ライプニッツ(1646-1716年)は、数学を始めとした諸学問の領域で多くの画期的業績を残した「万能の天才」の最後の一人と言われることがあります。西洋哲学に多少の知識のある方なら、「普遍学」、「モナド」、「予定調和」などの言葉を耳にされたこともあるのではないでしょうか。私が試みたことは、その哲学を一貫して「認識論」として読解することです。認識論は存在論と並ぶ哲学の重要な柱の一つですが、二〇世紀のライプニッツ解釈は論理学を中心に動いてきた歴史がありました。私は、従来の研究では見逃されていた切り口として「知識の本性とその可能性の根拠」を解明する課題を担う認識論を設定したわけです。本書が西洋の精神史研究への刺激となると同時に、懐疑主義あるいは認識論という哲学の「永遠の問い」へのささやかな橋渡しとなることを願っています。
(なおこの著作は、日本学術振興会、平成15年度科学研究費補助金、研究成果公開促進費による出版です。)
(まつだ つよし 文学部教授)
所蔵:人文科学図書館 134-1-MAT
『国際共生と健康』新福尚隆ほか編著(放送大学教育振興会 2004.3)
国際交流が、日常的に行われるようになった21世紀において、いくつかの国のみが豊かで、極度の貧困に悩む国が多く残されていると言うのは、人道的にも許される事ではありません。現在、数百万の子供が、毎年、簡単に予防できる肺炎、気管支炎、下痢症で死亡しています。その一方で、先進工業国では、肥満が健康の大きな危険因子になっています。生命、健康における南北格差は、簡単には解消されません。貧困の撲滅、開発途上国における健康問題の軽減は、同情だけでは役に立ちません。国際共生という言葉をキーワードにして、地球的規模での健康の問題、世界的な視点での対策、我が国の国際医療協力のあり方などを纏めたものが本書です。内容は、放送大学の15回の講義ですので、15のテーマに分かれています。
本書では、世界の異なる国々での健康問題、WHO等の国連機関等による活動、日本の国際医療協力、人口の増加と世界の健康問題、感染症対策、母子健康、プライマリーヘルスケア、災害医療、難民の保健医療問題等の章を含んでいます。国際保健、国際医療協力に長年携わって来られた専門家の方々にお願いしてそれぞれの章を担当いただきました。保健医療関係者のみならず、開発途上国の貧困問題、日本の国際援助などに興味を持たれる方々にも是非、読んでいただきたいと思います。
(しんふく なおたか 医学部医学医療国際交流センター教授)
所蔵:医学分館 498.04-S