KSKQ障害者救援本部通信, No.17(1996.3.22号)

兵庫県南部地震障害者救援本部

1996.9.5. - 8p

請求記号:震災-7-z27


再生への確かな歩みに声援を 〜被災4作業所のチャレンジ!

[写真あり 省略]

 昨年の大震災で兵庫県下の小規模作業所106箇所の内、実に3割相当の29カ所が全半壊した。厚生省認可授産施設の被害に比べるとケタ違いだ。助成金が低いため、家賃の安い、古い木造家屋に入居していた所が大半だったからだ。
 認可施設の復旧にはいち早く国の補助金が拠出されたのに対し、小規模作業所にはなかなか公的な復旧対策が打ち出されなかったが、昨年夏に設置された兵庫県復興基金からようやく全半壊した作業所の建物再建に経費5/6(上限1978万円)の助成が出されることになった。しかし、恒久的な建築物の新設が条件のため、申請できたのはわずか4カ所にとどまっている。震災後、借地物件はほとんど無く、また売地は高すぎて手が届かないのが実情。
 そんな中、メインストリーム協会(西宮)がなんとか土地を見つけて売買契約を結び復興基金の建設助成を申請できるところまでこぎつけた。
 同協会は7年前から西宮市内で主に重度身体障害者の介護者派遣活動を行ってきた。3年前に作業所を開設したが地震で全壊。パソコンや事務所備品、車などすべてが壊れてしまった。震災後、市の土地を借りて厚生文化事業団の援助で仮設作業所を建てて活動を再開してきた。
 キントーン作業所(西宮)も、最も被害の大きかった所の一つだ。文化住宅で自然食品の販売などをして地域にとけこんできた矢先だった。作業所はマッチ細工のように崩れ、商品や事務機も全部だめになってしまった。やはり、市の土地を1年期限で借り、カンパでプレハブ作業所を建てて、メンバーが集える場所を作ってきたが、事業収入は激減。地域とのつながりを断たれたことが何よりつらいという。県の復興助成で地域に根差した恒久的な作業所を建てようと、去年の夏から必死になって土地を探しているが、貸してもらえる土地はない。今年の夏までにはめどを立てないといけないので焦っている。
 障害者自立生活センター「Beすけっと」(神戸)は入居していたビルが半壊し、ひび割れた壁を応急処置でふさぎながら使用してきたが、このほど市内に土地を借りることができたので、やはり復興基金に申請しようと準備している。
 みんなの労働文化センター(尼崎)も半壊作業所からの移転を急いでいる。
 作業場「雑居工房」は道路下のすきまにベニヤとトタンを覆っただけの所だ。地震で道路の継ぎ目がずれたために、振動がひどくなり車が通る度にひどく揺れる。生きた心地がしないとメンバーは声をそろえる。また大きな地震が来たらペチャンコだとおびえながらも、出て行くあてがないのでヒヤヒヤしながら仕事を続けてきた。そこへ復興基金の知らせ。必死で土地を探すが適当なものが見つからない。
 障害者作業所の場合、どこでもいいと言うわけにはいかない。地域とのつながりが命の次に大事なのだ。これまでの13年の活動で育ててきた自分たちの「地域」はかけがえのないものだ。だから、ここは離れたくない、と近辺を探してようやっと物件を見つけた。建坪10坪の1軒家。土地(15坪)付き3階建てで3800万円。しかし復興助成は出ない。建物購入は対象外だという。土地を借りたくても無いのだからと、何度も頼んだがだめだった。おまけに、今いる道路下の作業場は建物として認められないかも知れないから申請資格も危うい・・かもしれないと役所で言われてしまった。
 大災害の後も、役所の、決してニーズから出発することのない「始めに制度ありき」の発想は結局変わらないのだろうか。
 それでもこの物件を見送ったらもう後がないと、労働文化センターは必死になってお金を集めて拠点を買い取る段取りを進めている。

