神戸大学附属図書館報 Vol.6 No.2(1996.7)

変わらなきゃ

藤 井  聰

 図書館長の大役を引き継いで、約1.5ケ月が経ちました。この間に私の大学図書館に対する認識の低さをいやというほど知らされ、冷汗三斗の思いをしています。そこで懸命に神戸大学図書館の置かれた状況を理解し、進む方向を考えるべく努力しているところです。ここでは、神戸大学図書館の現在抱える問題のなかで私が強く感じた2、3の問題を述べ、今後の図書館について考えたいと思います。

1.Current Contents サービス

 4月より、待望の Current contents のサービスを始めました。全7セクションを揃えていますので、人文・社会科学から自然科学に至る広範な科学論文の検索が可能になりました。私もちょっと検索をしてもらいましたが、たちどころに、自分の欲しい論文を探しだし、その抄録を読むことができました。研究室に居ながら、世界中の論文の検索が可能になったことは、忙しい者にとって非常に魅力的であり、時間の節約に役立ちます。これを利用しない手はありません。神戸大学では、幸い学内LANが整備されて(農場を除く)いますので、これにパソコンを接続してください。そして、各館室に備え付けてある「情報検索サービス利用申請書」に所定の事項を記入して提出して 頂くだけでよいのです。

 本学図書館ではこれまでも、色々な検索サービスを行なってきましたが、なお一層のサービス内容の充実を目指しています。これを機会に是非検索サービスを受けられることをお薦めします。

 このようにして、見つけられた科学論文の全文が必要であれば、「図書館はその論文をコピーし、FAXなどで研究室へ素早く送り届ける」というサービスまで行なうのが図書館としての夢です。

 図書館の情報サービスの電子化は必至の趨勢でしょう。したがって、現在図書館の限られた枠内では、人員の適切な配置とサービス業務の集中化がなければ、効率的な情報伝達は行なわれないでしょうし、利便性も増さないでしょう。もっとも、利用者がパソコンの操作に慣れることが必要ですが。

2.時間外利用

 現在、平日は人文科学系図書室以外は時間を延長して開館していますし、人間科学系図書室以外は通常期の土曜日も利用できます。ただし、9時から5時まで利用できるのは医学部分館だけで、それ以外は午後の3時間だけ開かれています。

 週日は、それも日中は他の用で忙しく、落ち着いて図書館を利用できない人達にとって、土・日の利用は切実な要求でしょう。現在の神戸大学図書館の開館状況はそういった利用者の要求を満たすにはいたっておりません。このことは、先日、神戸大学教職員組合図書館支部から頂いた、神戸大学図書館に対する要望のアンケート結果にもよく現われていました。「土曜日の開館時間をもっと延長できないか」、「日曜・祝日も利用したい」など、延長を希望するものが数多くありました。このアンケート調査は図書館の受付けで行なわれたものだけに実際に図書館を利用している人たちの本当の気持ちだと理解されます。

 365日、24時間開館というのが、利用者の要求を満たす究極の手段でしょう。こんな夢を旭川医科大学では実現しています。平成2年度より自動入退館装置を設けて(本年度から在館者管理方式を採用した新システムを開発した、文教ニュース 8/4/29)一年を通じて夜間・休日の図書館利用の便宜をはかっています。まことに、羨ましいかぎりです。現在の神戸大学でも24時間を通じて開館とまではいかなくても、土・日開館は努力すれば可能かも知れません。もっとも、管理体制と人件費の負担を解決できればですが。6つの館室に分かれている本学図書館の現状では、経費負担面での同意が得られるでしょうか。

3.学習図書館

 本学図書館は在校生に対する座席数がきわめて少ないのが現状です。全国のAランクの国立大学15校の平均座席数は 1,736席ですが、本学はたった 1,136席です(平成6年度)。神戸大学の図書館は、本来的にみて殆どの館室が研究図書館として運営されてきました。

 このことは、本学にとって、学生が学習する空間と環境を保障すること、すなわち学習図書館の設置が急務となっていることをあらわしています。学生が学習をしたり、レポ−トを作成したりする図書館が是非必要です。こういった点から、図書館報春季号に掲載された、川嶋太津夫先生のシカゴ大学図書館についてのお話はまことに示唆に富むものでした。是非もう一度読み返して下さい。学習環境の整備が大学の質の向上をもたらす。

 ここまで書いてきて、何となく自分で腑に落ちたことは、イチローではないが ’変わらなきゃ’でした。図書館の在り方、図書館から受けるサービス、図書館の利用の仕方、利用者の図書館に対する意識、皆んなが変化しているのです。それも急速に。ソフト面、ハード面ともに。神戸大学も ’変わらなきゃ’。

  (ふじい さとし 附属図書館長)