神戸大学附属図書館報 Vol.11, no. 2 July 2001

附属図書館長に就任して

中 村  道


 4月1日付けで附属図書館長を仰せつかりました。全く不慣れな仕事でとまどうことばかりですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本年1月の評議会で、学長に対する附属図書館審議会の答申、「神戸大学附属図書館将来構想」が了承されました。これは、21世紀において「教育研究に貢献する図書館」を目指したサービス体制と内容を具体的に提示し、神戸大学としての方向づけを行ったものです。現在、社会との関係において国立大学の役割が問い直され、大学の現状の改革が求められています。本学図書館も、多くの課題を抱えるなかで積極的に改革に取り組み、教育研究に対する情報基盤として一層の役割を担うことが要請されます。答申の冒頭にも、「知識の継承と創造の場である大学において情報を担当する図書館の役割は、大学の基本機能に位置づけられる」、とあります。附属図書館がこの「大学の基本機能」を十分に果たせるよう、答申の具体化に微力を尽くすことを役目と心得て、まずは現況の把握に努めることから始めているところです。
 本学の附属図書館は7つの館・室に分散しています。これは、大学構成部局とキャンパスの地理的条件を反映した、機能的な教育研究の支援サービスを行う趣旨です。しかし、各館室はそれぞれ難題を抱えているとともに、整備の状況には相当の格差があるのが実状です。それらに共通の課題は、収書、閲覧ともに極度なスペース不足の解消であり、いずれの館室も早急な抜本的解決を迫られています。そのうち、とくに問題なのは、国際・教養系図書室でしょう。この図書室は旧教養部分館を引き継いだもので、現在は主に国際文化学部と大学教育研究センターを対象としていますが、図書室の内容はあらゆる面で新しい体制に対応できる状態にはありません。なかでも、キャンパスライフの初期に基礎知識と人格を養う教養教育の重要性を考えると、全学共通教育の学生を対象とする図書館の機能を格段に整備することは大学として基本的事項であり、教養系図書館(仮称)の新営を当面の最重点課題としその実現を図る必要があります。
 一方、本学附属図書館は7館室体制の下で、学術情報の収集、提供において総合大学としての特色を生かすため連絡と調整を図り、共同利用による一体的な機能と運用に努めてきました。数年前からCurrent Contentsサービスにより、研究室に居ながらにして、人文・社会科学から自然科学に至る広範な学術論文を検索することが可能となりました。加えて、本年1月からは、図書館業務用電子計算機システムの更新によりオンラインサービスが拡充され、これまで窓口や電子メールで受付していた学内・学外の図書館等への文献複写や相互貸借の依頼等がパソコンから行えるようになっています。このように学内外ともに一体的な機能と運用を推進し、利用者へのサービスをさらに拡充する必要があることは申すまでもありません。
 また最近は、従来の紙を媒体とする図書資料に加えて、電子情報の収集、提供による情報サービスの充実を図ることも急務となっています。平成11年度から運用を開始した本学電子図書館システムは周知のとおりですが、当面の課題は電子ジャーナルサービスの整備です。電子ジャーナルは、その利便性が理解され本格的導入が要請されるにもかかわらず、経費負担の方法に問題があるため、まだ十分に応えられない状況にあります。従来の図書や雑誌は占有利用が可能な冊子であり、経費の受益者負担原則を適用しやすいですが、電子ジャーナルはネットワークを介した全学的な利用となるため、個々の館室の占有利用、受益者負担にはなじみにくいからです。この点について、全学的な意見調整を早急に図る必要があります。
 さらに、大学図書館の在り方として、今日、社会的貢献も問われています。これまで、図書館サービスの対象は主に学内利用者と大学関係者でしたが、学術情報を必要とする一般社会人への支援が、ますます大学図書館の社会的責任と見なされるようになっています。本学の各館室はすでに社会人にも開放されていますが、開館時間の延長や開館日の増大等、社会人の利用拡大に資するさらなる具体策の検討が求められています。
 附属図書館長に就任して本学図書館が抱える課題の大きさと多様性を改めて痛感しました。将来構想をみすえつつ、可能なことから着手するほかありませんが、いずれの問題も全学的な支援と協力を必要とするものばかりです。ご理解のほど切にお願い申し上げます。

   (なかむら おさむ 附属図書館長)

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