このように被災地では、地震から1年と2ヵ月が過ぎた今、新たな局面を迎えている。
 無認可の小規模作業所への再建助成は建物に対してのみで、「土地確保は自力で」というのは、地震後の土地事情や、作業所が社会的にも経済的にもギリギリの線で苦しんでいるという事情をまったく考慮しない条件だと言わざるをえない。
 その上、建築費の1/6は自己負担。設備は対象外。確保できる土地は狭いからスペース確保のためにどうしても2〜3階建になる。そうするとエレベーター設置は不可欠。電動車いす使用に耐えるものは1基700万円もする。
 どうしようと頭をかかえても前に進むしかない。障害者が地域で生きていくには、立ち止まってはおれない。「とまったらこける。前進あるのみ。」と被災障害者たちは異口同音に語る。

[新聞記事あり 震災で全半壊の29共同作業所6ヵ所再建メド立たず(神戸新聞朝刊3.10) 省略]


東京発 支援活動の継続に向けて

被災障害者支援実行委員会 三澤 了

○あの大地震から一年三ヵ月が経過した。テレビや新聞などのマスコミの扱いもきわめて小さいものとなり、地震による被害は解消されたかのような印象すら与えるものになっている。
 しかし被災地センターや救援本部から伝えられる情報によると、被災した障害者の状況は問題の解決どころか問題の複雑化や深刻さが深まっているように思われる。仮設住宅での劣悪な環境の中での孤立した生活、自分たちの生活を支えてきた生きる場・作業所の思うにまかせない復旧、生活を支えてきた介助体制の崩壊等という状況の中で、自らの生活の建て直しに必死の努力をしている障害者の仲間たちの姿と、そうした個人の努力に対して法や制度を盾に冷たい対応をとり続ける行政の醜さが、被災地の報告からは今でも生々しく伝わってくる。
○私たちは、昨年の地震の発生直後からDPI日本会議、全国自立生活センター協議会、障害者総合情報ネットワークの3団体を呼びかけ人として「阪神・淡路大震災被災障害者支援実行委員会」を結成し、支援の活動を行なってきた。活動の柱を、被災地の障害者に関する情報をできるだけ広い範囲に流していくこと、できるだけ多くのカンパを集め被災地に送ること、障害者を含めた多くのボランティアを現地に紹介すること、厚生省をはじめとする関係省庁に対して障害者の生活の復旧に必要な施策をすみやかに講じるよう働きかけていくことの4点とし、さまざまな活動を行なってきたが、現地の状況からすれば十分にもっと迅速に、もっと効果的に動いてほしいと思わざるをえないような動き方しかできなかったのではないかと反省すべき点も多い。それでも私たちの呼びかけに応じて、全国の障害者やその関係者から多くのカンパが寄せられ、また多くの人々がボランティアとして現地に駆けつけてくれた。支援の輪を大きく広げていった多くの仲間たちはこの災害を他人事としては受けとめられず、自分たちができる精一杯の行動をしたいということで、寒空の下で一週間、十日と駅頭のカンパ活動を続けたり、仕事の合間をぬって被災地に何度も足を運んだりと、驚くほどの積極さが発揮された。
○しかし、半年、一年と時間が経過する中で各種の支援活動にも終息の気配が見受けられるようになり、被災地とは状況に対する怒りやもどかしさに微妙な食い違いや、温度差が生じるようになってきたことは残念ではあるが事実である。最初にも述べたように被災地の障害者の状況にはまだまだ厳しいものがあり、行政的な対応が不適切であったり、非人間的であったりしている事実がある。こうした事実はまだまだ多くの人々に伝えられなければならないし、忘れさられてはならない。そうした必要性は感じながらも東京に活動の中心をおく「被災地障害者支援実行委員会」では現実に即した情報を流す活動に限界があり、私たちの呼びかけに応じてカンパやボランティアなどの支援活動に参加してくれた全国の仲間たちに被災地の現状を伝えきれないもどかしさを感じていた。そこで、被災地センターと協力して支援活動を展開し、被災地の障害者に関する情報提供を継続して行なっている大阪の「障害者救援本部」にお願いし、支援実行委員会の呼びかけに応じてくれた人々に対しても、救援本部からのニュースを届けていただくことにした次第である。
○被災した人々の生活を本格的に建て直すためには、国や兵庫県をはじめとする自治体の財政措置が従来の慣例のとらわれず弾力的に講じられなければならないし、必要であれば新たに制度的な整備を求めていかなければならない。東京の支援実行委員会のこれからの役割は、被災地の障害者とともに厚生省や建設省等の国の機関に対して、的確な施策を講ずることをもとめていくことであると認識し、ねばり強い活動を継続していきたいと考えるものである。


