神戸大学附属図書館 デジタルアーカイブ 【 学内研究成果 】

人体発生学カラースライド・データベース(Data base of Embryology Color slides)

人体発生学カラースライド・データベースは本学・名誉教授の溝口史郎先生にご寄贈いただいた資料です。

-人体発生学カラースライド・データベースについて 溝口名誉教授より-

このデーターベースの内容は次の通りである。
 発生学01:ヒトの胎児の初期発生。
 発生学02:体節15対のヒトの胎児 ( A Fifteen-somite Human Embryo )。
 発生学03:体節15対のヒトの胎児の心臓。
 発生学04:ラットにおける胚葉形成と神経管の形成。
 発生学05:中枢神経系の発生。
 発生学06:視覚器の発生。
 発生学07:中枢神経系の発生学、記述と画像。
✽ 01は著者が神戸大学に在職中に入手し得たヒトの胎児の標本を、発生の時系列に従って配列し、不足の部分はラットの胎仔で補充し、更に必要な模式図を描いて挿入して構成してあり、ヒトの胎児の発生の初期の4ヶ月間の経過を講義するためのDBである。
✽ 02は1982年12月4日神戸大学医学部法医学教室における法医解剖の際に発見されたヒトの胎児で、受精後24日または25日と推定されるものである。このような日齢の若い胎児が発見されることは極めて稀であるので、著者はこの胎児を肉眼的にも、組織学的にも精査して、その結果を“A Fifteen-somite Human Embryo” : Humio Mizoguti, Advances in Anatomy, Embryology, and Cell Biology 116, 1989, Springer-Verlag. として、英文で出版した。しかしこの出版にあたっては、紙数の制限と白黒写真という制約があった。著者は定年退職後、約400枚のカラースライドを精査して、重要と思われる切片の写真をディジタル化し、パワーポイントで編集した。この編集では必要と思われる切片には、強拡大及び弱拡大の写真を加えたので、このDBは資料として大きな重要性を持つことになった。
✽ 03は02の胎児における心臓に関する写真を抽出して編集したものである。
✽ 04は01を作るにあたって必要となった、ラットの胎仔における胚葉形成と神経管の形成過程を詳細に追ったものである。ラットでは胎仔を採取する時刻を正確に決められるので、胚葉形成の経過を隙間無く観察できる。また切片が約1μmと薄いので、細胞の重なりが無く、神経管の形成過程についても正確に観察し、理解することができる。
✽ 05は中枢神経系の発生を、ヒトの胎児とラットの胎仔の標本を使ってパワーポイントで編集したものである。これには07の画像と重なる所が多い。
✽ 06は眼科 MOOK 38(金原出版, 1989)に発表したもので、ヒトの胎児、ラット及びイヌの胎仔並びにサルの標本を駆使して、眼球の発生の詳細を述べたものである。
✽ 07 は『中枢神経系の発生学』として「小児の脳神経」に発表した内容を改訂したものであるが、文章を補強するために、手許にあった関連する全てのカラースライドを点検して、文章を理解するために必要な写真を選び、さらに必要と思われる多数の模式図を描き足して、独立した付図集(中枢神経系の発生学・付図)として添付した。
 ヒトの胎児は、母親の胎内で受精し、一定の期間子宮の中で発育してから生れる。従って発生初期の胎児を入手することは、技術的な困難と倫理的な制約があって、極めて困難である。また、発生初期の胎児においては、変化が極めて迅速に進行するので、その刻々の変化に対応する胎児を入手することなど、夢のまた夢である。しかし、胎児の発生の詳細を知らないでは、完成した人体の各部の機能を深く理解することはできない。発生学の教育と学習が伝統的に解剖学の教育の中に包括されているのも、この意味では自然のことである。
 著者は神戸大学医学部において31年間、組織学とともに人体発生学とを講じてきた。その際、痛感したことは、適切な標本が無ければ、人体発生の詳細は、講義することも、また学生に理解させることも、全く不可能であるということであった。そこで著者は発生初期のヒトの胎児の標本を入手することに大きな努力をはらった。有難いことに多くの関係者の御協力を得て、かなりの数の立派な標本を揃えることができた。標本が入手できるたびに写真撮影を行い、カラースライドとして整理した。体長20mm以下の胎児の撮影は、組織標本の顕微鏡写真撮影とは別の困難があったが、在職中の後半においては高いレベルのカラー写真ができるようになった。著者はこれらをディジタル化して編集し、毎回の講義に利用して、これが極めて有効であることを感じてきた。
 現在、人体材料の入手が極めて困難になっていることを考えると、著者のこのコレクションは既に貴重なものとなっている。人体組織学カラースライド・データーベースに続いて、ここに人体発生学カラースライド・データーベス(発生学data base 270406)を公開する。これが医学・生物学の分野で多くの教官・研究者・学生の方々によって活用されることを念願して止まない。(2015.05.06.)




●日本語
*学生用_テキスト付

発生学01ヒト胎児の初期発生
発生学02体節15のヒトの胎児
発生学03体節15の心臓
発生学04ラットの胚葉形成
発生学05中枢神経系の発生
発生学06眼球の発生

*教師用_スライドのみ

発生学01ヒト胎児の初期発生
発生学02体節15のヒトの胎児
発生学03体節15の心臓
発生学04ラットの胚葉形成
発生学05中枢神経系の発生
発生学06眼球の発生

付:中枢神経の発生

中枢神経系の発生学FF
中枢神経系の発生付図FF_スライド
中枢神経系の発生付図FF_テキスト付

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