81001681

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ジコアイ ノ カビンセイ ニカンスル イチコウサツ

A discussion of narcissistic hypersensitivity

神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要

3(1)

19-28

神戸大学大学院人間発達環境学研究科

2009-09-30

2009-11-10

本研究の目的は,自己愛の過敏性に関する研究について概観し,臨床家の指摘も踏まえながらそれらについて検討した上で,改めて過敏性の捉え方について考察することであった。まず,過敏性を測定する様々な尺度作成の研究,続けて誇大性と過敏性の関係を検討する実証的研究のレビューを行った。その上で,両者の関係における直交性,斜交性について,臨床家の指摘も考慮しながら考察を行った。さらに,概観された研究の大半が,青年期の自己愛の高まりについて論じる理論を根拠に青年期を調査対象としているにもかかわらず,既存の自己愛尺度はそのような青年期理論における自己愛のあり様を反映するものではないことを問題点として指摘した。そして青年期に関する自己愛理論を踏まえ,青年期に特有の自己愛的特徴として,防衛的性質に起因する自身の誇大感と客観的評価とのズレ,その誇大感が実際の能力に根差すものではないが故の対人関係における過敏的特徴,自己愛的甘えの心理により生じる対人関係での誇大感の抑制などが考えられた。さらに,日本という文化的背景についても考慮すべきであることを指摘した。最後に今後の課題として,日本人青年の自己愛を測定する際には,そのような青年期に特有の自己愛的特徴や文化的背景を考慮に入れた自己愛尺度を作成することなどが挙げられた。

紀要論文