富山発 富山における震災支援活動

[写真あり 省略]

■情報を流す

 富山では、震災直後から発行されているFAX通信を、福岡から東京までの12ヶ所に転送すると同時に、定期的にその内容をまとめた冊子を120部発行し、県内外に郵送する活動をおこなってきました。
 また自分たちで運営しているパソコン通信ネット「LIVE」で情報を流すことや他のパソコンネット局(ネットフレンティ富山、ほほえみネット等)への転載もしています。

■物品販売

 被災地障害者センターよりTシャツやトレーナーなどを取り寄せて、毎月開かれる「青空のみの市」で販売しています。作業所の会報に商品取扱の案内を載せたり、マスコミの取材を受けて宣伝に努めています。

■物資の運搬

 昨年2月18日には、作業所のリフト付車輌で自転車7台、毛布、マット、米等を救援本部の物資受け入れ先だった豊能障害者労働センターに輸送しました。

■義援金を送る

 富山県内で集めた義援金15万円を昨年3月に障害者救援本部へ送りました。

■チャリティコンサートをひらく

 昨年4月から6月にかけて県内5カ所の寺院で有志によるコンサートをひらきました。いずれのお寺でも100名前後が集まり、チケットの売上げ、会場での物品販売の売上げを送りました。
 これからも被災障害者のことに心寄せ、地道に続けていきたいと思います。
 厳しい生活が続いているようですが、無理し過ぎないよう、ともに歩んでいきましよう。

サンの会 平井誠一


‘96障害者春闘レポート

 障害者問題を考える兵庫県連絡会(障問連)主催による“障害者による障害者のための春闘”が、3月16日、兵庫県中央労働センターで行なわれました。
 前半は、「どうする地域の福祉ビジョン」というテーマでシンポジウムを開催、シンポジウムのあとは会場から県庁、教育会館までデモ行進、夜は作業所など地域拠点を中心とした交流・情報交換が行なわれました。
 シンポジウムでは、特定の設備(点)から生活圏(面)全体をアクセスする必要があること、各自治体レベルでも障害者基本計画の策定が求められること、物理的、制度的、文化・情報、意識の4つの障壁を撤去すること、情報アクセスの面では、聴覚、視覚障害者だけでなく、知的障害者も含めての対応改善が必要であること、精神、内部障害など障害の概念が広がるのにともなう施策の改善などシンポジストからつぎつぎに提言がありました。
 最後に確認されたことでもありますが、当事者参加の策定が基本であり、障害者施策は特別な措置ではなく誰にとっても住みよい街づくりとなること、また身近な住民との関係が互いに理解しあえるものであることが大切、という点がとりわけ印象に残りました。
 少しずつではありますが、全国的にも「生活」を中心にすえた新しい街づくりの動向が見られるようになっているそうです。今後さらに、被災障害者の貴重な提言が生かされるためのさまざまな取り組みが必要であると感じました。
(報告 福田)

[写真あり 省略]


