立場で参加したんですが、部外者から見ると、本当私今日は参加しなかったことを恥じて参加したんですが、組織は全体的にものすごく上手くいってると思います。
 ただ連絡などの対外的な広報が我々外部から連絡すると、上手く連絡がいかない、たらい回しにされる、それが一点。九州で普賢岳の火砕流ありまして、島原で、今度のほど大きくなかったんですけど、ずっと地元で、福岡市部の開業獣医師がボランティアに参加したのです。そのときは、長崎県中を通じての、組織があって、それに参加しました。ただ、組織はばらばらで小さな個人のグループがありまして、そこは何も支援がないみたいだったからそっちも支援しようということで支援に行ったんですが、やはり、組織が責任者というのがきちっといないと、こちらがそちらに連絡しようにも支援しようにも話し合いが上手くいかないというのがありました。
 今ボランティアのなかで、リーダーがいないという問題がありまして、やっぱり組織ができるとボランティアのなかでもリーダーを作ってやると対外的にもある程度きちっと上手くいくんじゃないかというのが経験しております。
 ただもう今回は、今日参加して恥じております。もうちょっと何か参加しなきゃいけなかっただろうと思います。ただ、ひとつお願いはこのノウハウをやっぱり対外的に公表して埋め合わせることです。そうすると、あってはならないことですけど、またもし、今後、日本全国何処であるか分からないし、これを活かされるようなものを残して下さることを希望します。

(座長)
 どうも有難うございました。おそらく今日のシンポジウムでは、今あの最後にご発言頂きましたように、この1月17日から今日までの9か月間、もうずいぶん救援本部としてもお疲れになっておられると思います。
 また救援本部のなかで、動物救援活動やっておられる方以外の、他の方で、個人ベースでやっておられる方今日ご参加頂いていると思いますが、その方も、もう9カ月もたって相当お疲れになっておられると思ういますが、もう一踏ん張り、まだ動物たちはいるわけですから、この阪神淡路大震災で被災した動物たちの為に、もう一働きお願いしたいということと同時に、特に今日強調されてますのは今後、こういう不幸なことは二度とあってはならないんですが、震災というのはまた起きる可能性があります。
 そこでこれだけ行政が指導された形でこういった組織が動いたということは、殆ど日本では史上初の初めての出来事、いろんな教訓がこの中で生まれてると思いますが、先程の山口さんからご発表頂きましたアンケートを見ても、全国的な組織が欲しいという方もおられます。これをどうしていくかというのは、行政の方、それから民間の方、愛護団体の方、そしてまた一般の方、これからみんなが考えていくところですが、是非ともこのシンポジウムとしてはシンポジウムをやっただけに終わらないで、今後こういう震災が起きる可能性がまたありますので、ここからできるだけの教訓を引き出したいと思います。今回皆様方、もしご関心がありましたら二千円で資料集は販売しておりますけれど、これは単なる資料集で、どんな形でご活用して頂いてもいいんですが、私どもとしてはこのマニュアルづくりに向けて、このシンポジウムをその一歩としていきたいというふうに考えておりますので、どうかよろしくお願いします。
 どうも皆様大変長い時間有難うございました。また今日の演者の方々、話題提供の方々大変長くまでお疲れさまでした。本当にどうも有難うございました。これで終わらせて頂きます。

(太田)
 朝の十時前からもう八時間余になります。最後に閉会の挨拶として、本シンポジウムの運営委員会の委員長でもあり、救援本部本部長、ならびに兵庫県の獣医師会の会長でもあります鷲尾勝彦先生から挨拶をお願いしたいと思います。お願いします。

(鷲尾)
 今日早朝から9時間半に渡る延々の時間を皆さんがた終始熱心にこのシンポジウム意見討論会を無事終了できましたこと、心からまずもって、救援本部長として厚く御礼申し上げます。
 シンポジウムの話題の中に、意見の交換の中にたくさん大事なものが残されました。この討論の中で、いずれにいたしましても我々救援本部に関係をいたしましたものにつきましては、初めから交通は途絶、電信電話は途絶、水は無い、食料は無い、その中でわずか一週間余りで打ち立てた団体でございます。非常に物事が出来なかった。先が見えなかった。初めての災害で知識もなかった。この中で奮励努力をいたしまして、今ここにシンポジウムの意見討論となったわけでございます。これからは、色々意見の中に最後はマニュアルをこしらえて、国民の安定のために全力を尽くそうではないかという心の意識が、皆さんと共に固まりつつあるように思えてなりません。
 これからは皆さんのご協力を頂戴しながら、関係したものは心を新たにしまして、そしてこの動物と人との関わりは言うに及ばず切っても切れないものでございます。皆さんの協力を得ながら最後まで本当に先程言いましたような動物愛護の本当の運営がなされるように、我々も努力をいたす覚悟でございますので、最後まで協力を惜しまずに、これから共に動物も人間も死に至るまで手を繋ぎながらいかなければならない、という意識をもたざるを得ない形が生まれます。
 色々不服なことがたくさんございましたが、行政当局、あるいは国民の意識を昴揚して頂きながら、皆さんと共にこれから動物の関わりを深くして、お互いに動物も人間も生命が尊いのが初めてわかりつつあるように思います。
 皆さん、いずれにいたしましても、今日は、あるいは今日だけでなしに、1月17日からのことを考え合わせまして、これからいつ終わるとも知れない救援体制を、皆さんで固めて頂きたいとこのように考えております。
 遅くまでご苦労さんでございます。お礼を申し上げまして、皆さんがたと共に今度の再会を願っております。よろしくお願いいたします。本日はどうも有難うございました。今後ともよろしくお願いします。

(太田)
 本当に長い間有難うございました。それではこれにて閉会いたします。気を付けてお帰り下さい。なお6時半から、もう過ぎてますけども、懇親会が2階の紫陽花というレストランで行われます。今からでも遅くありませんので是非とも参加頂けるようお願い申し上げます。どうも有難うございました。

・・・・第三部おわり・・・・
(c) 1996兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録編集委員会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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