生きる力は愛の中で育まれる : こうべキッズビタミンIの子どもたちの記録 / ビタミンIリーダー会編 - 発行:大阪 : 大阪YWCA(大阪キリスト教女子青年会), 1999.4. 請求記号:震災-7-330. p25

5.専門家の目から活動を概観する

 この活動の最初から最後まで関わったひとりの者として、今こうして活動の概観を書かせて頂くことをとても光栄に思い、また感謝している。さて、ビタミンIの活動を特徴づけるものをいくつかに絞ってみるとこうなる。

1)「愛の磁場」の存在

<はじめに>にもあるように、愛という言葉は時に甘っちょろく、理想論的で、抽象的な空論に感じる人もあるかもしれない。しかし、人間の肉眼で見ることができないからといって誰がその存在を否定することができようか。
 もとより、人間の肉眼に見えないため存在していることがわからなかった空気や引力といったものも、いまや科学的にその存在が証明されている。後世に愛というものの存在が科学的に証明される時がくるかもしれないことを誰が否定できるだろう。(といっても私にとってはそれが証明されようがされまいが重要なことではない)

 とにかく、ビタミンIの活動を振り返ったとき、それが愛というエネルギーの働く磁場で行なわれていたことを知る必要がある。愛されていることを実感することによってエネルギーを取り入れ、自分を好きになることによってエネルギーを内在化し、愛することによってエネルギーを放出する。
 この愛のエネルギーの循環によって、生きているものはますます楽しく、心を躍動させていくことになる。

 この磁場を最初に意識的につくっていくのはファシリテーターでもあるキャンプディレクターの役割だ。キャンプディレクターは自ら愛され、愛することの関わりの中で、この愛の磁場をつくっていく。この磁場があって、次の項にある個人のセルフエスティームとエンパワメントが実現していく。

 おそらく、この愛の磁場はこころのケアの実践にとっては不可欠のものである。しかし、それにとどまらず、今日の家庭、学校をはじめとし、人間の存在するところに必ず必要なものである。むしろその磁場がなくなってしまったので、今日の子どもを取り巻く問題が起こっているようにも思える。

 子どもたちは愛されていると実感できなくなり、愛するということを体現できなくなっていく。
 それは大人の状況にほかならない。


(c) 1999ビタミンIリーダー会 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
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