インフォメーション

阪神淡路大震災 被災障害者支援通信 57
兵庫・草の根ろうあ者こんだん会/事務局 1996.03.13


署名提出前に大阪城公園での集会を予定。
速報 NHK・テレビニュースに字幕・通訳設置をもとめる署名
提出は
4月6日(土)!
午後4時30分 大阪放送局

☆大募集☆

鈴木勉さんのアテンダント(助手)
内容/みんなの労働文化センター(尼崎)代表である鈴木さんの仕事の手伝い。
パソコンを使える人がベター。要普免。
給料/15万円。詳しくはセンターまで。
TEL 06−497−3010 FAX 06−497−2105

[写真あり BEN’S OFFICE(勉さんはパソコンの達人) 省略]


救援本部会計報告 たくさんの応援ありがとう

さまざまな人の手をとおして、気持ちが伝えられていきます

 救援本部に寄せていただいているカンパは、直接振り込まれたものばかりではなく、全国各地の団体を経て届けられたものがたくさんあります。
 その一つ、東京の被災障害者実行委員会を通じて、カンパなど様々なご協力をいただいた方、約500名に、先月から大阪・救援本部で発行しているニュースをお送りしています。新しく読んで下さった方々からも反響をいただいており、ありがたくお礼申し上げます。
 只今5千部近くを発送していますが、発行部数を増やし、また、各地の通信やミニコミにそのまま転載していただけるような頁もつくろうと考慮中です。

※メッセージより

96.3.18現在 カンパ総件数4167件 カンパ人数2946人
★支出について

救援金…義援金11グループに計714万・避難生活経費・拠点設置運営費
お見舞金…42団体分、1260万円
人件費…介助派遣・情報発信・物販・企画etc再生めざして常時17名が有償で活動中。(兵庫14名・大阪3名)
救援物資…プレハブ3件建設と移転内装設備費・車3台・バイク5台・印刷機・ワープロなど
電話料…被災地に携帯電話5台と毎月の通話料金など
★収入について
 街頭カンパは救援本部主催以外の街頭カンパも含まれています。雑収入は立替金返金などです。通信購読カンパ(年間千円)は個人・団体・企業のどれかに含めています。多数お申込みありがとうございます。


THE・街頭カンパ

大阪編

3月3日(11時〜18時)天王寺
◆参加者・13団体のべ31人
◇募金額・・¥211,918
◆募金累計額(大阪)・・¥6,507,668

□地下鉄に乗り降りする人の中に、着物姿をたまに見かけた。今日は「ひな祭り」。めでたい日なのだろうか。午後から「ひまわり」(八尾市)の人たちの活気あるかけ声がよく響いた。その効果もあったのだろう。思ったよりカンパのお金が入っていた。

被災地での人づくり、まちづくりに学ぼう!
被災地で復興を歩む障害者を支援しよう!
街頭カンパは引き続き4月以降も行います!

■日にち :毎月第1日曜日(4/7、5/5、6/2、7/7、8/4、9/1…)
■時 間 :午前11時から夕方6時まで(前半AM11:00〜PM2:30/後半PM2:30〜PM6:00)
■場 所 :地下鉄「天王寺駅」改札前(駅長室横)
■参加方式 ローテーション(もちろん、飛び入り参加も大歓迎!)
各団体(生きる場・作業所の単位)が、年2〜3回、前半・後半別で、交替しながら均等に負担なく参加できるよう、現在ローテーション表を作成中です。
※次回(4/7)までは、参加できる人が参加するという従来通りの方式で行います。
■担 当 :松場作治(マッサクぐる〜ぷ/ 06・791・2212/FAX791・7993/大阪市平野区)
東牧浩美(枚方・障害者労働センター/ 0720・48・0508/FAX48−7920/枚方市)


 救援本部の総会です。

とき☆3月27日(水)午後3時〜5時
   ◆時間が変更になりました。ご注意ください◆
ところ☆大阪府総合福祉センター(JR芦原橋からすぐ〉
内容 ◇被災地障害者センターの活動報告と2年目の展望
◇救援本部の活動報告と2年目の方針
◇意見交換


編集後記


(c) 1996兵庫県南部地震障害者救援本部 (デジタル化:神戸大学附属図書館)
目次画面へ戻る