神戸大学附属図書館報 Vol.6 No.2(1996.7)

医学部分館長に就任して

住野 公昭


 医学部分館長になって1か月半、まだ何も仕事をしていない。7月に予定されている分館の竣工後、2か月かけて移転作業の準備があるが、素人の分館長が出ては仕事の邪魔になる。図書館学や図書館システムに元々うとい者が、医学部情報センター長(これにもそう詳しいわけではない、正式には総合情報処理センター医学部分室)をしているということがからんで就任させられたと思っている。

 私がもっとも図書に親しんだのは高校生時代である。受験勉強厭さに高校の図書室を大いに利用させてもらった。その後は大学の高学年になってからついこの間まで、小説を買うことも読むこともなかった。推理小説ブームからミステリー、芥川賞作家も直木賞作家も読むことはなかった。研究上の文献や商売上の公害物、環境物、臓器移植や倫理物は相当数ある。それが、かの司馬遼太郎氏が亡くなってから長編小説を除いて50冊以上の文庫物を購入した。知性の塊のように次から次へと出てくる現代解釈は、土地の公有化を主張している途中で途絶えた。多くの日本熟語や漢熟語、それに”まとも”などの語源や”てぐす”などの意味まで教えてもらった。<

 乱読していて気付いたのだが、”〜にちがいない”という文章表現がかなりある。それは歴史上の先達の解釈や説を肯定していることもあるが、多くは論理上そう解釈せざるをえないか推測を越えて自説を強調している箇所である。ちなみに「殉死」という短編物の前半部だけで18か所にこの表現があった。何の歴史的事実を断定しているか拾い挙げても興味がある。日頃、人文系の検索誌をみる機会がない私でも、そんなデータベースがあれば利用してみたい気がする。<

 さて、昨年度予算でスペース・コラボレーション・システム事業の超小型地球局が本学に2局設置されることになった。その1局が医学部医学科に措置され、当分の間分館3階の会議室で受発信されることになった。またVODも近い将来設置されるだろう。これらは医学部情報センター管理であって、今のところ相当離れた距離にある。誰もがこの融合を考えるが、医学部分館は大学図書館の分館であり、医学部情報センターは総合情報処理センターとネットワークシステムの一環を担っている。機能は似ても管理・運営は別と、どの学部も同じ事情と思うが何とかならないかというのが率直な感想である。<

 今一つ。保健学科の図書室が、平成9年4月から医学部分館の分室となる予定である。学生数が 640人と、医学科学生数の 600人より多い。それを今のところ2人の職員で管理している。これも頭の痛い問題である。キャンパスが離れていることで、何かと負担が大きくなる。六甲台地区は移転のことなど考慮の外の問題でも、医学部はそこそこに真剣なのである。いつかは実現してほしいと念願している。(1996.5.10記)

(すみの きみあき 医学部分館長)